2008年02月29日

ペルセポリス PERSEPOLIS

ふ〜 アカデミー賞もおわり・・・・・
・・・・・まあ予想できたといえばできた結果でしたが・・
主演男優賞とか(とかとかとか・・・(エコー・・)・・・・たらーっ(汗)
アニメーションもネズミだったしなあ・・・(爆)

というわけで、カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞は取りましたが、ノミネートされたもののアカデミーは取れなかった「ペルセポリス」、忘れないうちにレビューをアップしようとおもいます。
見てからずいぶん日にちが経ってしまいましたが、忘れないうちに。

jester的には ☆☆☆ー (見る価値あり)でした。

1970年から90年代のイランが舞台。

イラン人の女性によって自伝的に書かれたコミックが原作のアニメ映画。監督も著者がやっています。

イラン人女性が内部からイランの社会事情を描いたものって珍しいですよね。
湾岸戦争の前後に、イラクの青年や女性がかいたブログがネットでアクセス数を獲得し、本にもなりました。
あれを読んだ時も、突然イラクの人々の日常が身近になった気がして目を開かせられた気がしたのですが、この映画もそうでした。

主人公マルジは、イランでは多分かなり裕福な層に所属してるとは思われますが、少女時代は現在の日本人のわたしたちとほとんど変わらないような暮らしをしているんですね。

チャドルやマグナエはつけていないし、ロック音楽が好きで海賊版のテープをこっそり買ったり、カンフー映画の真似をしたり・・・

それが革命により激変し、国民たちは自由を束縛され始める。
そんな中、学校で反抗的な態度をとるマルジを、両親はオーストリアに留学という形で逃がす。

ヨーロッパにのがれられるマルジは他のイラン人と比べたらラッキーです。
でも祖国を離れたものにとって、異国での暮らしは文化的な摩擦と挫折の繰り返しでもあるんですよね。

そして傷ついて帰ってきても、戦争で荒れ果てた祖国に安らぎはなく・・・・


少女が「普通のイラン人」ではなく、「オーストリアやパリにさっと出られる階層の人間」であるので、庶民の苦境などはわからない辺がちょっとjesterには物足りないですが、それでも歪んだ社会構造が人間の尊厳を犯し、抑圧する様子が伝わってきます。
そしてそんな抑圧下でも、当局の目をかいくぐってお酒を飲んだりパーティをする若者たちの姿なども垣間見ることができます。


仲間と徒党をくんでいじめ(かなり陰湿な)をする子供時代とか、失恋して放浪してしまう青春時代、結婚の挫折など、決して優等生ではないマルジですが、だからこそリアリティがあり、共感を持てるのかもしれません。

気風のいいおばあちゃんとの会話もほのぼのとしていて、しかも教えられることの多いものでした。

またテレビ番組(多分「おしん」)や映画を見た人のセリフ(「日本人ときたらハラきりだの怪獣だのばかり・・・」)を通じて、彼の国での日本のイメージがわかるのも興味深かった。

ただ、フランスで作られたアニメなので当然といえば当然ですが、全編セリフがフランス語なんですよ。
でもカジュアルな絵柄ではそのシーンがフランスなのかイランなのか、さらに言えば登場人物がフランス人なのかイラン人なのかがわかりにくいので、特に女性がチャドルなどを身につけてない最初のイランの部分ではかなり混乱してみてました。



猫私事ですが、ちょうどこの時期の後半頃、家族Aがイランのテヘランに駐在してました。
新婚だったのですが、私も仕事をしていたので彼だけ単身赴任。
そのうち、イライラ戦争(イラクとの戦争)が始まり、電話をしていても
「こっちにいる野良猫はみんなペルシャ猫だよ・・・あ、爆撃だ・・・ザザザ・・ブツン!」
と電話が切れてしまうことも多々あり、当時はとても気がもめたのを思い出したり致しました・・・・


るんるんそうそう、アカデミー賞歌曲賞、「ONCEダブリンの街角で」の「Falling Slowly」がとりましたね!
この歌はこの映画の中では一番気に入った歌で、CDでリピートにして一緒に歌ったりしてたjesterは大喜びでした。

そのおかげで、シネ・アミューズでまた再映(アカデミー受賞凱旋上映だとか)してくれるそうです♪

嬉しいな〜 春も見たい映画がいっぱい!
posted by jester at 22:21| Comment(8) | TrackBack(6) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月23日

君のためなら千回でも The Kite Runner

kr1.jpg過去に背負ってしまった罪の意識。

「君が正しかった。ぼくが間違っていたよ」
心の中では何回も繰り返すのに、
いえなかったたった一言の「ごめんね」
そのために離れてしまった・・・心の友。

時は流れてしまったけれど・・・・
今は会うこともかなわないけれど・・・

それでも、いまからでも間に合うのだろうか。

「ごめんね」を君に言うために、今、走るよ。


☆☆☆☆☆でした!!

この映画も大事にしたい1本。
今年は年初めからあたりが多くて嬉しい♪

「チョコレート」「ネヴァーランド」「主人公は僕だった」のマーク・フォスター監督がアフガニスタンを主な舞台にダリー語で撮った作品。
アメリカの映画もここまで来たのだ、と感慨を深くしました。

『The Kite Runner』という立派なタイトルがあるのに、このめちゃくちゃセンスの悪いベタな邦題はなんなのよ〜〜! と怒っておりました(汗)、どうぞこの邦題にだまされないでくださいませ!)


クリスマス   クリスマス   以下、酷いネタバレはありませんが、映画の内容には触れています。未見の方、ご注意ください!



リゾート平和だった頃のアフガニスタンに暮らす二人の少年。
主人の子供である年上のアミールと使用人の子供であるハッサン。
当然アミールのほうが強い立場なのですが、実際に「心が強い」のはハッサン。

支配者階級のパシュトゥーン人の裕福な家系の子供であるアミールと被差別民族のハザラ人であるハッサンは、本来なら遊ぶことも忌み嫌われる関係だけれど、アミールの父は二人の友情を認め、二人は上下関係はあるものの、仲良く遊んでいる。

凧の糸を切りあう「喧嘩ダコ」(?)では二人は信頼しあういいパートナー。
そして、ハッサンは縁の下の力持ちの『Kite Runner』(糸が切れた凧を取りにいく人)の名手でもあります。 
(Kite Runnerって、見る前は「凧の上手な揚げ手」ぐらいの意味かなと思っていましたが、映画中に説明があって、こういう意味らしいです)

家の裏のざくろの木の下は二人の秘密基地。
幹に友情の言葉を刻み込み、アミールがいつも文字の読めないハッサンに本を読んであげる場所。
50回もハッサンが読んで欲しがったという物語のタイトルが、後で効いてきます。


ぴかぴか(新しい)このハッサン役のアフマド・ハーン・マフムードザダ君(Ahmad Khan Mahmidzada君。わ〜〜読むのが難しいです)の笑顔がいいんです
「ニュー・シネマ・パラダイス」のトト少年の笑顔を彷彿とさせてくれるような、純粋な優しい笑顔。
上手い画像がみつからなかったのですが、日本にもいそうな、純朴で世話好きな少年。
ひたすら信頼している子犬のような瞳に、すごく癒しを感じます♪


対するアミール君は石原良純の少年時代、という顔だちなんでございますが、どこにでもいる金持ちのうちの男の子という感じ。

さて、何事も忠実で一生懸命なハッサンにたいし、アミールは勇気がなくて、それに対する劣等感もあり、複雑。

年上の少年たちの陰湿ないじめにも、顔を背けず立ち向かう立派なハッサンに対して、アミールはいつも陰に隠れてこっそり見ている・・・

臆病な自分に対する自己嫌悪は嫉妬とあいまって転化され、アミールの中にハッサンへの憎悪に変化する。
アミールはいつの間にか、ダークサイドに陥ってしまう・・・・


この辺で、小心者アミール少年の自己嫌悪と胸の痛み、嫉妬の苦しさと憎悪は、世の大人&ダーズベイダーが(?)かみ締める苦い味でもあります。


リゾートこの辺までの友情物語は、わりとありがちな展開ではあるのですが、そんなカブールの町にソビエト軍が侵攻して来る辺で、ガラッと変わってきます。

アミールは父とともに国外に脱出。
そしてアメリカに移住します。

自国を遠く離れた民族が他国で集団を作って暮らす様は「その名にちなんで」にも描写されていましたが、興味深いものがあります。

彼らがアメリカで移民として暮らしている間に祖国ではソビエトに蹂躙され、疲弊しきったアフガニスタンを、今度はタリバンの暴力が支配し始める。

それも遠い国の話になってしまったアミールに、ある日一本の電話がかかる・・・・・

今度は君のために、僕は『Kite Runner』になれるのか。


ベタな友情映画で終わらないのは、脇役に至るまでおろそかにせずに丁寧に心理を追った脚本の素晴らしさ、特に、二人をとりまく大人たちが人間として誇り高い人々であるということにもあります。

アミールの父、ババ(ホマユーン・エルシャディ、『桜桃の味』の人)のソビエト軍に向かう姿も毅然としていて、かっこいい!
息子としては誇らしい父親像でしょう。

アミールの叔父のラハム・ハーン(ショーン・トーブ、「クラッシュ」の店主さんや「マリア」のお父さんのひと)の理解ある態度も安心できます。
落ち着いた演技もいいけど、この人の声が好きです。

大人になったアミールは「ユナイテッド93」でテロリストが印象的だったハリド・アブダラが演じてます。
普通の格好をしていると、濃い顔立ちでイスラム系の顔に見えるのに、ターバンをしてヒゲをはやした途端に、コーカソイドに見えるのはなぜ??(爆)


それから、成人後のアミールが使命を帯びてアフガニスタンに戻る時、付き添ってくれるファリド役が、サイード・タグマウイ!!!

「Hidalgo」(オーシャン・オブ・ファイアー)の王子さまですよ!

「オレは砂漠の誇り高き民族だ!」という「Hidalgo」あの時もカッコよくて惚れたけど、今回も渋くてかっこいかったです!
(とまあ、これはjesterしか興奮しないだろうポイントではありますが・・・・)

脱出劇後半はちょっと疑問もあったけど、テンポも悪くなくて、はらはらどきどきもいたしました。


あと、音楽もよかったです!
「ナイロビの蜂」や「ボルベール帰郷」などを担当したアルベルト・イグレシアス。
中東っぽい音楽に混ざって、画面をでしゃばらすぎずに守り立ててました。

音楽がいいので、音のいい映画館で、また、空飛ぶ凧のシーンもスピード感があるので、ぜひ大きい画面で見たい映画でもあります。


クリスマス南の国、砂漠、などというイメージがあるかもしれないアフガニスタンの街が、あんなに白い山脈に囲まれ、雪も降る街であるということ、庶民は凧揚げを楽しむなど、問題をはらみながらも平和に暮らしていたのに、大国ソビエトの進攻により混乱と破壊のカオスに陥ること、またソビエトが撤退した後のタリバンの残虐さ・・・・

と、アフガニスタンについても知識を与えてくれます。

(実際の撮影はアフガニスタンから国境を越えた中国の新疆ウイグル自治区で行われたそうですが)


人間、ダークな部分は誰しもあるけれど、人を動かすのは、ただひたむきな愛なんだなあ・・・
「やっぱり最後に愛は勝つ」なんだなあ・・・
なんてベタな事を素直に思える、後味のよい映画でした。


The Kite Runner
原作本は、無名の新人作家が書いた本としては異例の800万部もの大ベストセラーになったもの。

発売当時から海外の書評で多く取り上げられ「感動した」というものが多かったのですが、jesterは未読でした。

著者のカーレド・ホッセイニはカブール生まれ。
外交官の父と海外にも暮らし、クーデターとソビエト侵攻のあとアメリカに亡命し、医者の資格をとり、小説家にもなったという、アミールと被る経歴の持ち主。
自伝的要素もあるのでしょう。

映画を見たあとすごく読みたくなり、早速アマゾンで注文しました。
あと、同じ著者の「A Thousand Splendid Suns」というのも評判が高いらしいです♪


君のためなら千回でも
君のためなら千回でも(上巻) (ハヤカワepi文庫 ホ 1-1)和訳は早川文庫から上下巻で、でているそうです。

しかし、この邦題、なんとかならんのか・・・・

いや、確かにそういうセリフは出てくるけどさあ・・・・

恥ずかしくなるじゃん・・・

posted by jester at 12:01| Comment(10) | TrackBack(6) | か行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月19日

潜水服は蝶の夢を見る LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON

e0093293_19195799.jpgいままでだったら亡くなっていた重篤な患者が、先進技術によって奇跡的に生きながらえる。

しかしジャン=ドミニック・ボビーの場合、体の機能は左目を残してすべて奪われたLocked in syndrome状態でだった・・・

動かぬ体に閉じ込められた正常な精神。
それによって彼に与えられた「時」は彼にとっては苦悩の時であっただろう。

しかし彼の思考したことや彼の存在は、わたしたちにたくさんのことを気づかせてくれる。

まさに彼の「時」は、彼に与えられただけでなく、そのほかの人類に与えられた祝福だったのかもしれない。

  ☆☆☆☆−でした!


去年、マチュー・アマルリック・ファンのnouilles-sauteesさんのところで記事を読んで以来とても気になって、jesterも原作を読んだりして待ちわびておりましたが、(その様子はこちらの記事にかいてあります♪)やっと日本でも見る事が出来ました。

潜水服は蝶の夢を見る
アルファベットを順番に読み上げてもらい、使いたい文字で瞬きするという方法で、20万回の瞬きを繰り返して書かれた本。

この本を読むと、書いた本人のジャン=ドミニック・ボビーとそれを手伝った人の、気が遠くなるような生の営みにまず感嘆します。
人間が生きるということを考えさせてくれます。
(原作のレビューはjesterの読書ブログのこちらの記事です。)

でも映画を見ると、よりそれがクリアになりました。



雪   雪   (以下、映画の内容に少し触れています。未見の方はご注意ください!)




冒頭シーンで、観客はまず、「ロックト・イン・シンドローム」というのがどういうものなのかをつかのま体験することになります。

ぼやけた視界、そして目をそらしたいのにそらせない医者のヒゲ面の毛穴まで見えるドアップ。
自らの拍動、呼吸音の大きさが、患者の不安で混乱する気持ちを伝え、息苦しくなってくる。

このシーンを見つつ、思わず自分も目をぱちぱちさせたり、舌を動かしたりしながら、潜水服(正確には頭からすっぽり被るタイプの潜水用のヘルメットのようなもの)に入っているような患者のつらさと、それに引き換え今の自分にはどれだけのことが与えられているのかがじわじわとわかってくる。

初めて綴った言葉。
「ぼくは死にたい」

それを書き留めた言語療法士アンリエットが「そんなことをいうなんて失礼よ!」といって立ち去る。

閉まったドアを見つめる、絶望。

永遠だと信じていたのに、もろく崩れて海に戻る氷河のように、冷たくゆっくりと崩壊していく精神。

そんな中で、人はどうやって人として生きのびていけるのか。

昔、飛行機でジャン=ドミニック・ボビーが席を譲り、その後ベイルートで人質になって暗い地下に5年間閉じ込められた友達がやってきて彼に言います。

「わたしの体験はきっとあなたの助けになる。
わたしは幽閉されている間、ずっと毎日大好きなビンテージワインの名前を思い出して過ごしていた。
だから気が狂わないで過ごせた。
人間性にしがみつけば、生き抜ける


そしてジャン=ドミニック・ボビーが見つけた答えは、「瞬きによって、自分の心を文字として表現すること」。

眠れぬ夜、長い長い待ち時間に、書きたい事を考えてそれを暗記しておき、あとで時間をかけて書き取ってもらう。

麻痺した肉体に閉じ込められた精神が自由に羽ばたく様子を、選び抜いた鮮明に描写して・・・・


90歳を過ぎた父とのひと時の回想、「人は皆子供だ。認めて欲しいのだ」なんて言葉が心にしみます。
そしてその父がむせび泣く電話が切ない。


でも彼の想像は美しく、時にはセクシーに展開する。

女性と一緒にオイスターを食べ狂うシーンでは、思わずオイスターを食べたくなりました。(マチューに食べさせてもらって(殴パンチパンチ


クリスマス彼の環境はまた彼にとっては幸運だったと思いました。

サポートしてくれる元妻や子供たち、言語療法士のアンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)や女性編集者のクロード(アンヌ・コンシニ)、友人たちに恵まれ、美しい海辺の病院という環境で過ごせたからこそ、心をより自由に飛ばせられたのかもしれないと思います。


ぴかぴか(新しい)そして役者さんたちがまたいいんですよ〜〜!
マチュー・アマルリック!
病気になる前の知的でちょい悪なカッコよさから180度転換して、目をひん剥き、口を曲げてよだれをたらし、それでも必死で生きている患者の演技がすごい!

父親役のマックス・フォン・シドーの存在感も大きかった。息子にひげを剃ってもらう時の「若い頃はさぞかし遊んだんだろうな」というセリフも彼だったら納得。
そして電話で彼が泣くシーンではそのつらさに思わずもらい泣きしました・・・

それからアンリエットはマチューとは一緒に「ミュンヘン」に出てて恐ろしかったマリ=ジョゼ・クローズだし、「灯台守の恋」のCamille役だったアンヌ・コンシニが女性編集者のクロードをやってます。

そのほかに、元妻のCéline Desmoulinsなど、女性陣はみんな大人っぽくてとても素敵。


リゾートそれから、色調を抑えた画面がシックで綺麗です。

ファンションも、さりげなくシンプルなのがいいの。(日本女性のファッションはまだまだ作りすぎててわざとらしいとおもうjesterである)

白衣の下のチェックのシャツ、シンプルな柄物のワンピース、飾り気のないざっくりしたセーターやカーデガン・・・・シックです。
(しかしお医者さんたちのチェックのシャツに柄物ネクタイというのは、どうなんでしょう・・・)


猫見終わったあと、しみじみ自分がどれだけの奇跡に恵まれているのかを感じました。
言葉がしゃべれる幸せ、歩いて好きなところへ行ける幸せ、本を自分の手でめくって読める、映画を見に行ける、ランチを食べられる、どれもどれも、実はすごいことなんですよね・・・・

大切にしなくては!
(もし脳卒中になっても、左目だけは動けますように・・・)

・・・そんなことを素直に思うことが出来る映画でございました。

アカデミー賞でいくつかノミネートされてますが、幾つ受賞できるか楽しみです♪



posted by jester at 21:18| Comment(20) | TrackBack(8) | さ行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月14日

ヴァレンタインに見たい映画

「恋人とヴァレンタインに見たい映画は?」とアンケートをとったところ、

男性1位「タイタニック」
女性1位「君に読む物語」


だったそうです。

特に映画好きな人にとったアンケートじゃないし、男性は恋愛映画なんかあまりみない人が多いだろうから、ちょっと古いけど「タイタニック」は納得です。
命をかけても恋人を救いたい、という気持ちの表れでしょうか。

女性のほうは、「他の人と婚約しても私を嫌いにならないでね。ずっと思ってて。アルツハイマーになっても、ずっとそばに付き添って、私のために本を書いて、それを読んでね」なんてメッセージかなあ。
・・・男性は引かないのだろうか。


猫考えてみると、jesterが今まで「付き合ってる人」と見てきた映画は、大体相手の趣味に合わせてました。
だから思い起こしてみると、その人その人で個性があって面白いです。

「屋根の上のヴァイオリン弾き」ばかり何度も見たり、「サウンド・オブ・ミュージック」のリヴァイバルに通ったり、インディ・ジョーンズだったり、ジム・キャリーのものだったり・・・



もともと色気のないjesterなので、ヴァレンタインにチョコをあげるなんて日本だけの現象だし、チョコレート会社の戦略だとおもっておりますが、(しかしそれにのって大騒ぎする国民性も・・・)とりあえず、恋人(いたとして)と今見たい映画って、今なんだろう?

イングリッシュ・ペイシェント
 つらつら考えてみたけれど、この辺かなあ・・・
古過ぎですか。

砂漠を舞台にした静かな映画で、画像が綺麗で心に残るシーンがたくさんあったし、とにかく音楽が好きなんですよ。
いえいえ、レイフ・ファインズが見たいからとかいうんじゃなくて・・・(殴

でも、レイフって男性にも反感を持たせない顔だちじゃないかとおもうんですけど、どうでしょう?

ちなみにこの映画は、付き合っていた人と見たことはありません。

でも、ある人と久しぶりに会ったとき、「私とあう前、午前中何をしていたの?」と聞いたら、「『イングシッリュ・ペイシェント』を見ていた」と苦しそうにいわれたことがあったな。

そのあと、『イングリッシュ・ペイシェント』を一人で見たとき、結構切なかったかも・・・。


この映画にはカップルがいくつか出てくるけれど、一番好きなのはハナのカップル。

廃墟になった教会で吊り下げてもらって発炎筒(?)を持ちながら壁画を見るシーンが好きです。


最近の映画だと「灯台守の恋」「歓びを歌に載せて」「Once ダブリンの街角で」とか「テラビシアにかける橋」なんかもいいな。
(恋愛映画じゃないのも1部まざってますが・・・・)
posted by jester at 09:57| Comment(6) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月13日

ヒトラーの贋札  DIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER

贋札を精巧に作れば、味方を窮地に追い込む・・・・
でもつくらなければ殺される・・・・
連合軍の解放が近づく収容所で、苦悩の中の命がけのドラマが展開する。

最後まで目が離せない展開と、深い人間観察に ☆☆☆3/4 でございました。



「ベルンハルト作戦」については前に本で読んだことがありました。
とはいえ、もうちょっとヒトラーが生きていたらイギリス経済は破綻していたかも、といわれる贋札事件、というぐらいの知識です。


後述しますが、最近ホロコーストものは避けたいような気分でして、『ヒトラーの贋札』も見たものかどうしようか迷ってました。
でも2008年アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたので、見る気になりました。
外国語映画賞はjester的には結構当たりが多いのです。
(追記、結局本作が受賞しましたね! おめでとう〜〜!)


リゾート大体最初のシーンでその映画がどんな方向で作られているのかがわかることって多いような気がするんですけど、そういう意味ではこの映画の最初のシーンは良かった。

石がごろごろしている海岸に一人座る男。
切ないハーモニカ(アコーディオンかな?)のメロディ。
しっかり抱えた小ぶりのスーツケースには何が入っているのか。

男の背広の背中に残る、別の布を剥いだ後は何を物語るのか。
なかなかいい感じの出だしです。


チンピラの贋造屋の男、サリー(カール・マルコヴィックス)は、収容所でも上手に贋札を作り、死と恐怖の収容所の中でも特別待遇を得て、ふかふかのベッドで食事も与えられて、うまく生きぬこうとしている。

けれど、一緒に仕事をしている印刷技師アドルフ・ブルガー(この映画の元になった本の著者)の「贋札を上手く作れば、味方を殺すことになるから自分はしない」という信念にふれ、次第に考え方を変えていく。

とはいえ、期限を切って「真札と見分けのつかないものを作れ」「つくれないなら何人か殺すぞ」と迫ってくるナチと、あくまで印刷をサボタージュするブルガーの間に挟まれて、苦悩するサリーと仲間たち。

この辺、境遇は全く違うけれど、偽装の内部告発などで暴走する若者と管理職に挟まれた、中間管理職の苦悩に通じるものがあるかも・・・


強制収容所を舞台にホロコーストの新たな側面を描くというだけでなく、一般的に人間というもの、その心の奥にあるもの、そして真の勇気とは?と考えさせてくれる、地味だけれど深さを感じさせる真摯なつくりの佳作に仕上がっておりました。


猫しかし、ここに出てくるドイツ軍を見てるととてもドイツ人が嫌いになるのだけれど、ホロコーストについて、こういう過去の自らの恥部を描いた映画を自分たちでつくれるドイツってすごいと思いました。

ネオナチも存在しているし、ある程度国境を接する他の国に対する政治的思惑があるにしても・・・
それでも、恥ずかしくても暗部をさらすことによって過去から学び、これからに生かしていこうっていう気合を感じちゃいます。

日本ではつくられるとしても、若いタレントを使った「ああ特攻隊」みたいな美化されたものや、死んだ人に対する『お涙ちょうだい戦争映画』ばかりで、被害者意識ばかりが強く感じられるものが多い。

同じ頃日本は中国や朝鮮半島やアジアで何をしたのかとか、そもそも戦争の原因ななんだったのか、などからは今の日本人は全く目をそらしている気がします。
過去への反省の意をこめた映画はあまりつくられないし、つくられても話題にならず、見る人がいない国民性が恥ずかしく思えてしまう・・・あせあせ(飛び散る汗)



ヒトラーの贋札 悪魔の工房
ヒトラーの贋札 悪魔の工房この映画を見たあと、原作となったこの本も、読んでみました。
真摯な書き方で、なかなか面白かったです。
(詳しいレビューはいずれゆきてかえりしひびのほうで・・・・)



ところで上にちょっと書いた「もうホロコースト関連の映画はいいかな」気分についてでございます。
しんどいものが見られない精神状況ということもあるのですが。

ブラックブック
ブラックブック そしてこの「ブラックブック」などを見た辺から、そんな気分が強くなってきました。

前にも書いたことがありますが、もともと「アンネの日記」を読んだ少女時代から、とてもホロコーストが気になってました。
いろいろ文献も読んだし、アムステルダムのアンネの隠れ家まで行ってしまったこともあるぐらい、jesterのこだわってる『事実』なんです。
その他の『社会派映画』と呼ばれる映画もわりと見てきたと思ってます。

でもこういう題材のいくつかの映画の最近のもののなかで、歴史的な「ホロコースト」や、さらにいえば現代の「9−11」などの深刻な社会問題が、エンタテイメントの1要素として客集めとかワイドショー的な覗き見感覚で使われるような映画があり、こういうものはもうあまり見たくないな、なんて思ってます。

「ホテル・ルワンダ」や「ミュンヘン」など、たくさんの人が苦しんだ事実を真摯に伝えようとする映画なら気分が落ち込んでも見る価値があるなと思うのですが・・・

じゃあどれは良くてどれは駄目なのか、って自分に問うても簡単じゃないのけれど、とりあえず百歩譲ってたくさんの人に悲惨な事実を知ってほしいという製作側の意図からだとしても、全体的にエンタティメント系のつくりになっているものは、jesterは楽しめないし、見ていてつらくなるし、そういうのは個人的にもういいや、という感じです。
そういう風に使われるぐらい、時間が経ったってことなのかもしれませんが、そうも割り切れないので。
(何をくどくど言ってるのでしょう・・・(汗)すみましぇ〜〜んあせあせ(飛び散る汗)

猫ま、「ヒトラーの贋札」はそんなエンタメ系の映画ではなかったので、見てよかった、と思いましたです。

posted by jester at 10:48| Comment(15) | TrackBack(8) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月07日

アメリカン・ギャングスター  AMERICAN GANGSTER

頑固で真面目な男が、孤独に耐えながらこつこつと悪を追い詰めていく・・・

よくあるパターンでありながら、実話ベースのリアルさと脚本の巧妙さ、そして演技達者な役者さんたちのおかげで、飽きさせないエンタティメントに仕上がっておりました♪

☆☆☆☆− でございました!



ぴかぴか(新しい)なんといってもデンゼル・ワシントンでしょう。

「インサイド・マン」では「首の辺がだぶついてる〜!」と文句を垂れましたが、大分しまってすっきり。

ストイックなマフィアという役柄に合わせて搾ったのでしょうか。
貧しい、「善悪」の常識などない世界で育ち、生き抜いてきた男が、手段をかまわず金を手に入れ、家族を幸せにしようと努力する。
「SomebodyかNobodyか」という世界で、頭を使ってのしていく生き様を渋く演じています。

それにしても
「I ain't go nowhere」なんてチンピラぶって2重否定でしゃべってみても、頭のいい弁護士か刑事に見えてしまう・・・
まあその辺を狙ってのキャスティングなんでしょうけどね〜
セリフのニュアンスを伝えていないヘタクソ字幕で鑑賞したらなおさら
「どこがマフィアなの?」と思われる方も多いでしょうが、そういうフランクだからこそ、捜査が難航したというわけなんですね。


猫それに対するラッセル・クロウは全然搾ってません。(爆)
「グラディエイター」などなどの最盛期のきりりとした男らしさと比べると、「プロバンスの贈り物」から相変わらず○○なわけですが、やっぱり上手いんですよね〜(殴パンチ(ファンの方、ごめんなさい!)

本当にこの人作品&役柄を選ぶのが上手いです。
決して安売りしないというか・・・・商売成功の秘訣ですよね。

私生活はだらしないけれど、社会的な正義感は人一倍強い。
そのために、職場でも家庭でも孤立するけれど、そういう場所での繁殖(?)を求めず、とにかく社会的秩序のためにならすべてを投げ打つ。

こういう人間がいないと社会って保っていけないのかもしれません。
私生活では聖人じゃないからこそ、ヒーローのきざな決めせりふに素直に「かっこいい!」と思えるのかも。

しかも法廷では上がり症なくせに、陰ではお勉強もしっかりしてて、司法試験に挑んだり・・・・
外観のカッコよさじゃなくて、内面のカッコよさみたいなもんがにじみ出てる感じでした。


前半では断然フランク役のデンゼルが主役のオーラを発しているわけなんですが、それが次第に変化して、後半二人で話すシーンの
「Then, Frank, you should wait in the line・・・」
の辺では完全にラッセル扮するリッチーが主導権をとっているわけで、それがちゃんと演技だけで伝わってくる、ラッセルのほうがオーラをだしていて人間的にもでかく見えてくる、その分脅したり収賄しようとするフランクはチンピラに見えてくる、っていうのがすごいと思いました。

Amazing Graceが流れる教会前のシーンはしびれました・・・・


ぴかぴか(新しい)脇役も芸達者な俳優さんをそろえていて安心してみてられます。

「堕天使のパスポート」「ラブ・アクチュアリー」「キンキーブーツ」「トゥモーロー・ワールド」「インサイド・マン」とオカマから悪役まで、映画ごとに違った顔を見せてくれるキウェテル・イジョフォーは兄にひたすら従う弟役を好演してますし、リッチーの下で働く麻薬特捜班の面々も良かった♪


クリスマスでも・・・・、二人の人間関係や生活を丁寧に描くのはいいのだけれど、前半は少しテンポが遅かったと思いました。

2時間37分という長さを観客に耐えさせるなら、不要な部分はなるべく削って、脚本のテンポはなるべく上げて欲しい。
(アメリカでは176分バージョンの公開もあるらしいし・・・日本でもそのうちDVDで出るんだろうなあ)


特に日本人から見ると、アフリカン・アメリカンの区別ってつきにくいし、マフィア側も特別捜査班側も地味な人がぞろぞろ出てくるのだから、ちょっとでも寝たらわかりにくくなるのではと、2つ隣の席の人のあくびを見て、余計な心配をしてしまいました・・・。

それと、「バベル」で気分が悪くなった人たち、この映画のチカチカシーンでは大丈夫だったんでしょうかね・・・
かなり光がチカチカするシーンがありました。
これも余計な心配ですが。



猫「That's either one of two things. Either you're somebody, or you ain't nobody.」
なんてセリフにしびれちゃった2時間37分でございました。

しかしエンドロールの後の画面の意味はなんだったんでしょう。
「おめーら、あまいんだよ!」と観客を撃ったような・・・??


posted by jester at 11:22| Comment(14) | TrackBack(10) | あ行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月02日

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

スプラッタ系は苦手のjesterですが、どうしてもジョニデとアラン・リックマンのデュエットが聞きたい! と覚悟を決めて「SWEENEY TODD: THE DEMON BARBER OF FLEET STREET」をみてきました。

ところところ目をつぶりつつ、ティム・バートン・ワールドに浸りきって、☆☆☆☆でしたわ黒ハート


出だしの、地底から響いてくるようなオルガン、あれは劇場の音のいいところで聞きたいですね!

モノトーンの美しい画像と、メロディアスな曲、そして達者な役者たちの演技。
この辺にはもう何もいうことはありません。

なんしろスィニートッドなんだから血がドバとか人肉パイなんかでひ〜ひ〜いってたら楽しめません。(いったけど)

ゴキブリがいっぱい歩いているパイ屋も、強烈なブラック・ユーモアだから、笑えます。
でもつぶしてパイに入れるのは・・・ティム・バートン、悪乗りしすぎだよと思いましたが・・・(当分パイは食えんぞ・・・)
舞台と違ってアップになるので、グロいシーンがきつくて、笑えない部分もあったけど、そういうところではすばやく目をつぶり・・・

ヨーロッパの御伽噺ってとっても残酷なんだけど、これも一種の御伽噺ですね。

jesterはダンスの入ったミュージカルの映画化は、生の舞台とくらべると「気」が伝わってこない気がして駄目なことが多いのだけれど、これはダンスがなかったせいもあるのか(殴)抵抗なく見られました。


ぴかぴか(新しい)ジョニデはさすがにこういう癖のある演技が上手い。
チラッとでてくる回想シーンの若い頃のピュアな感じがまた、スウィニーの凄みのある狂気を引き立ててました。
「アカデミー主演男優賞」とられても仕方ないかも・・・・あせあせ(飛び散る汗)
(ヴィゴの映画を見てないのでちょい弱気・・・)

でも唇を片側だけひくひくさせるところとか、ジャック・スパロウ船長にみえちゃって、ちょっと損かもしれません。

ま、「カリブの海賊」があったからこそ、この映画を見に行った、っていう乙女のファンも多いと思うけど。
(今までのティム・バートン&ジョニデ作品を見てなかった人は気分が悪くなったかもしれませんね・・・・)


雪アラン・リックマン、役どころとしては「パフューム」のお父さんとちょっと似てるけど、すけべな判事の役。水戸黄門でいうと悪代官様です。
もうぴったりだわ〜(殴パンチ
無精ひげを伸ばして、なんかとっても楽しそうにやってましたね♪
歌も頑張ってました!


ハートたち(複数ハート)それと、若い恋人二人もみずみずしくて良かった♪
ジョアナ役のJayne Wisenerも色素の薄い顔と柔らかそうな体つきでよかったけど、アンソニー役のJamie Campbell Bowerがとりわけ綺麗でした。
彼の写真をあさってたらお化粧してるのがいっぱい出てきたけど、もしかしてそういう人なのかなあ・・・?


その他の脇役もみんな上手。
トビィ少年役のEd Sanders も上手い。
ハリポタでも悪役やっていたTimothy SpallやHelena Bonham Carterがまたこれ絶妙!

とここまで書いて気がついたけど、アラン・リックマン、Timothy Spall、Helena Bonham Carterと、配役がハリポタとダブってますね〜
Snape先生は無理としても、あとの二人はそのままの衣装でハリポタにでても違和感ないかも。


クリスマス画面がとても凝っていて、例えばスウィニーの部屋の窓ガラス、ちゃんと表面が微妙に波打っていて、外の景色がゆがんで見えるのです。
あの時代の窓ガラスってそうなんですよね。
ロンドンの古い建物にはいまだにああいうガラスが入っているところがあります。
日本でも長崎の古い建物でこういう窓ガラスがありました。
あの辺まで心を砕いてるところがすごいなあ。


スプラッタ苦手だから、血がドバ!シーンや、指が〜〜・・・では目を薄目にしてましたが、それでも食欲は減退しました。(爆)

音楽もよかったし、DVDは買いですが、毎日かけていたらダイエットになるかも・・・?


猫余韻を残す終わり方も切なくて、もしもスプラッタが大丈夫だったら、けっこうリピート鑑賞していたかもと思いましたです。
(劇場でもう一回見るか?自分・・・・
・・・見るかも・・・?)

posted by jester at 19:12| Comment(14) | TrackBack(7) | さ行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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