よくあるパターンでありながら、実話ベースのリアルさと脚本の巧妙さ、そして演技達者な役者さんたちのおかげで、飽きさせないエンタティメントに仕上がっておりました♪
☆☆☆☆− でございました!

「インサイド・マン」では「首の辺がだぶついてる〜!」と文句を垂れましたが、大分しまってすっきり。
ストイックなマフィアという役柄に合わせて搾ったのでしょうか。
貧しい、「善悪」の常識などない世界で育ち、生き抜いてきた男が、手段をかまわず金を手に入れ、家族を幸せにしようと努力する。
「SomebodyかNobodyか」という世界で、頭を使ってのしていく生き様を渋く演じています。
それにしても
「I ain't go nowhere」なんてチンピラぶって2重否定でしゃべってみても、頭のいい弁護士か刑事に見えてしまう・・・
まあその辺を狙ってのキャスティングなんでしょうけどね〜
セリフのニュアンスを伝えていないヘタクソ字幕で鑑賞したらなおさら
「どこがマフィアなの?」と思われる方も多いでしょうが、そういうフランクだからこそ、捜査が難航したというわけなんですね。

「グラディエイター」などなどの最盛期のきりりとした男らしさと比べると、「プロバンスの贈り物」から相変わらず○○なわけですが、やっぱり上手いんですよね〜(殴

本当にこの人作品&役柄を選ぶのが上手いです。
決して安売りしないというか・・・・商売成功の秘訣ですよね。
私生活はだらしないけれど、社会的な正義感は人一倍強い。
そのために、職場でも家庭でも孤立するけれど、そういう場所での繁殖(?)を求めず、とにかく社会的秩序のためにならすべてを投げ打つ。
こういう人間がいないと社会って保っていけないのかもしれません。
私生活では聖人じゃないからこそ、ヒーローのきざな決めせりふに素直に「かっこいい!」と思えるのかも。
しかも法廷では上がり症なくせに、陰ではお勉強もしっかりしてて、司法試験に挑んだり・・・・
外観のカッコよさじゃなくて、内面のカッコよさみたいなもんがにじみ出てる感じでした。

「Then, Frank, you should wait in the line・・・」
の辺では完全にラッセル扮するリッチーが主導権をとっているわけで、それがちゃんと演技だけで伝わってくる、ラッセルのほうがオーラをだしていて人間的にもでかく見えてくる、その分脅したり収賄しようとするフランクはチンピラに見えてくる、っていうのがすごいと思いました。
Amazing Graceが流れる教会前のシーンはしびれました・・・・

「堕天使のパスポート」「ラブ・アクチュアリー」「キンキーブーツ」「トゥモーロー・ワールド」「インサイド・マン」とオカマから悪役まで、映画ごとに違った顔を見せてくれるキウェテル・イジョフォーは兄にひたすら従う弟役を好演してますし、リッチーの下で働く麻薬特捜班の面々も良かった♪

2時間37分という長さを観客に耐えさせるなら、不要な部分はなるべく削って、脚本のテンポはなるべく上げて欲しい。
(アメリカでは176分バージョンの公開もあるらしいし・・・日本でもそのうちDVDで出るんだろうなあ)
特に日本人から見ると、アフリカン・アメリカンの区別ってつきにくいし、マフィア側も特別捜査班側も地味な人がぞろぞろ出てくるのだから、ちょっとでも寝たらわかりにくくなるのではと、2つ隣の席の人のあくびを見て、余計な心配をしてしまいました・・・。
それと、「バベル」で気分が悪くなった人たち、この映画のチカチカシーンでは大丈夫だったんでしょうかね・・・
かなり光がチカチカするシーンがありました。
これも余計な心配ですが。

なんてセリフにしびれちゃった2時間37分でございました。
しかしエンドロールの後の画面の意味はなんだったんでしょう。
「おめーら、あまいんだよ!」と観客を撃ったような・・・??