
ヨーロッパ映画で、低予算。
スターは出てないし、CGは使ってないし、素朴な人たちが出てきて、愛があふれてる・・・・・
これまたjesterのために作られたような映画ではないか!
しかも「プルートで朝食を」「トランスアメリカ」と、トランスジェンダー物の秀作が続いたわけで、その3部作の〆となる作品!(違います)
とまあ、
すっげえ期待していったjesterでしたが・・・・なんなの、この混み方は!!1時間前に行ったのに、チケット売り場はひとひとひとひと。
しかもF列の端っこから2番目以外は前〜〜のほうしか空いてませんだって・・・
画面がひしゃげて見えますがな・・・・

何でこんなにこの映画人気なの?とおもって、これまためちゃくちゃ混んでるトイレで情報収集してみましたところ、
「オスギがテレビでほめていた」 ふ〜〜ん・・・オスギの効果ってすごいんだね。
(でもなあ。たとえ新人の監督が親の七光りで作った映画でも
「ゴミよ」なんて言葉を使って批評するような人のいうこと、jesterは信用できないけどなあ・・・・
これも噂で聞いたのですが、「Gド戦記」のことをオスギは「ゴミ」といったのだそうです・・・
たとえ不出来な映画でも、それを好きな人もいるし、一生懸命作った人もいるわけで、自分が面白くなかったとしても、公共の場所で言うなら、もうちょっと言葉を選んで欲しい・・・)
さてさて、20分間ものなが〜〜いトレーラーの後にやっと映画が始まりました。
(でもこのトレーラーが面白そうな映画ばかりでした。エド・ハリスの出る「敬愛なるベートーベン」、ベニーニの「人生は奇跡の詩」、パリオペラ座総出演「オーロラ」、「カポーティ」、「記憶の棘」、「Thank you for Smorking」・・・うう、どれも見たい!)

赤いヒールのある靴を履いて海辺のテラスで踊る黒人の少女。(・・・じゃないんだけど)
そしてタイトルとともに流れる工場のシーン。
靴を作る機械が次々に革を切って、縫い合わせ、紳士靴が成型されていく。
その動きの面白さ。
工場の機械油や革の匂いまでしてくるような画像。
一つ一つ物を作るという行為の確かさ。
Save our
Soles(靴底を救え) なんて標語まで壁に書いてあって笑えます。(普通はSouls(魂)ですよね)
注目を集めることもなく地味だけど、雰囲気でお金を稼ごうとしているのじゃなくて、地面に足をつけてしっかり仕事をする人たち。
でもそんな仕事がだんだん世の中の流れに取り残されて、消えようとしている危機感。
この辺のイントロでかなりやられました。
これ、傑作かも!!
・・・それなのに、なんだか途中の荒っぽい展開が気になりだします。
最初はゲイに反発する田舎の素朴な人たちが、ゲイの人格の素晴らしさに触れて、心を開き、協力するようになる・・・・ってね、
テーマ古過ぎ〜〜!
しかもそのきっかけが『腕相撲』の八百長・・・・?
いや、あの『腕相撲』は力が入りましたけどね・・・・

大体、『ドラッグ・クイーン』のローラが
あんまり綺麗じゃない・・・可愛くも見えなかった・・・マッチョな身体とくねくねした動きが、滑稽ではあったけど。それにみんなの共感を呼ぶようなキャラじゃないと思う。
Sex!! SEX!! って騒ぎ立てればいいってもんじゃないとおもうのですけれど。
ショーだって、実際あれをロンドンに見に行っても、苦笑はするけど、夢中になるようなショーじゃないと思う。(厳しい!)
Loraの台詞で「女が惹かれるのは、優しさ、思いやり・・・男の中にある女の部分に惹かれるのよ」とかいうのがありましたけれど、jesterがゲイに求めるのは・・・いや、ゲイに何も求めてませんけどね、とにかく筋肉もりもりでちょいと汚そうな女装ゲイっていうのはいただけません。(当社比)
やっぱりキリアン君かフェリシティかというほど、けなげで可愛いところがないと〜

ちなみに・・・ ご存知かと思いますが、時々間違っている方がいらっしゃるので・・・
ドラッグ・クイーンって、アメリカ映画なんかでも良く出てくる単語ですけど、「Drug Queen」(麻薬の女王)じゃないです。
「Drag Queen」が正しいスペル。発音も違います。
dragは「引きずるとか引っ張る」って言う意味ですけど、「女装(異性装)する」って言う意味もあるんですね〜
イメージとしては、派手な衣装&メイクで口パクで踊ってうたって、というゲイの男性でしょうか。

Joel Edgerton扮するチャーリーは、へなへなに見えて、一本筋が通っていて一生懸命のところが良いです。
SWのOwen Lars役のときは全然目立たなかったけど、こうやって主役をしても全然見劣りなし。
でも、レストランでローラに女装を怒鳴るところが変・・・
ラストに向けて最後の山を作っているとしても、必然性がなくて、単に振られた腹いせにしか見えません。
だって「女装の男性のために靴」を作ってるんじゃないの?
しかも困ったら結局あやまって頼ってたすけられるし。

いくら実話がベースといい、jesterはネタばれ厳禁で行ったのに、ほとんど読める展開。
そしてめでたしめでたしのラストといい、なんか・・・・イギリス映画っぽくないんですよね〜
ちょっと前は日本で見られるといったらハリウッド映画で、ヨーロッパ―――イギリス映画なんて単館でやってるだけで、見に来る人もほとんどいなかったのに、最近はずいぶん世界的に興行してるな〜と思っていたけれど、結局イギリス映画もハリウッドナイズされてきたということなのかしら。
肩の力を抜いて楽しめる作品だし、音楽もよかったし、くらっぽい画面とか、決して嫌いじゃないんだけど、なんだか足りないような気がしたのは・・・・・
やっぱり期待しすぎたせい・・・・かなあ??それでもね、ちょっとヒールのある美しい靴を履いてみたくなりました。
jesterは普段の生活ではヒールはあっても最高4センチまで。
たいていぺちゃんこな『ウクライナのおばちゃん』靴(as Lora said)しか履きません。
(なにせそれ以上の靴を履くと、巨シン兵になっちゃって、満員電車で頭が飛び出てしまうもので・・・)
あんなヒール履いたら、10歩で足をくじいちゃうかもな、と思いつつも、ほっそりしたハイヒールの華麗さにはうっとりしましたです。
最初に作っていた紳士靴もとっても美しかったけどね!