2006年02月12日

ホテル ルワンダ その1

「ホテル ルワンダ」は「ミュンヘン」を見た次の日に見たのですが・・・・。
なかなかレビューを書けませんでした。



1つ目の理由は、家族Bがずっと「ルワンダ問題」について調べていて、そのおこぼれでjesterもルワンダ問題の根深さに触れていたので、感想を書き始めると、いつのまにかルワンダ問題自体について長々と書いてしまうはめになること。

2つ目の理由は、同じような系統の映画を続けて見たので、どうしても2つの映画を比べる視点で見てしまうこと。

で、何回か「書いては消去」を繰り返し、間が開いてしまいました。

今日は気を取り直して、書いてみますが、また寄り道してしまうかも・・・・パンチ(殴


上にも書いたのですが、家族Bは数年前からルワンダで起きた紛争についていろいろと調べていました。
jesterも時々そのレポートを読ませてもらっていたので、ルワンダの内情については、予備知識アリでこの映画を見たのでした。

でも予備知識がなくても映画を見れば、現実に起こったこととして理解できると思うし、一人の人間が困難を乗り越えて成長していくさまを克明に描いていて、いろいろ考えさせてくれる素晴らしい映画だったと思います。

ぜひたくさんの方がこの映画を見てくださるといいなと思います。


感想に入る前に、jesterの知っている範囲で簡単に予備知識を。
もし間違っているところがあったらごめんなさい。
それと、もうご存知の方はブルーの文字を飛ばしてくださいね。


 ルワンダはアフリカ中央付近にある小さな国です。

高地にあり「アフリカのスイス」などと呼ばれ、肥沃な土地にある豊かな国で、もともとはバンツー系のフツ族が住んでいましたが、500年ぐらい前にツチ族がナイル方面から南下してきて、王族を輩出する支配者階級になりました。
人口的にはツチ族は十数%しかいません。
昔はこの二つの民族は仲良く暮らしていたのです。

しかし、ドイツの保護領を経て、第一次世界大戦後、ベルギーの植民地になってから、ベルギーが統治するのに便利だという理由から、少数派であるツチ族を重用したため、2つの民族のあいだに反目が生まれました。

1962年、国連からの圧力などがあり、ベルギーから独立出来たものの、この民族紛争は続き、1990年、ルワンダ国外に亡命していたツチ族がRPF(ルワンダ愛国戦線)を作ってウガンダから侵攻し、内戦が始まりました。


とまあ、映画が始まるまでのルワンダの状態はこんな感じだったのですね。


**********さて、以下、ネタばれあります***************


主人公のポールはフツ族(ベルギー支配下では差別されていた側)ですが、ベルギー資本のホテルのホテルマンとして、支配人として働いています。
コネとお金で手に入りにくい高級な葉巻とかお酒を仕入れて、それを軍部の上部とか外国人などに賄賂として送っては、おべっかを使い、便宜を図ってもらったりしています。
この辺、たしかに「シンドラー」の出だしと似てますね。

ポールは特に政治的には考えはなく、自分と家族の幸せを祈って働く、ごく普通の人間デス。
マッチョでもヒーローでもない、どこにでもいる男。


だからこそ、この話がより力強く、そして現実に起こった話だと身近に感じられるのだと思います。

虐殺の兆候が見え始めたときも、それを解決するというよりは、日ごろ培ったコネで、自分と家族だけがうまく逃げることを考えます。隣人が連行されるのを見ても、それを助けようとはしません。

彼が本気になるのは、連行される隣人の中に、自分の妻子が入ってしまったとき。
「金はやるから助けてくれ」と、札束をちらつかせ、妻子を救い、ついでに隣人たち十数人も助けて車に乗せて、自分の勤めるホテルに連れて行きます。

このときも、自分の家族にはすばやくスゥイートの部屋を取りますが、隣人たちはスタッフルームに詰め込み。
雇われ支配人としては、高級ホテルにそぐわない隣人を入れることには抵抗があるのです。

ポールはこの騒ぎはすぐに収まるだろうと思っているから、収拾がついた後に職を失わないよう、要領よく動こうと思っているのですね。

でも事態はどんどん悪化。当てにしていた国際社会は動かず、国連平和維持軍はほとんど撤退してしまいます。それと一緒に報道陣を含む外国人も国外へと去ります。


ここでまたちょっと寄り道。このときの世界事情なんですが、jesterが知る限り、この弱腰の国連の後ろにはアメリカのお国事情があったと思います。

父ちゃんのほうのブッシュが湾岸で圧勝したあと、調子に乗って(?)ソマリアにも手を出し、一端解決したものの、その後事態が悪化してしまったのです。
その後の尻拭いは「浮気してごめんね演説」で有名な(爆)クリントンがしたのですが、1994年は旧ユーゴへの派兵を回避しつつハイティに軍隊を派遣、などしていたので、ルワンダには躊躇してしまったのですね・・・・・ 



ポールは「政治関連は偉い人や白人が何とかしてくれる。自分はその人たちにコネがあるから大丈夫」と踏んでいたけれど、大きな誤算だとわかり、ここから自分で自分とその家族をなんとしても守らなくては、と必死になっていきます。

もともと口が上手な男だったので、電話をベルギーの本社などの掛け捲り、助けを請います。
そしてホテルの中が比較的安全と知って逃げ込んできた人々も助けるようになります。

段々にポールが変化を見せます。
この辺、ポール役のドン・チードルが上手に演じています。

この人、アメリカ人なんですね。(最初なんで台詞がみんな英語!と思ったけど、まあこれは仕方ないのかな・・・・)
モデルになった本物のポール・ルセサバキナさんはどちらかというとマッチョなヒーロータイプだったとパンフレットに書いてありますが、ドン・チードルが演じるポールは、頭を使って権力者に媚を売り、口八丁で危機を乗り越えます。

このキャラクターの設定が、この映画の成功している部分の一つだと思います。
ポールの無力さと、その成長が、共感を呼ぶ、と思いました。

彼がホテルにいる難民たちに「海外にいる、知り合いの権力者に電話をしてください。そしてさようならを告げてください。そのとき、つないだ手を離さないで。」というようなことをいいます。
助けて!というのではなく、思いをこめてさようならをいい、それで、言われたほうが、「救助しないで傍観していること」を恥じるように・・・・・

ここがこの映画の山場のポイントでしたね・・・


というわけで、長くなってきたので、続きます・・・・猫


posted by jester at 11:05| Comment(14) | TrackBack(10) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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