厚みがあり、深みがあり、そして愛のある人間観察。
ただ現実の厳しさを描くだけではなく、暖かいふれあいも描いていて、後味が良い。
演技上手な俳優をキャスティングし、テンポの良い演出。
プロの映画人が作った、珠玉の傑作だと思います。

******以下ネタばれあります*******
刺青のあるヒスパニック系の錠前屋、ダニエル。
もしjesterが犯罪などの怖い目にあって、ドアのロックを替えようとしたときに、彼が来たら、サンドラ・ブロック演じるジーンと同じに考えるかもしれない。
そのダニエルが娘に語る「妖精のマント」の話がなんと優しい愛に満ちていることか。
そして、こんな話をしてくれる父親を、どんなに娘が愛するだろう。
この「妖精のマント」にまつわるエピソードがjesterは一番好きです。
これを見ただけで、この映画をみた価値があると感じました。
実は予告編で、娘が父親に飛びつき、ピストルが撃たれ、父親が絶叫するのをみて、「わ〜この映画、見たくない!」と思ったのです。
つらすぎるシーンだと思いました。
それがこれほど感動的なエピソードだったなんて。
ポール・ハギスは魔法使いかも。
