jesterは音痴ながら、モーツアルト大好きでして、マーラー、ショパン、ワグナー、ブラームス、ベートーベン・・・・といろいろ浮気しても、やっぱり戻ってくるのはモーツアルト、なんでございます。
だもんで、「魔笛」が映画になると聞いて、とっても不安。
最初はかなり見ようか迷っていたのです。ドイツ語じゃなくて英語だというし・・・
でもね〜
見たらはまってしまいましただ・・・ 映画館にかようはめになりました。
もともとステージとかオペラは生で見ないと、気が伝わってこないような気がして、音楽DVDでBGM的にオペラを流すことはあっても、DVDや映画でオペラを堪能しようという気はあまりないのです。

舞台を第一次大戦に置き換えている、というのもちょっと見てみたかったし・・・。
そして
「きっとがっかりするよ」
と覚悟をしていったせいか、これが楽しめてしまったのです〜


こんなSarastro、初めて見たよ〜〜
コスチュームが、ふつうは領主風のこてこてのものなのに、すごくシンプルなシャツ・・・ カツラではなく現代的な髪型。
きっちり正義の味方に見えるやんけ! (興奮して一部言葉が乱れました・・・失礼しました・・・)
地底を揺るがすようなバスの声もめちゃくちゃ美しいし、ちょっとオリエンタルな味わいも持つ風貌に、でも絶対ドイツ人だろうあんた、というフィットなガタイもすばらしい。
声は聞いたことがあったし、写真も見たことあったけど、動いてるところ見たらもう、画面に見るたび、目が釘付けです・・・


ま、どなたもそこはかとなくあごの辺がだぶついてますが、それでもふつうは富士真奈美さんみたいなPaminaとかがでてきますからね・・・

それも生舞台で、遠目で見るにはかまわないけれど、舞台を撮ったDVDの画面でアップになると、正視がつらかったりする方も・・・います。はい。


「オペラ歌手って、見た目より歌唱力のみで選ばれてるのね」なんてこっそり思ったりしてました。
この映画ではさすがにそういう人がいませんでしたね。
先日、全員日本人キャストのオペラ「ファウスト」を見たばかりなのですが、日本人は体が華奢で綺麗な歌手が多いけれど、やはり比べると、声の厚みというか、響きが全然違いますね。
残念だけれど、楽器としての体の構造が違うから仕方ないのかな。
なかなか海外から来たオペラは高くてなかなか見られませんから、大画面、いい音響で、1800円で見られて、お得感もありました。
(でもね、テアトルタイムズスクエア、期待していたほど音がよくなかった気がしたけど・・・)


歌は上手なんですけど・・・

しょっぱなから大蛇がでてこなくて、代わりに毒ガスだったりするわけで、新しいもん好きのjesterはどきどきして、次にどんな展開になるのか画面に釘付けです。
Queen of the Nightなんか戦車に乗って出てくるし・・・(爆)
歌ってる唇から戦車が出てくるみたいに見える、なんてちょっと気持ち悪かったけど・・・
何百万もの白い墓石が連なっているところ、「小林三郎、享年18歳って誰ね?」と思いつつ、伝わってくる反戦のメッセージに打ち震えました。
それは最後の武器をおいて歩み寄る兵士たちのシーンでも、抱き合う兵士たちに、平和への渇望が痛いほど伝わってきて、感動・・・
それまでどうして?と思っていたけれど、「だから舞台を第一次大戦にしたのか!」と納得がいきました。
あとね、塹壕に詰まれた砂嚢に目があって、それが顔に見えてきて、合唱する、っていうのもすごく不気味で、それでいて新鮮な画像で、どきどきしちゃいました〜

Papagenoが巨大な唇に突っ込むシーン(爆)
なんなの、あれは・・・
Papagenoは「魔笛」のなかでは、歌も演技もかわいくて好きなキャラクターなんですが、今回演じたBenjamin Jay Davisさんはちょっとアップで見るにはあつらっこく、最後のほう見飽きましたわ・・・・

どの子も将来が楽しみな美形でした!

というか、ドイツ語だと意味が分からないので単に音に声が乗っているだけだった歌詞が、意味を持つセリフとして聞こえるのが結構嬉しくて、これだったら一緒に歌えるかなと(迷惑だからやめれ)CDを買ってしまったほど・・・
(DVDも出たら絶対買います!)
前に、四季なんかの翻訳ミュージカルで日本語が歌にうまく乗っていないって文句を垂れたことがあるのですが(こちらの記事です)、英語とドイツ語だと、一音に乗る意味がほとんど変わらないので、思ったより聞き苦しくないのです。
「Ich liebe dich」という音に「I love you」を乗せるのは、「私はあなたを愛しています」を乗せるよりずっとスムーズなわけで。
そりゃ、同じ言語族ですものね。
なので、これはそれほどオペラの知識がないjesterだからこそだと思うのですが、英語の歌詞は問題なかったです。
字幕を追わなくても意味が分かるだけ、うれしかったぐらいですだ。
それに、正統派オペラファンのお叱りを覚悟でいっちゃうと、ドイツ語は「イヒト・・・ィッヒ、・・・ッヒ、・・・ビッヒ、シュッシュペット、アイマ・・・ィッヒ」って言う音の繰り返しが・・・なんか気になるんですよ。(爆)
ええ、もちろんこれはjesterがドイツ語知らないからなんですけど。
イタリア語のオペラは全然違和感ないのに・・・。
「ドイツ語は・・・閣下、怖れながら、音楽には向かないと思われます・・」なんてどこかの宮廷音楽家の真似していいたくなるときも、正直ちょっとだけあります。(ばき!!

ちなみに、ドイツ語から英語にリライトしたのはStephen Fry さん。
俳優はもちろん、いろいろ才能がおありなんですね。
Harry Potter and the Half-Blood Prince (Harry Potter 6): Chilren's audio CD edition [AUDIOBOOK]
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ちなみに彼はこのCDなどなど、ハリポタ本の朗読をやってます。
いま、ナイトキャップで聞いている途中なので、なんか嬉しかったりして。
すんごくよく眠れるんですよ〜 彼の声。
1つのChapter、最後まで聞けたためしなし、であります。
(ちなみに、Harry Potter and the Deathly Hallows のネタばれ全開レビューの終盤戦をゆきてかえりしひびでやってます。ご興味のある方はどうぞいらしてくださいませ)
とはいえこの映画、オペラを、そして音楽をお好きでない方にはあえておすすめしませんけれど・・・

オペラをそのまま映画にしているので、「映画として楽しもう」と思ってみると、もともと破天荒でストーリーなんかないに等しい「魔笛」ですから、つまらないかも。
それでも、音楽は最高なんで、それなりにクラシックがお好きな方なら、イメージビデオみたいに見られるかもしれませんが、それにしては長くてお尻が痛くなるしね・・・
そのうえ、オペラをすごく愛している、という方にも評価が分かれるでしょうね。
ドイツ語で歌詞が理解できる方には特に。
というわけで、知識もないまま半端にオペラは好き、というjesterが、映画好きの方が読む場所に、この映画のレビューを書いてもなあ・・・と思って、アップが遅れていたレビューですが、もう終わりということでちょっくら書いてみました。
変なことかいてたら、許して〜〜