2007年10月29日

ヘアスプレー Hairspray

最近のミュージカル映画化というと、くねくね踊りと熱唱の連続の「DreamGirls」が駄目だったjesterですし、その前の「Rent」もメッセージ古すぎって感じでしらけちゃったし・・・
その上トラボルタの女装とか(爆)いろいろ不安な要素があったHairspray(ヘアスプレー)を先週見てきました。あせあせ(飛び散る汗)

もうしょっぱなから、すごいハイテンションの「Good Morning, Baltimore!」におお!とたじろぎつつも乗せられました。
朝から夕方まで元気! 踊りまくる! 直球勝負!

トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)はなんかもう人間離れしてて、「シュレック」とかに出てきそうなキャラクターですわ。
ファッションもかわいいし。

しかしどんなに激しくダンスしても、痩せないのだな・・・・あせあせ(飛び散る汗)

それから、ヘア・スプレーをあんなにシュウシュウまいたら、かなり呼吸器に負担がかかりそうです〜

思わず息を止めてみてしまったわたらーっ(汗)


でも心配していたトラボルタの女装も、やっぱりなんだかモンスターじみてるけどパンチ
『こんな太ったあたしでごめん』という謙虚な感じが可愛らしくて、中の人がトラボルタだ、とか思わずに楽しめました。


といいつつも白状すると、実は途中あの大音響のなかでうつらうつらしてしまったわたくしでございましたが・・・・パンチ

だって話の先が読めちゃうんだもん・・・・

まあ、踊りと歌を楽しむ映画だから。
脚本がどうのという問題じゃないんですよね・・・


でもねえ・・・
人種差別問題を「かわいい!明るい!キュート!楽しめた!」という感想がでるようなストーリーに入れるのはどうなんでしょうねえ・・・

しかも結局視線はずっと差別する側である白人のままで展開しちゃうんですよね。
被差別側から見たら、気分悪いだろうなあ〜と思うシーンもあったし。

どうもこういう風にエンタテイメントを狙ったものに、添え物のように社会問題をいれて物語に無理矢理深みをだそうという映画はよくあるんですけど、jesterはこういうテーマは正面から捕らえるべきじゃないの? なんてね、思ってしまいます。

今も解決してなくて、現実に苦しんでいる人がいる問題ですし・・・
(まあ、無視してるよりはいいのか?とも思うけれど・・・)

だもんで、最後、めでたしめでたし、皆で入り混じってダンスを踊り狂っておわり〜というラストも一緒に盛り上がれなくて、ちょっとばかりしらけてしまいました。

こういう、いかにもアメリカ的な、実は自分の問題なのに外から見たみたいに、痛みをこれっぽっちも伴わずに作られる映画はどうも斜めに見てしまう傾向がある、天邪鬼jesterであります。
ごめんなさい〜〜ダッシュ(走り出すさま)




posted by jester at 08:56| Comment(6) | TrackBack(0) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月23日

パンズ・ラビリンス (EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH)

逃避としてのファンタジーは誰しも覚えがあるもの。

特にこどもの頃は、とくに現実がつらいものでなくても、しょっちゅうトリップしてしまうものですよね。

古今東西の名作ファンタジーはストーリーそのものが「現実逃避」だったりします。
C.S.ルイスの「ナルニア」やミヒャエル・エンデの「はてしない物語」などなど、例を挙げると切りがないほど。

この「パンズ・ラビリンス」も夢ともうつつともつかない幻想の世界に行くことによって、つらい現実から逃避しようとする少女の話。

でも、現実は過酷であり、幻想もまるで悪夢の世界です。
ダーク・ファンタジーと言われる所以はこの辺にあります。

ストーリーはスペイン内戦で父を亡くし、冷酷な大尉と子をなし再婚した母と大尉のいる山にやってきたオフェリア(イバナ・バケロ)が、そこにあった昔の迷路の中に迷い込み、迷宮の番人、パンにあって、自分が属していたファンタジーの王国に戻るため、3つの試練を通過しようとする、というお話。


この現実が少女にとっては大変に過酷なもの。

ヘミングウェイの「誰が為に鐘は鳴る」の舞台にもなったスペイン内戦ですが、映画の中にはファンタジーと銘打つにはあまりに残酷なシーンがあります。

どの戦争でも残酷でない戦場などないのは分かっていますが、子供向けではないリアルさです。
舞台になっているのが1944年ということですから、フランコ将軍が勝利宣言をしたあとですね。
人民戦線の残党への激しい弾圧・拷問の様子が描かれます。
これが今でも続く憎しみの連鎖のテロ活動につながっていくのですね・・・


弾圧する側である、オフェリアの義父になった大尉は、豪胆で冷酷な性格の反面、音楽を愛し身の回りを几帳面に整える男。
その私生活をみていて、同じく綺麗好きでワグナー大好きだったアドルフ・ヒトラーを思い出した人は多いはず。

健康にいつも注意する几帳面な菜食主義者で、犬を熱烈に愛し、捨て犬を拾って育てたりしていた反面、狂気の独裁者であり、罪もない1,100万人以上の武器を持たぬ人々を虐殺したホロコーストを先導したヒトラー。

彼と比べれば大尉は小物かもしれないですが、人間的に一番大事な部分が欠如しているそのアンバランスな人格は、ヒトラーなど実際の迫害者をモデルにしていると思われました。
どこの地域でもこういうカリスマ性はあるが狂気を帯びた非人間的な人間が、その魅力と話術でものを深く考えのない人間たちを洗脳し、人々が盲目的に従ってしまうことから悲劇がはじまります。

彼が腕まくりをし、目を輝かせて行う拷問、通りすがりの村人を尋問するのに瓶で殴って殺してしまうシーンなど、目を背けたくなる場面が多々ありました。
しかし、父親の形見の時計を隠し持って、自分の死ぬ時を意識するなど、彼も単なる悪役で終わっていないところがすごい。


しかしその現実から逃避するためにオフェリアが構築したファンタジーも、かなりグロテスクです。

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ラビリンスの番人、パンは森にいる「牧羊神」ですが、その造形は怖い。
神というよりサタンのような、古代からの土着の迷信の神を思わせる姿です。

巨大ゴキブリみたいな虫がいっぱい這う木のうろにすんでいるガマガエルや、普段は目をはずしていて、エジキが来るとその目を手のひらに嵌めて追いかけるPale manなどは、まるで悪夢にでてくる常連さんって感じで、子供がみたら泣くでしょう。

食べちゃ駄目〜と思っているのに食べてしまう葡萄も、悪夢ならではですよね。

大人向けの、ホラーテイストの、といったらいいのか、冷や汗をかいて目覚める夢のような、甘さのないファンタジー世界は、また独創的な魅力もあります。
悪夢と言っても美しい悪夢。

ハリウッドで乱造されている「勇気と愛があふれた冒険ファンタジー」の物語ではありません。
見終わってほのぼのとか、すっきりと言うことはなく、見るものの精神状態が疲れていればいるほど、ド〜〜ンと重くのしかかる展開です。
残虐なシーンも過剰に思われるほどに繰り返し挿入されます。

しかし現実の持つ残酷さをリアルに描いた作品としては佳作だといえると思いました。


物語の中での救いは、スパイとして大尉の屋敷で働いている女性、メルセデスです。
反乱軍にいる弟と連絡を取りつつ、食料なども盗んでは渡しに行っているメルセデスは、オフィリアの面倒を見るうちに、この哀れな少女を愛し始めます。

メルセデスがエプロンのおなかの部分にナイフを隠すのをみて「転んだときとか、昼寝してるときにおなかに刺さらないのか」と不安になったjesterですが、このナイフがキーアイテムなのは、何回もアップになるのでわかります。
彼女には感情移入して、こぶしを握って応援してしまいました。

彼女の歌う「子守唄」も良かった。
「題名のない子守唄」のもそうでしたが、母の愛の代名詞のような「子守唄」を子供が求めるシーンではいつも涙をそそられてしまう・・・

また、ゲリラをかばってこれ以上拷問されないように殺害し、大尉の逆鱗に触れて凶弾に倒れる老医師も良かった。
こういう隠れたヒーローがたくさんいたのかもしれませんね。


虫がだめで、グロいのや流血シーン&ホラー映画が苦手なjesterですので、「どなたにもおすすめ!」とはいえないのですが・・・・、心に残る1本でございました。


posted by jester at 09:47| Comment(19) | TrackBack(11) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月19日

幸せのレシピ NO RESERVATIONS

エンディングにもかかったパヴァロッティの美声の「もう誰も寝てはならぬ」に酔いしれて、映画館を出るときはいい気分だったのですが・・・・

「NO RESERVATIONS(幸せのレシピ)」の評価って、元になるドイツ映画「マーサの幸せレシピ」を見ている人と見てない人(か、元の映画への思い入れがあるかないか)で分かれるのかもしれないな〜って思います。

マーサの幸せレシピ

jesterは「マーサの幸せレシピ」が大好きだったので、どうしても比べてしまうという例の「リメイク現象」にはまりました。
リメイクは「シャイン」のスコット・ヒックス監督だったので、期待してしまったのも悪かったかもしれない・・・あせあせ(飛び散る汗)

でも、もし「マーサの幸せレシピ」を見てないでこれを見たらどう思うかを冷静に考えてみると(どうしても冷静になれないんだけど)結構好きな部類の映画なんじゃないかと思うのです。
見終わったとき、気持ちが明るくなってるのがいいし。

でも、見ちゃったものを見てない振りは出来ないので・・・

というわけで、2つの作品を比べてのレビューになってしまいます。

お許しください・・・・パンチパンチパンチパンチ



基本的に、二つの映画はとってもそっくりに作られているんですよね。
セリフも、衣装も、脇役の顔までよく似た感じだったりします。

よく似すぎているので、どうしても違う部分が目立つのよね・・・


そう、舞台がドイツじゃなくて、ニューヨーク

これが大きい違いなんだなと思います。

ニューヨークはイタリアと地続きじゃない! 車で行き来できない!

したがって、姪っ子のイタリア人の父親探しができない!

だから、姪っ子がイタリア人の副シェフに親近感を持ったり、パスタだったら食べたりする心理描写が出来ない!

で、預かったヒロインも「父親を捜してその元に送り届けるまで預かるだけの関係」からスタートできない!

それから、イタリア人気質とドイツ人気質の大きな違いと、両国間の心理的反発が、アメリカ人同士だとないから、単に性格が違うだけに見えておかしさが半減しちゃいます。

(jesterの知る限りですが、両国民は仲があまり良くなくてイタリア人はドイツ人を嫌いな人がよくいる。ドイツ人はイタリア人を馬鹿にしているときもある。
もうイタリア人の子どもたちなんか、インターナショナルスクールに来月ドイツ人が転校してくるっていうと、眉の間にしわを寄せて「ドイツ人には注意したほうがいいのよ」なんてほかの国の子供たちを洗脳しだすほど(爆)ライバル心みたいなもの?があるみたいです。)


この辺が、リメイクの限界部分かな・・・。

それなのに、セリフとか心理描写をそっくり同じにしようとするから、どうしても脚本に無理がでる・・・・あせあせ(飛び散る汗)


というわけで、ゾーイがケイトとニックをくっつけようとしているように見える行動とか、レストランに来ちゃだめといわれて、自動車に轢かれそうになりつつ走るほど動揺するとか、それまで人に心を開けなかったケイトが、初めから母性本能があるように見えちゃったりとか、なんか不自然な感じがしてしまったのだと思います。


大体、アーロン・エッカートがシェフに見えないんだ〜

(キャサリン・ゼタ=ジョーンズだって、普段からお料理している人に見えないんだけど・・・)
あの無精ひげとぼさぼさの髪型からして、お願いだからお料理を仕事にするなら、帽子ぐらいかぶって欲しい、って思う・・・
いくらオペラが好きでも、生のウズラを片手につかんで振り回しつつ、厨房で大声で熱唱、なんて、笑えないじゃないですか・・・

だからというわけじゃないけど彼の「おばあちゃん秘伝」のパスタがおいしそうに見えないの
(「マーサの幸せレシピ」のマリオの「マンマのパスタ」じゃなくて、グランマの、になっているところがまたそれらしくなくて説得力がないし)

そして、ゾーイが食べるバジリコとポモドーロのパスタも、麺が伸びて張りがなくて曲がってくっついちゃってるし、トマトソースはどろどろだし、バジルなんか、さっきフレッシュな葉っぱをちぎってたのに、パスタに載せるときはみじん切り(?)になって、塩もみしてるみたいに黒く変色して見えて、全くおいしそうじゃない・・・
(食いしんぼのjesterにとって、食べ物の恨みは大きいです・・・子供が厨房に入って料理を手伝うのもすごく気になったし。)

彼はイタリア人じゃなくて、高校卒業後イタリアで修行したアメリカ人、っていう設定なんだけど、ゾーイの父親がイタリア人じゃないんだから、「イタリア料理」の必然性がなくなっちゃってるのよね。


対する「マーサ・・・」のほうのマリオは、お調子者で陽気でいつも歌を歌ってる感じがまさにjesterのイタリア男のイメージにぴったり。
こういうイタリア人って多いんだもん。
リナがまだ見ぬ父のイメージをマリオに投影してしまうのがわかります。

そんで、黒髪+浅黒い皮膚+背は低め、のもろラテン系で、マーサがガッチリ体型の色白ゲルマン系っていうのと正反対なところも、外観からして二人の相性が悪いのがわかって笑えるのです。


ヒロインは料理は天才的だけど、柔軟性に欠けていて人間関係を構築するのが苦手、精神的に追い詰められると冷凍庫(リメイクでは卵なんかも入っていたから冷蔵庫かな?)に閉じこもるっていう精神的症状があるんだけど、ゼタ=ジョーンズは自信にあふれている感じで、「心が開けない」と悩むタイプに見えないのよね〜

だから、ただ姉が死んで、悲しくて泣く場所がないから冷蔵庫に入っているみたいに見えてしまう。
(ただしリメイクのほうが、息が白く見えて、気温が低いのがよくわかったけど・・・)

「マーサ」で印象に残った、マーサの
「イセエビを料理するとき、暑いお湯に入れるなんて残酷だ。一息に首を刺してやらなくては。」
「何を入れたかはわからないけれど、何を入れなかったかはわかるの」とか、マリオの
「太陽の輝くイタリアに残りたいはずがないさ。暗くて寒いドイツで暮らせるのだから」
なんていうセリフもなかったし・・・。

ラストにいたっては、まるで「レミーのおいしいレストラン」!!
アメリカ人ってほんとにああいう単純な終わり方が好きなのね・・・



ま、リメイクでゾーイ役のアビゲイルちゃんはさすがに演技が上手で、大きな目にうるうると涙がたまるところなんか、もらい泣き。

「かわいい女の子」のイメージじゃないんだけど、それがまたいいのよね。

それにしても、「リトル・ミス・サンシャイン」を見たのはお正月だったのに、少しの間にアビゲイルちゃんがすっかり成長しててビックリしました・・・。


でも、もし「マーサの幸せレシピ」を見てなくて、この作品をみたら、きっと全然違うレビューを書いたんだろうな〜と思いますので、未見の方にはあまり参考にならないレビューだったと思います。パンチ

posted by jester at 19:04| Comment(10) | TrackBack(1) | さ行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月17日

ミス・ポター Miss Potter

すごく間があいてしまいましたが、Miss Potterのレビューであります。

初めに悲しい告白を。たらーっ(汗)

最初に見に行った日、友人と一緒でした。

しょっちゅう一緒に行動している友人なのですが、映画はあまり見ないヒトなので、わたくしのホーム・シアターの、とあるシネコンへ。

「ほら、ここでひざ掛けを借りてね、こっちのトイレが広くてすいてるの。」「この辺が座ってちょうど目線に画面が来て見やすいんだよ」「ここに荷物がかけられるんだよ」と甲斐甲斐しく世話を焼くjester。

さて、あたりが暗くなり、予告編が始まりました。
う〜〜ん、この映画も見たいなあ・・・などとつぶやきつついくつかの予告編を見ますと、まるで本編のように見える予告編が始まりました。

「これって予告編・・・?」などとささやきつつそれでも見てました。

なんか宇宙の画像から、日本の漁師たちが船に乗ってます・・・。
Miss Potterで日本が出てくるはずないから予告編よねえ・・・・

そのうち、ヨアン・グリフィズが出てきて手をぐいーんと伸ばして、網棚の荷物を取ったので、
「ああ〜、これ、『ファンタスティック4』の予告編だわ!」と友人にささやくも、その長さに微かに忍び寄る不安の影・・・・
予告編って、もう公開が始まってる?『ファンタスティック』って・・・・
 
そうなのか、ほんとにそうなのか・・・あせあせ(飛び散る汗)

ああ〜〜 私たち、見る映画を間違えてる・・・とやっと気づく。(註;正しくは「私」でした)

朝一の上映だったので、どのスクリーンのドアも開いていたのと、もぎりのおねいさんが「こちらで〜す」と指したドアが違っていた(と思った)のだ、と言い訳しても、ドアの横のポスターを見ないで何も考えずスクリーンの中に入ってしまったのは、わたくしの責任ですだ・・

一瞬「このまま『ファンタスティック4』を見てしまおうか?!」という強い葛藤が胸の中に湧き上がりましたが、
「いいや、今日は『Miss Potter 』の気分で来たのだから、『Miss Potter』を見よう!!」と決心し、友人と共に背をかがめて『ファンタスティック4』から抜け出し、『Miss Potter』のスクリーンに忍び込んだわたくしたちだったのでした。
ああ、はずかし・・・・というか、(いつもながら)アホか! 自分!

すんまそん、つまんない話長々としてしまって・・・・パンチ

そんなわけで1回目は始まって5分ぐらい経過してしまってからの鑑賞になりましたが、と〜〜っても良かったのでまた見に行き、結局3回見ました。黒ハート

おかげで最初の時に見のがした、インクが水に広がる美しいシーンもしっかり見ることができました。


ph_cast01.jpg
最初レニー・ゼルウィガーがイギリス訛りでしゃべってるところを聞いたときは、どうしても「ブリジット・ジョーンズ」に見えてしまって・・・・

破顔の笑顔も、間の取りかたも、ちょっとわざとらしく感じてました。
でも話が進むにつれて、ぐう〜っと彼女の演技にひきこまれました〜

レニー、本当に綺麗だし、あふれるような微笑は素敵です!
まず彼女をキャスティングしたのが大成功。
それと脚本も素晴らしかった。


本来「ヒトが死ぬ話」って悲しくて当然だと思うのです。
だから、そういうものをえさに泣かそうとしている製作側の魂胆が見えると、一気にしらけてしまうことがあります。
(ま、それでも泣いちゃうけど・・・)
特に邦画とか韓国などアジア系の映画で多いですよね。
「やれ泣け!!」というあま〜い音楽と一緒に乙女の涙を絞ろうとする映画。


この映画でも「人が死ぬ」のですが、それでもしらけさせないのは、そこに至る恋心の切なさと、絶望、再起への努力、そして再生、という過程がきっちり書き込まれているからだと思います。

「死」に直面するシーンももちろん悲痛ですが、そこをしつこく描かずに、その後のPotterさんの頭を高く上げた生き方を描いていることに深く感銘を受け、勇気をもらった感じがします。


オルゴールで踊るシーン(ユアンの優しい声の歌!)、また、あとでそのオルゴールを聴くシーンなど、秀逸な美しいシーンがたくさんありました。

ユアン・マクレガーはどちらかというとあまり好きな部類の俳優ではないのだけれど、この映画のユアンはよかったっす。

それから、木漏れ日の中でスケッチするシーンや、窓辺でソファーを台に書き物をするシーンも素敵です。

あんな緑のあふれるところで、フィトンチッドたっぷりの大気を吸いたい!
イギリスの湖沼地帯に絶対行く! と決心を固めました。
(やれやれ・・・)


また、ノーマンの姉、ミリーとビアトリクスの友情も良かった。

最初出てきたとき、ミリーはエキセントリックに見えて、その座ったような目つきがちょっと怖かったけど、だんだんに二人が打ち解けると、ミリーは心はとても純粋でシンパシーを持てる人間だったのがわかってきて嬉しかったです。

それまで、少女時代からずっと、スケッチと自然研究と本を友とし、自分と異質な人間たちとのお付き合いのお茶会では微笑みつつも体を堅くして、孤独に負けずに一人で生きてきたビアトリクスが、自分で自分の人生を切り開き、仕事と、心通う友人と愛する人を見つける過程が、同じような悩みを持つ人々に勇気をくれます。



Pride and PrejudiceでMr. CollinsをやっていたDavid Bamberさんが、ノーマンのお兄さん役でチラッと出てましたね。
思わず「お! Mr.Collins! お元気?」と思ってしまった。

ph_intro01.jpg
湖沼地帯の美しい風景は見ているだけで癒し効果があるし、財産家の家の生まれなのにシックでシンプルなビアトリクスの洋服も素敵。

同じ身分の人たちが華美で過剰に着飾っているのに対して、ビアトリクスの知性を感じさせるトラッドなファッションが良かった。

屋根裏のようなビアトリクスの画室は、続きの部屋への小階段を含めてすてき。
絵の具や筆やスケッチブックでいっぱいの机、飾ってある自分の絵、ブラインドから差し込む柔らかな光・・・
もううっとりです。あんなお部屋、欲しいなあ・・・
Bath roomだと思われる奥もどうなっているのか見たいです。

後半でビアトリクスが住む農家がまた素敵でした。
外の花が咲き乱れる庭やレンガの壁もいいけれど、テーブルに切り花を飾った室内が、彼女が生活をいとおしんで暮らしているのがわかるような、質素だけれど心のこもったしつらえがとても和みます。

またそれにくわえ、jesterのつぼである「お絵かきシーン」もたくさんあり、幸せです!

見終わったあとは「絵を描きたいな〜」という気持ちがむくむくと涌いてきて、早速スケッチブックを取り出してしまいました。
そういう意味でもとても嬉しかったな。

The Tale of Peter Rabbit: Commemorative Movie Edition

ビアトリクス・ポターさんの絵本は大好きで、昔から私の宝物ですし、彼女の伝記も読んだことがあったのですが、この映画を見てますます好きになってしまいました♪
本棚からほこりを被っていた絵本を取り出して眺めては楽しんでいます。

この映画を記念して、復刻版もでているようです。

それと、埼玉に「ビアトリクス・ポター資料館」というのがあるのですね。いつか行ってみたいです。


ちなみに私の大好きな登場動物は、Tom Kittenです。
ま、猫好きとして当然かと。

どうです、この腹!




お話として好きなのは、「The Roly-Poly Pudding」です。

ネズミ夫婦の家に落ちてきてしまって「煙突掃除をしてた」なんていいわけするTomがかわいいし〜

ネズミの夫婦につかまってRoly-poly Pudding にされかかったTomの
「みぎゃああ!」と悲鳴をあげてるシーンの絵が大好き♪


Original Peter Rabbit Calendar 2008 (Calendar)

一時期こればっかり使っていた、ピーターラビットのカレンダーは、マンネリ化して最近浮気して使っていませんでしたが、また使いたくなって、来年度用のをオーダーしてしまいました♪

近所では26日に終わってしまいますが、それまでにもう一回行けたらいいな〜と思ってます。


posted by jester at 08:52| Comment(10) | TrackBack(3) | ま行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月04日

題名のない子守唄 (LA SCONOSCIUTA)

女に生まれた喜びと幸せ、そして悲しさ・・・・

レビューをサボってましたが、このところ、イタリア映画の秀作にあたってます。
「ミルコのひかり」、そして「題名のない子守唄」

見た順番とは前後してしまいますが、まず「題名のない子守唄」について書きたいと思います。

20070816012fl00012viewrsz150x.jpg とても上質のミステリーでした!

お勧めです!!

でもミステリーなので、ネタバレ厳禁。

何しろ一番最初に「このラストは誰にも話さないでください」なんて出るんですよ。

確かに、「何も情報をいれずに真っ白なままで見たほうが絶対面白い」とjesterは思います。

なので、未見の方は、なにも知らずに見ましょう〜

少々痛いシーンがありますが、流血苦手なjesterが大丈夫だったので、それほどでもないかも・・・。


不安な方は、とりあえず「監督が『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ。音楽がエンニオ・モリコーネ」ぐらい知っていればいいと思います。




***さて、以下は少々ネタバレありの、見た方専用のレビューです。***




イレーナを演じたクセニャ・ラポポルトがと〜〜っても綺麗でした!
ロシアの女優さんなんですね。
なんか、ケイト・ブランシェットを彷彿とさせるような繊細な美しさの持ち主ですが、とっても強いのです。

静かで暗い彼女が切ない目で手を握り締め、切望する何か・・・
その寡黙に働く横顔にフラッシュバックする残虐なシーンを見ていると、彼女の目的は復讐なのか、窃盗なのか、不慣れでどきどきしながらの彼女の行動に、観客はまたはらはらしながら引き込まれてしまいます。

そしてその予想を裏切る展開・・・・あせあせ(飛び散る汗)

巻き毛くるくるでちょっと予感がありましたが、そう来るか・・・

ヒモぐるぐる巻きのトレーニングも含め、ここまでやるか? と自問してみると、・・・彼女の立場だったら自分もするかもしれない、と思います。
それが母の子への想いだ、と。

しかしトルナトーレ監督、「マレーナ」のときも「女性をいたぶるシーン」が痛すぎだったのですが、今回もR-15でも足りないぐらい、惨い・・・・たらーっ(汗)

ヨーロッパの貧しい地域の女性の現実はああなんでしょうけれど・・・ちょっとやりすぎ?と思う過激さでございました。

それにしても、存在そのものが「商品」になる女性って、本当に悲しい・・・
人間性は無視して、その体、その子宮が、心無い男たちによって売り買いされる・・・

けれど、母の思いは強いのです。
蹴られ、殴られ、踏み潰されても、また立ち上がる人間の根源的な愛。

ラストシーンが救いがあって良かったですわ・・・


でも、まだ疑問が残っているのですよ〜 誰か助けて〜〜パンチ

1*あの枯らさないように気をつけていた鉢植えはなんか意味があったのでしょうか?
2*ゴミ置き場の死体は「黒かび」の仕業?
3*その死体ですが、どうやって見つけたのでしょう・・・あの広いゴミ置き場から・・・
4*ゴミをあさっているときに天井からお金が落ちてきたのは、彼女が隠していたの?
5*あの別荘を片付けたのは何のため? お金を隠すためなら片付けなくてもいいのに。
6*嫌な思い出のはずの赤い靴を大事にしているのはなぜ?
7*その赤い靴と免許書を車に隠したのは「黒かび」?
8*ブレーキに細工したのも「黒かび」だったの?
9*ジーナにサインさせてたのは小切手だと思うんだけど、イレーナが自分で使うため?
10*ジーナの意識が戻ってからどうなったの? ジーナに関する罪もちゃんと背負ったの?


映画「題名のない子守唄」オリジナル・サウンドトラック

ぴかぴか(新しい)あと、音楽が最高でした!さすがモリコーネです。
不安なシーンの重厚なベースの効いた響きや、エンドロールのヴァイオリンの高音の旋律に酔いしれました・・・・黒ハート
音楽だけで聴きたくて、CDを買ってしまった・・・

何回か繰り返して見ることになりそうです・・・・揺れるハート
posted by jester at 19:46| Comment(18) | TrackBack(9) | た行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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