2007年09月15日

パフューム ある人殺しの物語 PERFUME: THE STORY OF A MURDERER

公開当時、広告の写真に全裸の女性の死体を使ったことで話題となったこと、トレイラーがかなりネタばれで興ざめだったこと。
また、つい読んでしまったレビューで
「魚市場のシーンが気持ち悪い」とか「広場のシーンが・・」
とか言うのがあり、なんとなく映画館に行く気が失せてしまった作品ですが、DVDでやっとみました。

パフューム ある人殺しの物語

結論から言うと、なかなか良かったです。

美しい悪夢を見た、という心持。

繰り返して何回も見たいとは思わないけれど・・・


基本的にマニアックな秀でた才能を持つ天才(で変人)が出てくる話って結構好きなんですよね。

「数キロ先の匂いも嗅ぎわけるという、類い希な才能を持った青年グルヌイユが、香水調合師となる。究極の香りを求める彼は、その“素”として女性の肉体にたどりつき、次々と殺人を犯していくのだった。18世紀のフランスを背景に、シリアルキラーの物語ながら、映画全体にはどこかファンタジックな香りが立ちこめる異色作に仕上がっている。」(アマゾン、エディターレビューより)

・・・という話なのですが、グルヌイユが殺人を犯すのが、純粋に「香りの芸術」を求めてであって、根底にあるのが『創作への情熱』というところに救いがあるような気がします。

相手を傷つけて喜び、苦しむさまを見て快感を覚えるというのではなく、ただ、自分の心がしびれる「香り」を保存したい、という理想を追求しているためなので、殺人の動機に陰惨さを感じさせず、カメラワークがひたすら美しいので、被害者の無念さとか、家族の痛みを感じない
(それもそれで結構怖いことだけれど・・・・)

これが恨みからとか、己の快楽のために次々人を殺す、というのならjesterの心はかなりの確率で拒否反応を示しちゃうんですけれど、そういう反応をしないですんだのは、このせいかもしれません。

でもどこが違うんだ、といわれると、考えてみれば快楽殺人だって究極的にはもしかして同じことなのかもしれないんですよね。
うんうん。
結局『綺麗ごと』だからなのかなあ、自分。

とにかく、こんなことをする連続殺人犯の主人公なのに、不快感を覚えず、彼のわき目もふらない職人ど根性(?)に、なぜか共感してしまってるのでした。


ぴかぴか(新しい)画面から香りが立ちのぼるような撮り方には驚かされました。
死体ですらとても美しかったし。

多分わかりやすい「悪臭」を緻密に描くことによって、よい香りを浮き彫りにしたのかも。

男性にとって、若い美しい女性の香りってお花畑にも匹敵する素晴らしいものなのでしょう・・・ね・・・多分。


あの時代の貧しさ、汚さ、みだらさ、猥雑さが細密に描かれ、芸術的にまでなっていた。
とにかく画像の芸術性の高さに圧倒されます。
舞台がフランスなのにセリフが英語!・・・という違和感も、見ているうちになれました。
英語のほうがわかりやすいしね・・・(当社比)パンチ


ストーリーにはアナがあるし、ラストには賛否両論あるとおもいますが、これはホラーでもサスペンスでもなくて、ファンタジーですからね・・・・
現実にあんな香りがある訳ないとか、そういうことは言いっこなしだとおもいますです。


ぴかぴか(新しい)主役のベン・ウイショーがぴったり。キャスティングした人はうまいな〜。

冷酷で異常な殺人犯なのに、なぜか捨てられた子犬みたいな目をしてて、その困った顔が母性本能をそそるのか、嫌悪感を感じさせない。

狂気というより、世が世なら巨額の富と栄光を得ていたかもしれない「嗅覚の天才」であり、彼にとっては香りを追求するのは生まれつきの必然であったとすんなり思わせるところがすごい。


ぴかぴか(新しい)脇を固めるアラン・リックマン(スネイプせんせ〜)とかダスティン・ホフマンがまた良かった。

この二人を要所要所に投入することで映画がしまっていたと思います。

被害者の父親のアラン・リックマンが悲嘆にくれるところで、やっと
「あ、これは殺人なんだ。香水の材料集めじゃなかった・・・」と罪の重さに気がつかされます。

Alan Rickman

しかし、アラン・リックマンの声ってなんて素敵なんでしょう・・・

考えてみれば、ハリポタのスネイプ先生でも、ダイハードの1でも、彼の声にやられっぱなしですだ・・・

彼が朗読している本のCDがないか、検索かけてしまいました。

そんでみつけたのが、伝記のこの本。

アラン自身、この本を評価してないみたいだけど、読んでみたくて朗読CDを買うついでに買ってしまった。

The Return of the Native

買ってしまったのは、こちらの朗読CD。

純粋にアラン・リックマンの朗読が聴きたいだけでございます。
ああ〜あの声をナイトキャップに眠るなんて、最高じゃございませんか♪

耳福、耳福黒ハート



るんるんあと、ベルリンフィルの音楽がとっても素晴らしかった〜

この繊細な天国的な音楽なしには、あの香りを感じさせることも難しかったかもと思われるほどでした。

鼻腔をくすぐる香りと甘い音、そして緻密に作り上げた画面に酔いしれ、幻想のたちこめる18世紀のフランスにタイムスリップできました。


散々いわれてる「魚市場」とか「広場」のシーンは、覚悟していたせいか、それほど気にならなかったです。


見終わったあと、洗面所の棚に眠っている香水の瓶をいくつか取り出して、ハンカチにしゅっしゅっとして振り回してみたjesterでありました・・・。


posted by jester at 11:51| Comment(14) | TrackBack(3) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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