2007年08月18日

夕凪の街、桜の国

夕凪の街桜の国
 この映画の原作となったこの漫画については、jesterの別ブログでも何回かとりあえげてます。(こちらの記事など♪
物語の2部に当たる「桜の国」の舞台が、うちの近くであるというのも書きました。(こちらの記事ですだ

なので、戦後の漫画の中でも十指に入ると思われる傑作の原作については、あえてここでは語らず、映画のことだけ書こうと思います。

とまあ、jesterといたしましてはかなり思い入れのある原作ですので、原作の雰囲気をぶち壊して、お涙ちょうだいものになっていたら・・なんていう不安を抱えながら見に行きましたが、
映画もとてもよい出来でした!
日本映画もやるじゃん、と思いましたです。 

ストーリーについてはご存知の方も多いと思いますが、テーマは「原爆の後」。
投下後13年目から話は始まり、現代につながります。

テンポはゆっくりめですが、その分セリフが染み渡る感じです。

「そして確かに この二人を選んで 生まれてこようと 決めたのだ」

「わかっているのは『死ねばいい』と 
誰かに思われたということ
思われたのに生き延びているということ」


漫画の中で衝撃的だったいくつかの言葉がきっちりと生きています。

jesterは原作の漫画を読んだときにが〜〜んと来ちゃっているので、映画鑑賞時はそれほどショックを受けませんでしたが、それでも心に静かに響き渡りました。

好きな人にそっと抱かれて「生きていてくれてありがとう」といわれたとき、皆実の過去がゆっくり昇華されていくのが伝わってきて、泣けました。

この映画の(そして原作の)素晴らしいところは、原爆の悲惨さだけではなく、だからこそ、その後に命をいただいた私たちが、この平和な世の中で「生きる」ことを大切にしよう、と素直に思わせてくれることだと思います。

それは原爆被爆国だからということではなく、世界中の誰にも伝わるメッセージなのではないかしら。


漫画は漫画ならではの、真っ暗なベタの中でセリフのみの世界の強烈なイメージなどがあるのですが、映画は映画で、広島のまるで七夕飾りのような飾りがしてあるお墓とか、原爆ドームとか川が見られて、映画ならではのリアルさがよかった。
被爆者の痛みが同じ人間の等身大の痛みとして伝わってきました。
音楽がちょっと盛り上げすぎかな、と思いましたが、エンドロールの曲はよかったです。


邦画は見て月1本ぐらいですし、テレビドラマやバラエティは見ないので、日本の俳優さんの知識は全然ないjesterなのですが、演技上手の女優・男優がそろっていて、自然に映画の中に入り込めました。


Q.jpgぴかぴか(新しい)麻生久美子さんという女優さん、細面で日本的なとてもきれいな人です。

ほとんどメイクなしの涼しげな表情がゆかた姿にぴったり。
最近花火大会に向かう人を見てると、ゆかたなのにすごく暑苦しい髪型とかお化粧とかしてる若い女性を見かけますが、彼女をお手本にしてみたらどうかしら。
あれぞ「ゆかた美人」ですわ〜

最初は、原作ののんびりと見えて大きな影を抱えている皆実役には線が細すぎ?と思いましたが、現在の幸せに不安と心苦しさを抱えて苛まれている表現が上手で、見ているうちにこういう儚げな皆実もありかな?と思いました。


ぴかぴか(新しい)男性陣も地味だけどこころ温かく見える俳優さんたちでとてもよかった!

特に打越役の吉沢悠(有名な人です・・・か?)パンチ(殴)さんが素敵でした。
生涯の伴侶として頼りになりそうな爽やかな青年です。


旭の青年時代役の伊崎充則さん、子役で見たことのある人だけど、大きくなったわね〜
脇でしっかり支えてました。誠実そうで優しそうな「旭」でした。


P.jpg「桜の国」での東子役の中越典子さん。
・・・すみません、jesterは「へ〜〜、ユンソナって日本語うまいのね」なんて思って見てましたが、よおくみると違う人でした。(ぎゃああ、ファンの人、ごめんなさい!)パンチ
(だから〜〜ドラマ見ないんだってばあああ)パンチパンチ

寝顔が綺麗な女優さんですね。


田中麗奈さんも堺正章さんも演技、さすがです。
あとね、七波の子役の子も上手だったです!


そして、なんといっても皆実のお母さん役の藤村志保さんがよかったです
あのおっとりとした上品な声が、深い悲しみをちゃんと含んでいて、見るものの心の琴線に触れます。

原作はちょっと主人公の顔の書き分けが甘いのと、時代や場面が交錯して、最後にまとまるという形になっているため、わかり辛いかもしれない点があるのですが、彼女が二つの物語をつなぐようにずっと出ていることによって、映画ではとてもわかりやすくなっていました。

一見ばらばらに見えるエピソードが、何気なく書き込まれた伏線で微妙につながっていて、最後に全部の人のつながりがわかるという漫画の形式も、とても素晴らしくて好きなのですが、読解力がないと、途中で「意味わかんない・・」と投げ出したくなります。
(例;うちのスー姉)

たくさんの人、若い世代に見て欲しい!と思うので、映画でのこの辺のわかりやすさは、ある程度必要かもしれないと思います。


ただ、ラストの皆実は・・・・

原作の走り抜けていくようなスピード感がなかった分、あの、
「なあ、うれしい? 落としてから13年も経ったけど、原爆を落とした人は私を見て『やったぁ、また一人殺せた!』ってちゃんと思うてくれとる?」
というセリフにおどろおどろした『うらみ』のようなものがただよって怖かった気がしました。


佐々部清監督作品は「半落ち」ぐらいしかみていませんが、「チルソクの夏」とか「陽はまた昇る」とか、これから見てみようと思います。


jesterが見に行ったときは、周りは年輩の方が多く、(その多くが涙をぬぐっていらっしゃいましたが)あまり若い人は見られませんでした。

でも、戦後62年、戦争をしらない若い人にこそ見て欲しい!

いま当然のように平和を謳歌している日本の過去には、私たちの親や曽祖父母の悲しみの時代があったこと、この平和も気がつかないうちに失われてしまうことがあること、そして命の貴重さ・・・・

若い世代にぜひ伝えていきたいことです。


jesterも自分の周りの若い人たちをつれて、また見ようと思います。

東京ではもうすぐ終わってしまうので、急いで行きます。

こういう映画をお金を払ってみること、そして他の人に薦めることも、ちいさなきっかけになるかもしれないと信じているから・・・

う〜〜ん、全国の学校で夏休み明けにやってくれんかのお。

アメリカや、核保有国の若い世代にもぜひぜひ、強制的にでも見せたい!(をいをい)
(安倍さんにも小池さんにも、ブッシュにも、北の王子にも見せたいけど・・・あの人たちは感覚が麻痺しちゃってるからだめかしら・・・)


ちはみに、「桜の国」の舞台は、「新井薬師駅」とか「水道タンク」(原爆ドームのイマージュとして?)など、jesterの家の近くがでてくるって、上でご紹介したこちらの記事で書きましたが、映画では変わって「恋ヶ淵駅」などが舞台になっていました。

個人的にはちょっと残念でした。


posted by jester at 11:39| Comment(4) | TrackBack(1) | や行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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