ある意味、最強映画かもしれません。
年の暮れの午後だというのに、日比谷シャンテ・シネは混んでました!
首が痛くなる椅子だっていうのに、みんな良く我慢してきてるなあ〜
(いい映画やる映画館なんですがね)
この監督さんの前作「らくだの涙」で寝たという前科を持つjesterとしてましては、首を守るために腰をググッと落として寝そべり姿勢になったとたん、もう寝ちゃいそうでしたが、今回はしっかり最後まで見ることが出来ました。
山もなく、谷もなく、ただ淡々と人間を追っていく映画が好きなjesterとしても、主人公が犬と子供じゃ、共感できる心の葛藤などもなく、飽きてしまわないかしら?
とくにずっと歌うたってるシーンとかあったら、「らくだの涙」の二の舞いかも・・・とおもっていたけれど、その不安ははずれ。
描写に甘いところがないんです。「ほらかわいいでしょ〜」というのがないの。
ただ丁寧に撮っているというのが、大人の鑑賞に耐えます。
草原での生活は清貧で厳しいんですよ。
とにかくナンサの役(というのだろうか、本物というべきか)、ナンサル・パットチューンちゃんが可愛い!!
まん丸のお顔も、あかぎれしてるみたいな真っ赤なほっぺも、朝青龍似(さすがモンゴル民族)の細いおめめも、めちゃくちゃキュート!
しかも現代の日本のがきんちょからは失われつつある、ワイルドさがあって、小汚くて、とってもjester好みでした。
小さい体でがんがん馬も乗りこなすし。
しかし降りるときはいいとして、乗るときはどうやって一人で乗っているんだろう・・・・
家族Bもオーストラリアでマウンテンライディングしたときは、ナンサぐらいでしたけれど、抱き上げないと乗馬できませんでした。
一回お母さんが抱き上げて乗せているのが映ってましたが、一人で山に羊追いに行っていたときはどうやってたか、気になります。
ナンサの兄弟(最初3姉妹かと思った。一番下の子、髪の毛二つに分けて結んでるし。でも裸のおしりで寝てるとき、ちゃんとありました。)も全員、小さい子の可愛さがたっぷりで、この子達が自然にじゃれているさまは幸せそのもの。
ただぶちあったり、牛の糞を積み重ねて遊んでるのを見るだけで、もう心が癒されます。

しかし・・・・
子供が出てくるもの、動物物にありがちな、とっても悲しいシーンがあるのではないかとどきどき。
子供や動物や(いや大人でもそうだけれど)が悲惨な思いをしたりする映画はず〜〜んと心が沈んでしまうので、映画のあと忘年会を控えたjesterとしては困ってしまうのでした。
でもでも、そんなシーンはありません。ほろりとさせ、ちょっとどきどきしますが、とっても後味がいいのです。
お父さんもお母さんも、草原で羊を追って暮らしているわりには、のんびりというよりは過酷デス。
体を酷使して生き抜いているという感じ。
jesterなんかとってもやりきれないでしょう。
でもあんな景色の中で、草原に座り込んで羊の皮を剥くのなら、それはそれで体は疲れても心は疲れないのかも。
子育てだってほったらかしで、下の子なんかミシンの上に上ったり、小さな流れのほとりをうろうろしたり、柵に登ったり、もういつ落ちちゃうかとはらはら。
でも子供はたくましく育つでしょうねえ。
そして、父親は本当に一家の柱なんです。
力仕事は母親もしているけれど、彼じゃなくちゃ出来ない仕事があるし、家を狼から守るのだって彼の仕事。
だから彼のいうことは家のルールなんですよ。
現代日本の父親のほとんどは、生活という点では家族と離れていますよね。
たとえば会社員のお父さんだって、命を張って働いて家族を守っているのだけれど、その姿は家族からは見えないから、威厳がありません。
飲んだくれて家に帰ってきて、テレビをつけっぱなしでいびきをかいてる姿しか見ていない子供に、「お父さんを尊敬しなさい」といっても難しいデス。
でもあんなところで、座りながら斧をふるってバンバンと力強く薪を割る迫力ある姿をみせられたら、「おとうさんってすごいなあ・・・・」って子供は畏敬の念を抱くことでしょう。
働く男の姿に弱いjesterも、ぽわ〜となってみておりました。

で、続きます・・・・
