2007年07月03日

「黙秘」 Dolores Claibore 母と子の絆

スティーブン・キングが好きだけれど、ホラーは映画化されても怖すぎでなかなかみられません・・・・
と、下の『1408』の記事で書きました。
でも、ホラーじゃないキング原作の映画は好きなんです。
一番好きなのはなんといっても
ショーシャンクの空に

でございます。

皆様ご存知の名作で、ティム・ロビンスとモーガン・フリーマンの静かだけれど力強い演技は、いつ見ても『元気』をくれるんです♪
人生、あきらめちゃいかん。どん底からでも出来ることからこつこつといかなくちゃ、なんて思わせてくれます。


さて、次は、というと

黙秘


です!

原作は『Dolores Claibore (ドロレス・クレイボーン)』と言う題です。
(この邦題「黙秘」にはすごく違和感を感じてしまうのですが・・・なにがどうして「黙秘」なのさ!)


アメリカのメイン州にある小さな島で、ひたすら働き続ける母、ドロレスと、今は離れてしまった一人娘、セリーナ。

都会で華々しくジャーナリストとして働くセリーナの元にある日届けられたファックスには、故郷で母が殺人を犯した、という記事が。
それも長年勤めた雇い主の未亡人ヴェラを殺した、というのだ。

急いでフェリーに乗り、ふるさとの島に帰るセリーヌ。
警察で母と面会したセリーヌの前には、相変わらず誰彼なく口汚くののしるマイペースな母、ドロレスが。

とりあえず釈放された母と一緒に、実家に戻るセリーヌに、20年前の日蝕の日に起こった、もうひとつの殺人事件の記憶がよみがえってくる・・・・


とても良く出来たミステリー作品ですが、「ショーシャンク」と違って、かなり怖いシーンもあります。
でも、ここで語られているのは、母の娘への心なんですよ〜

とにかくキャシー・ベイツがいい!!

フライド・グリーン・トマトかの名作、「フライド・グリーン・トマト」でも絶対的な存在感で素晴らしい演技を見せていた彼女ですけれど、ここでも素晴らしいです。

ちょっと太目の中年女性の可愛らしさと哀れを演じさせたら、彼女ほどうまい女優さんはいないのでは、と思われるほどです。

しょっぱな、殺人事件の現場から映画は始まります

瀟洒な館のドアからゆっくりとカメラが入ると、階段の上から悲鳴。
「やめて!ドロレス!!やめて〜〜」

落ちてくるネグリジェ姿の老女。
頭を打って瀕死の彼女に、なおさら重いのし棒をもって殴りかかろうとするドロレス。
その殴ろうとする顔の怖いこと、怖いこと、夢に出てきそうです
まさに鬼婆
(彼女、「ミザリー」でオスカーを取ってますが、本当にうまいです。)

ところが取調べではドロレスは一貫して「私は殺人などしていない」の一点張り。

そんなドロレスをしつこく追及する刑事は、クリストファー・プラマー
長い今までの刑事としての業績のなかで、1点だけの黒星、20年前の殺人事件の犯人はドロレスだ!と今でも信じている。

20年前、皆既日食の日、ドロレスの夫、ジョーが死んだ。
結局ドロレスは有罪にならなかったが、その事件をいまだに根に持っているのだ。

見る者はこの二つの事件の謎に巻き込まれていくうちに、鬼婆に見えていたドロレスの本質が少しずつ見えてくる・・・・


未亡人ヴェラを演じるのはジュディ・パーフィット。
このヴィラがまたいいんですね〜
ただの口うるさいお金持ちの奥様のように見えて、夫の暴力で落ち込んでいるドロレスをみると
「そこ、ドアを閉めて。いらっしゃい。毎日どこかで夫は死んでいるわ。悲しいけれどこの世は男の世界。事故は悲しい女の親友なのよ
なんてすましていうのです。

この、ドロレスとヴィラの友情っていうのもいいんですよ。
ののしりあい、見た目は仲が悪く見えるけれど、実は支えあって生きている女たちなんですね〜


というわけで、キング原作ということでホラーを期待してみるとがっかりしてしまうかもしれませんが、この映画では、ミステリーの筋に絡めて、母の子への愛情と女同士の友情が静かに語られ、島という閉鎖的空間に閉じ込められた母が、なんとか娘を外の世界に脱出させようとした、必死の戦いが浮き彫りになります。

このレビューを書く前に再見しましたが、皆既日食のオレンジがかった光の中の映像もまるで悪夢の中のような画像で素晴らしくて、何度見ても古びることのない、味わい深い作品だと思います。

1995年の作品です。


posted by jester at 09:54| Comment(4) | TrackBack(3) | ま行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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