2006年02月09日

ミュンヘン その3(ネタばれありです)

しかし・・・
エリック・バナ兄貴にはやられたなあ・・・・
munich.jpg

トロイでもそうだったけど、彼の持つ独特の「いい人フェロモン」がど〜〜〜と出てて、それがアヴナーの苦悩する姿にぴったり。
『タフに頑張って任務をこなそうとしながら、生真面目にその任務の意義を考えてしまって自分を追い詰めそうなタイプ』がなんて似合う俳優さんなんでしょう!

電話で自分の生まれたばかりの娘の声を聞き、声を殺して泣きながら
「これが父さんの声だよ・・・・憶えておいて・・・・」 
というシーンでは思わずもらい泣きしました。たらーっ(汗)
死を覚悟して、娘に別れを告げているのですね。
それにお料理上手。思わず「食べてみたい・・・・」と思いました・・・


また情報屋ルイの一味の「パパ」という存在も不気味でした。
大家族と一緒に田舎に暮らし、家族を愛する様子を見せつつも、何を考えているかわからない。
「自分たちはどの国家にも組しない」と言い切りながら、その実、金のためなら裏切りだって厭わない刹那的な人間たち。
邪悪な便利屋であり、武器商人でもあるグループ。
人間の存在の罪深さを感じます。


アヴナーたちはお互いに「これは戦争なんだ。単なる人殺しじゃない。俺たちは戦争を戦っている兵士なんだ」 といいあって鼓舞しあいますが、
実は 戦争は人殺しなんですよね・・・・。


jesterはしばらく海外で暮らしていたので、国がない人の気持ちが少し分かるような気がします。

よその国に住んでいると、たとえその国で発行されたIDカードを持っていても、どんなにその国のために尽くしても、やっぱりよそ者、なんです。
母国語が通じる、同じ民族の人ばかりの暮らしは、やっぱり楽だし、安全で安心。
日本には不満もあるけれど、住んでみるとやっぱり私のHomeなんだな、って感じます。
だから祖国再建の思いの切実さもちょっと判る気がします。
何とかパレスチナ人もイスラエル人も、積もり積もった長年の恨みを捨てて、譲り合って共存できないでしょうか・・・・ ひとりひとり顔を合わせれば、何の恨みもない人同士なのに・・・・。



さて、画像は地味ですが、暗い色調が美しく秀逸。
前半に入るモノクロのニュース映像とぴったり合って、リアルさを増しています。
俳優さんたちも、バナ兄さんを先頭につわものばかり。
安心してみていられます。黒ハート


ところでこの写真の、右はエリック・バナですけど、左、だれだかわかりますか?
もじゃもじゃヒゲで、バナさんの横にいるとやけに小柄に見えるので、
「どっかで見たけど、だれだっけ??」と思ってましたが、「アメリ」で恋人役だった、マチュー・カソヴィッツでした。
パンフを見たら、この人、監督をして作品を撮ったりしてるんですね。
とってもいい味を出してました。

ジェフリー・ラッシュにはいつも驚かされますが、今回もびっくり。
すごい役者だなあ。黒ハート
バルボッサ船長にも驚いたけど、今回、これが「シャイン」でピアノを弾いてた人とは思えない・・・・

それと、情報屋ルイの役をしたマチュー・アマルリックも存在感があったな〜
鋭い目つきと繊細な演技。注目です! 揺れるハート



スピルバーグは「ターミナル」とか「宇宙戦争」でお金を稼いで映画会社を納得させておいて、こういう映画で本音を吐いている・・・のかな、なんて思ったりしました。

こういう映画ばかり撮っていたら、大衆はスピルバーグ・ブランドを敬遠するようになっちゃうかもしれないですよね。
スピルバーグが意図しているのは、「無関心な大衆」に少しでも考えて欲しい、ということなのかしら。
だからこそ、だれでも楽しめるような娯楽大作でヒットを飛ばして、人気を得ては、メッセージ性の強いものを小出しに撮って、たくさんの人にメッセージを伝えたいと思っているのかもしれません。
(甘い感傷かもしれませんが・・・・でも、たとえ甘い感傷であったとしても、何も感じないよりましかな、なんて思うのです。)


パレスチナ、アラブの問題は、日本人には『対岸の火』であって、関心がある人は少ないでしょうし、この映画を見ても「全然わからなかった」という感想も時々あるみたいですけれど、グローバルな目で世界を見たら、他の部分がひどく病んでしまったら、日本だけが無事で平和なまま存続できるはずがないです。
『他人事』だと思って他の国の悲劇を見逃していたら、必ず近い将来痛いしっぺ返しが来ると思います。
わたしたち、地球上に住むものは、生命共同体だと思うのです。
傍観者から、問題の解決に手を貸せるものへ、「万里の道も一歩から」の気持ちでjesterも何かしたいな、なんて思いました。
 


この映画を見た7日のNHKの「プロフェッショナル」という番組で、『人間は報酬としてお金で評価されることだけでなく、「他の人から頼りにされている」という事実を、脳が評価・報酬として受け止める』、といってました。

世界中の人が、『お金』を報酬として喜ぶだけでなく、『信頼の心』を尊んでくれるといいな、なんておもいました。
そんな世界が来るのを祈ります。

もうちょっと書きたいのですが、昨日「ホテル・ルワンダ」を見たので、それについても忘れないうちに書かなくちゃ、というわけで、最後急ぎましたが、とりあえず「ミュンヘン」についてはこれでおしまいデス。

読んでくださった方、おつきあい、ありがとうございました〜猫


posted by jester at 18:10| Comment(13) | TrackBack(3) | ま行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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