
本を読んだり、一人ぽっちで想像の世界で冒険して飛び回るのが好きでしたか?
もしどちらかにYESなら、そんな子供時代をすごした大人の心にしみじみとしみわたる映画に仕上がってましたよ♪
jesterは☆☆☆☆☆で、「一食抜いても」の満点。
何回も繰り返してみたくなる映画の1本となりました!
珍しく、原作を超えた、といってもいいかもしれないと思ってしまいました。
主演の二人の演技も素晴らしいし、大人が見てもいろいろ感じられるストーリーで、素直に涙しました。
Bridge To Terabithia

古くは『赤毛のアン』『やかまし村の子供たち』とか『小公女』、アーサー・ランサム、最近ではデイヴィッド・アーモンド、ポール・フライマンなどが書くようなファンタジーの要素は少しあっても、基本は子供の日常生活を細やかに描く物にjesterは分類してました。
とても平易な英語で書かれていて、低学年の子でもすらすら読めてしまう、わかりやすい本なのですが、・・・ほとんど内容を忘れてました。

(なので、映画を見たあと、「こんないい話だったけ」とダンボールの山の中を探し回ってしまった。で、・・・結局見つからなくて、本屋さんでもう一冊買いました・・・

公開前に、めちゃくちゃネタバレ(まだ見てない人は絶対見ないほうがいい!!)の予告編を映画館で見たときは、テラビシアやトロルの映像やら、「ナルニアのウォルデン・メディアが!」とすごく派手だったし、チラシも「監督はアニメ界出身のガボア・クスポ」「CG技術を駆使してロード・オブ・ザ・リングスのWETAが!」なんていううたい文句ばかり目だって、
「うむむ〜 あの原作を無理やり今流行のCGファンタジーに仕上げたってわけね・・・『光の6つのしるし』の二の舞か・・・」なんて思ってしまい、期待してなかったのでした。

原作ではレスリーはjaggedy brown hairで、男だか女だか名前を聞くまではわからない子なんですよ。
それが結構重要なキャラクター要素になっているんです。
アナソフィアは「チャーリーとチョコレート工場」で「ガムをくちゃくちゃかんでる嫌な女の子の役」をやったすらっとした子で、さらさらのブロンドだし、顔はキーラ・ナイトレイ系のはっきりとした美少女ですもの。
イメージは全然違う、と思いました。

最初のうちは「ジェスのうちはもっと貧乏なはず!」
「牝牛のMiss Bessieはどこにいるの?」
「あら〜出会いがちがうじゃない」
「アナソフィアはイメージやっぱり違う」とか批判的に見ていたんだけど、それもつかの間、ぐんぐん引き込まれてしまいました!
ファンタジーの要素もしっかり生きていて、それでいて細やかな心理をもちゃんと描いてくれてました。


(→この写真はちょっとハリポタのダニエル・ラドクリフみたいに見えますが、全然違います。 いい写真がなかなかないの・・・)
いろいろ夢はもっている優しい子なんだけど、家庭の貧しさもあって学校ではおとなしくて、心無いいじめっこにはからかわれ暴力を受けるし、心を開ける友達もいない。
絵を描くのが好きで夢に心あそばせる時もあるけれど、現実の厳しさにそんな子供らしい夢を砕かれ、生活の重さを味わう日々。
だからといって暗くみえるわけではなく、孤独だけれど誇り高く思慮深い少年。
そして、「Soul mate」ともいえるレスリーと出会ったときの、はにかんだまぶしそうなまなざし。(泣けます・・・・)
力んでいない自然な演技で、素晴らしい役者だとおもいました。
『ザスーラ』のときはあまり気にしてなかったけれど、これからの成長がすごく楽しみな一人です。
(ハリポタも彼で見てみたいかもです・・・(殴))
いつ見ても「ターミネーター2」の恐いアンドロイドを思い出しちゃうロバート・パトリックがいい味のお父さん役。
生活に疲れ、ときどき息子にあたってしまうけれど、それでも精一杯子供を愛し、家庭を守ろうとしている善き父親を好演してます。
それと妹のメイベル役のベイリー・マディソンがすごく可愛らしくて上手くて、もうビックリ。
あんな小さいのに、泣きの芝居とかちゃんとこなしてるんですよ。
すごいなあ。

それなりに『中性っぽさ』は感じられたし、それでいて可憐でよかった。
ちなみにレスリーの「中性っぽさ」を出そうとして、日本語字幕を男の子言葉のようにしていたけど、そこはかえって変だった気がしたのですが・・・

もともと「著者の子供が実際に体験したことをもとに書かれた話」で「喪失と絶望、自責の念と、そこからの再生」がテーマのひとつなんですよね。
原作のあとがきに、レスリーの役の元になった娘さんの母親が本を読んで「やっと自分の中にあった、娘に起きたことへの『怒り』を理解した」と著者に語った話が載っていましたが、その辺も映画を見てとてもクリアになった気がしました。
ファンタジー部分のCGも邪魔になるほどではなくて、綺麗でした。
WETAらしい仕事でした。
地味な話を効果的に彩り、映画としての見場を良くしていたと思います。


長く公開してくれるといいけれど!!
私が見たときは平日ということもあり、すごく空いてました・・・
ユナイテッドシネマ豊洲の小さなスクリーンでみたけれど、お客は10人ほどしかいなかったかも。(となりに座られた初老のご夫婦は二人して泣いてましたが・・・)
もし客が入らないとしたら、あの予告編のせいだ!もろにネタバレで、『もう話しわかったよ』って思わせるトレーラーだったんですもの。しくしく。
テラビシアにかける橋 (偕成社文庫 3264)

でも、やっぱり映画化すると良いですね。
原作のPBが映画タイアップで安くなってでてますし、和訳の文庫まで再版されて、本屋さんで、平積みになってました!
原作の英語も簡単で読みやすいので、原作に挑戦するのもいいかもです。
両方とも映画の二人が表紙になっている版もでておりました。