2007年06月18日

敵、ある愛の物語  ENEMIES, A LOVE STORY

重婚で二人の妻に迫られ苦しむ男のコメディ、っていうと、チョウ・ユンファの香港映画、「大丈夫日記」を思い出します。
あれは笑ったけど、ユンファの情けない姿にちょっとしぼみました・・・

「ENEMIES, A LOVE STORY (敵,ある愛の物語)」は笑えるシーンもありますが、コメディではないです。

こちらはなんと三重婚。

0768.gifユダヤ人ハーマン(ロン・シルバー)はホロコースト経験者。

自分は納屋に匿ってもらって辛くも生き延びたが、妻子を強制収容所でなくし、匿ってくれたメイドのポーランド女性ヤドヴィガ(マーガレット・ゾフィ・シュタイン)と結婚し、渡米。

「君はメイドじゃないんだから」といわれつつも慎ましく尽くす妻、ヤドヴィガと幸福に暮らしているように見えたが、実は彼、アメリカで再会した、やはり強制収容所を生き延びた奔放で美しいユダヤ人女性、マーシャ(レナ・オリン、『カサノバ』でヒロインの艶っぽいお母さん役だった人)と愛人関係にもある。パンチ

マーシャは「法律的にはヤドヴィガが妻でも彼女はポーランド人だから、宗教的にはそうじゃない。私と宗教的に結婚して!!」
と迫る。
日本人ではありえない感覚だけれど、ユダヤ人としてはありえることなのかしら?

で、妊娠だ、いや想像だった、とすったもんだしているところへ、収容所で死んだはずの先妻タマラが、実は生き延びていて現われたもんですから、もう大変です。あせあせ(飛び散る汗)

狭いニューヨークのユダヤ人社会、避暑に行ってもパーティにいっても都合の悪いほうの知り合いにあってしまい、ばれそうになってこそこそ隠れたり、逆切れしてトイレに閉じこもったり。

その辺、優柔不断なハーマンの恐怖と疲労でへっぴり腰な姿に笑えるのですが、それとて、もし平和な社会に彼がいたのならこんなことにはならなかった、という真実が根底に流れています。

平和で豊かなアメリカに暮らしながらも、登場人物たちがそれぞれ、残虐な死に直面して、生き延びるために神をすて、苦しんだ経験を持つ物たちなので、ただのどたばたに終わらないんですよね。

ノーベル賞を受けたアメリカのユダヤ人作家I・B・シンガ−の原作を、P・マザースキー監督が丁寧に画像にしています。

PPP.jpgぴかぴか(新しい)特に印象的なのは、死んだはずの先妻、タマラを演じるアンジェリカ・ヒューストン。
彼女は『アダムズ・ファミリー』とかディズニー・アトラクションの「キャプテンEO」のイメージが強いですけれど、実にいい芝居をする人です。

3人の妻の間で右往左往し、どうにもならなくなったとき
「アメリカにはマネージャーっていうもんがいるじゃない? あたしがそれになってあげるわ。あんた、あたしの言うとおりにしなさい!」とタマラが宣言するのもおかしかった。

そして、この人だからこそ、ラストのショックな一言が、「男は女にはかなわない〜」というしたたかなユーモラスさとして生きてくると思いました。

1989年の作品です。



posted by jester at 19:49| Comment(0) | TrackBack(0) | た行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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