2007年12月29日

その名にちなんで The Namesake

密かに一人で盛り上がっていた「The Namesake (その名にちなんで)」を見てきました。
原作ファンだもんで、どうしても原作の内容と比べながら見てしまいます。
その辺、ちょっと批評的になっちゃいますが・・・・

全体的な評価は☆☆☆☆でした。

騒音と色彩に満ちた南国インド・コルカタ(カルカッタ)からモノトーンの冬のアメリカに移住してきた二人の若者、アショケ(イルファン・カーン)とアシマ(タブー)。
お見合いで結婚した二人が異文化の街でおずおずと心を交わしつつ、生活していきます。

やっと生活になれた頃、妊娠して子供が生まれる。
名前をインドにいるおばあちゃんに付けてもらおうと思うけれど、退院するのに名前がないとできないと言われ、じゃあニックネームのつもりで、とつけた名前が「Gogol」。
アショケの好きな、そして彼の運命を変えたロシアの作家、ニコライ・ゴーゴリにちなんで、ゴーゴリ(発音はゴーゴルですが)ととりあえずつけます。

ところがおばあちゃんからの手紙がインドからつかず、この名前が定着してしまうんですが、この辺は映画でははしょってあります。

というか、全体的に細かい部分はかなりはしょられてます。
このデティルの描写にこそ、ジュンパ・ラヒリの持ち味があるのに、とちょっと残念。

例えば原作では、アメリカにわたり妊娠したアシマがインドの味を懐かしんで、コルカタの駅で売っているスナックに似た味のものを苦労して作ろうとしているシーンで始まりますが、このシーンも映画では途中で一瞬映るだけ。
原作を読んでいない人が映画だけみたら、ただのクッキングに見えてしまうでしょう。
その時のアシマの心の揺れを原作では事細かに書いているけれど、映画ではその描写はありません。

ま、全部を映像化するのは時間的には無理ですがね・・・・あせあせ(飛び散る汗)
それにしてはテンポが遅い部分もあって、ミラ・ナイール監督、どうしちゃったの?という感じ。


Gogolはアメリカで育ち、アメリカ英語をしゃべり、イェール大学に進学するほど優秀ですが、親たちの持つ文化と、自分の育った環境の文化のギャップに違和感を覚え、自分は親とは違う文化に属すると信じてアメリカナイズされていくけれど・・・・

という展開。

Gogolに視点が移ってからはどんどんはしょられて、原作を読んでない方は話についていけないのではないかと余計な心配をしてしまいましたが・・・・どうでしょうね?


クリスマス以前に「マイティ・ハート」で俊敏な刑事役を演じたイルファン・カーンが、寡黙で実直な研究者を演じてます。

この映画では丸いめがねとくるくる髪の毛でまるで別人のようです。
学生のシーンはさすがにちょっと無理があるかなと思ったけれど、なんとも暖かい夫&父親役でした。

家族旅行したタジ・マハルの前で、
「死んでまでこんな建物を建ててもらえるなんて、シャー・ジャハーンは本当に奥さんを愛してたのね」とアシマにいわれ、
「どの夫も妻を愛してるよ。財力があったら、みんなタジ・マハルを妻のために建てると思うよ」
と朴訥な彼が真面目に答えるところが可愛い!!(原作ではこのシーンはありませんでした)


ぴかぴか(新しい)アシマ役はタブー。
日本ではあまり知られてませんが、インドではたくさんの映画に出ている有名な女優さんです。
とにかく綺麗!!

アメリカについたばかりの頃、なれない生活に戸惑いがちな表情はアショケじゃなくてもかばってあげたくなる!
セーターを洗って縮ませてしまい、夫に責められてトイレに立てこもって涙をポロリとこぼすシーンなんか、可憐の一言!
(そりゃそうだよね、インドじゃ洗濯は奥さんの仕事じゃないもん。全部洗濯屋にだして洗濯するし!)


クリスマスGogol役のカル・ペンは、「スーパーマン・リターンズ」にちょい役ででていましたが、ここまでアップで見るのは初めて。
いや〜〜立派な唇ですわ。
最初は暑苦しすぎる顔だわ〜と思ってましたが、そのうち見慣れました。
後半で髪を短くするとちょっと雰囲気がよくなります。
普段はアメリカ英語なのに、父と話す時は少しだけインド訛りが出たりするところはうまいな。


ぴかぴか(新しい)ズーレイカ・ロビンソンがGogolの結婚相手のモウシュミ役。
ズーレイカは「Hidalgo」でヴィゴの相手役をやったのでjesterはとっても良くおぼえてる女優さんですが、そのあと「ヴェニスの商人」にもシャイロックの娘役で出てましたね。
確かインド系ではなかったはずですが、インド人と言われればそうかもしれないと思えます。
今回はとっても色っぽい役でしたが、モウシュミの心の動きはあまり描写されてませんでした。


ぴかぴか(新しい)それと、IMDBをみていたら、キャストの中に原作者のJhumpa Lahiri(ジュンパ・ラヒリ)の名前を見つけてびっくり
「Jhumpa Mashi」の役ででていたのね〜〜
ちっとも気がつきませんでした。
Jhumpa Lahiriって、すんごい美人なんですよね。
そういわれてみれば、親戚一同の中にいたかな・・・・と必死で思い出してみますが・・・・もしかして今は写真のころよりもうちょっと太っちゃったのかなあ・・・?
あの人かな、とおぼろげに思ったりもしますが・・・・ずいぶんずんぐりしてたような気がします・・・あせあせ(飛び散る汗)


しかし、インド映画ではありえない「ラブシーン」が何回か出てきて、しかもかなり濃厚でビックリ。
インド映画では恋する二人が見つめあうとすかさずダンスが始まって、ラブシーンはなしだし、裸体どころか、バスタオルでちらりでも大騒ぎになるぐらいなんですよね。
う〜ん、これはアメリカ映画なんだな、と思いました。

インド映画のお決まりのフィルミー・ダンスも、Gogolとモウシュミが初夜のシーンでちょっと踊ってましたが、そのぐらい。
あのシーン、インド人へのサービスかなと笑えたけど、インド映画を見たことのない人は「なぜここで踊る??」と不思議だっただろうなあ・・・・


ぴかぴか(新しい)インドの色彩と音、町の様子などが丁寧に描写されているので、原作を読んだ方はこの映画を見られると、映像的に理解が深まるかも知れないと思います。

インドでは父親が死ぬと長男が頭を剃る伝統がありますが、それも画像で見ると印象的。

死者の火葬された灰をまいてる横で、泳いでいる子供がいる風景、あれこそインドであります。

ストーリーは細部の追い方がJhumpa Lahiriほど丁寧じゃないですが、その辺は脳内変換して・・・・



全編に流れる音楽もセンス良く盛り上げてくれてます。


原作を読まれてない方は、原作を読まれてから見るのもひとつの手かも、と思います。

そういうのって映画としてどうよ、とも思うので☆☆☆1/2ぐらいかしらとも思うのですが、原作のファンだったので、ちょっとおまけして評価は☆☆☆☆をつけました。(汗)


The Namesake

 原作の本については、jesterの読書ブログ(こちらの記事です)でご紹介させていただいているのでよかったら覗いて見て下さい。


posted by jester at 21:27| Comment(11) | TrackBack(3) | さ行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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