「3部作では長すぎる。1本にまとめろ」「せめて2本にしろ」
といわれ続け、最後にやっとニューラインで「3部作でやってみろ」とGOサインが出たといいます。
1作目で興業的にこけたら、あとの2本はお蔵入りの可能性があったわけで、一種の賭けだったのですよね。
(だから1作目の邦題は「Fellowship of the Ring」(「旅の仲間」)でなく「ロード・オブ・ザ・リング」(しかもリングは単数???)だったのかな)
それがあれほど大当たり。
ハリポタだって、4作目まで、ちゃんとお客を集めている。
そういう下地があって、やっと実現した「ナルニア」の映画化だったと思います。
それもしっかりお金をかけて・・・・
実はjester、イギリスで作られたナルニアのTVシリーズを見たことがあるのですが、これがひどかったのであります。
なにしろアスラン、着ぐるみ!!! (爆)
子供向けのちゃちいもので、かなりがっかりしました。

だから映画化の話が流れてから、あんな安っぽい作品にされてしまったらどうしよう、とずっと心配でした。
でも「指輪の後なんだから、大丈夫かな・・・・」と期待もしていたのです。
でもな、でもな、ディズニーだし・・・・
お子様向けになるんだろうなあ・・・・いや児童文学だけどさ・・・・jesterがとしとっちゃったから、お子様向けじゃ満足しないし・・・・・
と、ジレンマの日々を過ごしておりました。

でも、しっかり大人も楽しめる映画になってました〜!
jesterうれし泣き!

指輪物語が、3冊どの本も600ページを越すのに比べ、ナルニアは200ページにも満たない短い話で全部で7冊でています。(ペーパーバックのページ数です)
指輪前だったら、3冊ぐらい1本にまとめろとか何とか言われそうですよね。
それが、200ページを膨らませて、2時間半撮れるのだから、後は監督の腕次第。
******以下、ネタばれを含みます******
たとえば冒頭のロンドンの戦火のシーンは、原作では
「This story is about something that happened to them when they were sent away from London during the war because of the air-raids.」
の、たった1行しかないのです。
戦争に触れているのはduring the war because of the air-raidsだけ!
それを空襲シーンからあそこまで膨らませ、駅での切ない母子の別れ(ここでjesterはもう涙)4人の子供たちの寄る辺ない不安さを描き、話にリアリティをぐっと持たせるあたり、「この監督、やるじゃない!」と思いました。
さて、原作の挿絵はPauline Baynes さんで、もうこの人なしにはナルニアは語れません。
jesterのナルニアに関するすべてのイメージはこの方の挿絵が元になって作られています。
よくまねして描いたものです。(爆)
漫画化しようなんておおそれおおい試みを高校時代やり、挫折してます。(結構オタク)
全世界で読まれているPenguin Books(Puffin Books)(今はHarpercollins社などたくさんの会社から出てますが)のペーパーバックもこの方の挿絵だし、
日本語版の岩波書店のものそうです。
だから、Pauline Baynesさんのイメージを壊すことなく、どう実写にするか、というのが課題だったのではないかしら、と思います。
映画はこれに成功してます。
キャストの子供と魔女には、ちょっと思い入れが強い分、パーフェクトとはいえませんけれど、イギリステレビ版と比べたら、ずっと完成度が高かったと思います。
とくに指輪で腕を振るったWETAのオタクの権化、リチャード・テイラーがクリーチャー&視覚コンセプトデザインですからね〜〜
凝りに凝って不気味な(?)一つ目だのドワーフだのを作りまくってるんですよ。
(SEE・DVDがでたら、特典映像で、また『リチャード・テイラー節』が聞けるのでしょうね。ちなみに家族Bは彼の物まねが得意です。かなり笑えます。)
着ぐるみとは全然違う(あたりまえだ。かかった金額が桁違い)、本当に存在するようなセントールやフォーンには惚れ惚れです。

続きます・・・