

オランダで起こったホロコースト、というと、なんといっても「アンネの日記」ですよね。
jesterは小さい頃からずっとアンネのことが気になっていて、アムステルダムにいってアンネの隠れ家を見てきたほどであります。
この映画にも、そんな隠れ家に隠れているヒロイン、ラヘルが登場します。
裏切り、復讐、欲望、怒り・・・様々なマイナスの要素が渦巻く中、必死で生き抜くユダヤ人とオランダ人、そしてレジスタンスたち。
誰が『裏切り者』なのか、最後の最後まで気が抜けません。
ヒロイン、ラヘルを演じるカリス・ファン・ハウテンは文字通り身体を張った演技で、ちょっと痛々しくなってしまうほど。
きれいな人ですけど、線が柔らかすぎてjester的には今一かな。
セバスティアン・コッホはドイツ軍の諜報部の将校ながら「善き人」があふれ出てしまうムンツェを演じてはまり役です。
しかしラブシーンでは、おなかがたぷたぷ。もうちょっと絞込み希望です。

ただ・・・どうしても「善き人のためのソナタ」と比べてしまい、人間描写が大味だった気がします。
主人公をはじめとして、人間像が深く掘り下げられていないので、ストーリー展開にはらはらどきどきはしますが、結局最後まで誰にも共感を持つことができずに終わってしまいました。
いい素材なのにもったいなかった。
実話ベースの脚本ということですが、人間の汚い部分、恐ろしい部分をこれでもか、これでもか、とリアルに描いてるんですよね。
確かに現実はこうだったのかもしれません。
戦争映画では、どうしても美談っぽく安っぽくなってしまうものが多いのに、バーホーベン監督は祖国の人たちの汚い部分、だめな部分も描いています。その辺の勇気は評価できると思います。
しかし・・・・その中にきらりと光る人間性みたいなものも少しは欲しかった気がします。
これはjesterのわがままでありますが、汚いものばかり見せられると、あとどうしようもなく落ち込んでしまい・・・・
・・・疲れた・・・・
その後ずっと、後味が悪くて、カタルシスも感じられず、
「ああ〜〜人間なんて嫌だ嫌だ・・・それでも生きていくのか・・・」

・・・「春は鬱」のjester向きの映画ではなかったですね。


いい人だったり悪い人だったりなんか混乱してしまう。(爆)
