2008年04月16日

モンゴル Mongol

白樺に夕日が沈む、豊かな草原。地を這うように流れる、男性の重低音のホーミー(喉歌)。

この出だしですでにやられました〜〜

アカデミー賞外国語賞にノミネートされなかったら日本公開も危ぶまれただろう映画ですが、劇場公開してくれて良かった!
あの雄大な風景を大きな画面でみられ、別世界へいざなうようなダイナミックなホーミーをいい音響で聞けたのが本当にラッキーに思えます。

jesterのお好み度、☆☆☆☆−でした。

最初に「1192年、壬(みずのえ)の年」(?『癸子の年』だったか?)ってテロップが出たときは、
「いい国作ろう鎌倉幕府?? もしかしてチンギス・ハーン=義経説・・?」(爆)なんて思いましたよ。

「だから浅野忠信が主役に抜擢されたのか〜」(違パンチ(殴



最近、どうもフィクション映画が辛い時があります。

特に心理描写なんかをよほど上手く作ってくれないとどうしても作り物に見えて(ま、作り物だけど)見ていてしらけちゃうことが多いのだけれど、丁寧に作られた歴史物(これがノンフィクションといえるかといえば怪しいのだが)は良いです。ひたれます。

その上画像作りがこのぐらい芸術的だと、うれしい。
厳しい冬、劇的な雷、横たわる川面に輝く細波など、モンゴル平原の美しさはもちろん、モンゴル民族の乗馬姿やパオ、シルクロードの西の国である西夏の衣装や風俗など、細かいところにこだわった撮影です。

ジャリの砂漠をひとり歩く西夏の僧侶の衣の赤さが印象的に目に残っています。
空から撮った鳥瞰図の合戦シーンはちょっと『アレキサンダー』のガウガメラの戦いのようでした。
(血しぶきどば!の接近戦シーンは目をつぶってましたが・・・でも『300』よりこっちのほうが作品的には好きです。)

部下をおもんばかり、その家族を見捨てず、当時は地位の低かった女性を大切にし、建国の強い意志をもつリーダーが、ばらばらだった遊牧民を纏め上げ、中央ユーラシアから東は中国、西はイランまでに及ぶモンゴル帝国を作りあげる。

その男の数奇な運命を、過酷な生い立ちから描いていきます。

どうもポドロフ監督は3部作を目論んでいるらしいのですが、生い立ちから青年期にかけての人生が丁寧に撮られているのに対して、後半はすごい駆け足になって最後は『ちょっと待ってくれ』状態でした。

jester的には、あそこまで急がずに切りのいいところで「続く」にしても良かったような気がして☆一個マイナスしますが、合戦シーンを入れなかったらやっぱり他の観客は怒ったかもしれませんねえ・・・・・

3部作といっても、この映画の興行成績如何では作れないかもしれないのだし。


演技で印象的だったのは、スン・ホンレイ演じるジャムカ。
主人公、テムジン(浅野忠信)の盟友であり、好敵手でもある男。

『初恋の来た道』の息子役はまあいいとしても、『セブンソード』では女の背中に噛み付く変態ハゲオヤジ(殴)でしたが、でもあの時も敵役としてすごい存在感があったんですよね。

今回はさらにパワーアップして、すごいオーラがじりじり出てます。
画面に出てくると釘付けです。

もともと浅野忠行はテムジンの役ではなかったとかなんとか、アカデミー賞の時のインタビューでしゃべっているのを聞いた覚えがあるのですが、もしジャムカの役を彼がやることになっていたのだとしたら、残念ながら迫力では勝てなかったとおもわれます。

倒れているテムジンの横に横たわり、ジャムカがさかさまから顔を寄せていくところで「おお!これは『マイ・ブルベリーナイツ』のキスシーンの再現か??」なんて喜んでいたのは私だけ・・・ですね。あせあせ(飛び散る汗)はい。


また、テムジンの妻、ボルテ役のクーラン・チュランも良かった。

少女役から替わってでてきた時は、う〜むむむ、とうなってしまった平面的な顔だちで、細いつり目のオリエンタル顔。

でもすんごく綺麗に見えてくるのです!

昔海外に住んでいたころ、白人のおばちゃんが、めちゃくちゃモンゴロイド系のわが娘をみると両腕を広げ、「なんて可愛いの!!」と叫んでぎゅう〜!とハグしたりチューしたりしてたんですよ。

同じ黄色人種でも、オメメぱっちりで鼻が高い、いわゆる「バター顔」のお嬢様たちよりずっと評価されてましたね。

そのため、娘は中学2年になって日本に帰国するまで、親が再三誤解を解こうとしたにもかかわらず、「自分は可愛いのかもしれない?」と認識したまま年をとってしまい、帰国して事実を確認後のショックが・・・ああ・・れみぜらぶる、という悲劇が我が家にはございました。(涙たらーっ(汗)

しかし今回、あの時の白人のおばちゃんたちの気持ちが、よお〜〜く分かりました。
モンゴロイドの血を引継ぎしわれらは、平面的でつり目な顔だちに誇りを持っていいのだわ!なんて妙な自信がつきました。←(汗)

はいはいはい、もちろん、ただ平面的でつり目ならいいってもんじゃないですよね。
ボルテのように強いプライドと意志が顔に表れてないと駄目なのでした。(反省)

とにかくそれほど、彼女は美しく見えましたです。


『嫁は顔が平ら、目は小さいのを選べ。目が大きいと、悪魔が入り込みやすく、いらぬものを見る。それから脚の強い女を選べ。』

モンゴルの『嫁さん選び基準』はちょっと『小さい目族』のjesterには嬉しかったりして。

しかも「敵にさらわれて陵辱を受けたからには死を持って・・・」なんて某大和民族のように狭量&ヒステリックにならず、敵の子供であっても妻の腹に宿ったら「オレの子だ」というきっぱりとしたモンゴル気質には惚れましたわ〜
さすがは大陸の男と女でございます。
「男の映画」かと思っていたけれど、女性もしっかり活躍していたのが嬉しかった。


ぴかぴか(新しい)それと「金の耳輪をした商人」のYing Baiさん。
中国や台湾、香港映画ではおなじみの顔ですが、バスの転がすような声が魅力的。
もっと出番があってもよかったのに〜


猫しかしこの三人と浅野忠信以外は、本当に皆様、朝青龍顔でございまして、最初のうちなかなか見分けがつかなくて苦労しました・・・・

それと、モンゴル力士の相撲の強さの秘密もわかった気がします。
同じDNAを持っていても、肉食で、放牧生活をして乗馬で鍛えて育つと、あんなにたくましい肉体になるのですね〜


犬さて、浅野忠信ですが・・・・

jesterは彼の演技をちゃんと見たのは初めてでした。
それまではjesterの周りの人が 「ボロミアに似たやつ」 (あ、逆でした、ショーン・ビーン@ボロミアが「浅野忠信に似たヤツ」とよく言われてました)というのを聞いたぐらいで。

復讐とかに燃えずに、淡々としている英雄チンギス・ハーンという点ではポイントが高いのかもしれません。
しかしどうもjesterには、カリスマ性が少々足りない気がしました。

もともと、鍛え上げたモンゴルの俳優さんの中に入ると、どうしても彼の体はひ弱にみえ、また顔が柔和で垂れ目なもんだから、汚れてても野性味がなくて都会的な感じなんですよね。
乗馬も練習したのでしょうけれど、やはりモンゴルの人と比べると上体の芯がぐらついてるのが残念。
よろよろ逃げ惑うシーンでは「泣くなよ!」といいたくなる時も時々ありました。

スン・ホンレイがぎらぎら「動」してるもんだから、なおさら彼が「静」に見えすぎてしまって、一大帝国を築くにはちょっと力不足ではないかしらん、なんて思いました。

なにしろ、チンギス・ハーンといえば、世界中でもっとも子孫を多く残したと、オクスフォード大学の遺伝学研究チームが発表した男。
彼のY染色体を引き継いでいるものは現在世界に1600万人いるといわれてますからねえ〜


やはりそれなりのフェロモンをだしていただかないと。パンチ


それにしても、ただ一人モンゴル人や中国人やロシア人のキャスト&スタッフに囲まれて長い時間仕事をして、その苦労は想像できないほどなのに、この人みたいな顔にならないのはえらいっす。(爆) 
右斜め下

中国魅録―「鬼が来た!」撮影日記

このご本の表紙の般若のごとき香川照之氏と比べると、インタビュー時の浅野氏は悟りきった仏様のような顔にみえましたわ〜(爆)


まあ、浅野忠信が出演したからこそ日本での公開があり、彼目当てに見に行く人もいるだろうから、そういう意味では商品価値があるのだとおもいます。


ストーリー的には最初に書いたように少し最後をはしょりすぎだったし、英雄が神頼みすぎな気もしましたが、最後までぐいぐいとひっぱる脚本でございました。


しかし、たとえば「義経」の映画で「義経」を日本人じゃない人が片言の日本語でやったらどうなんだろう・・・・。

う〜む、個人的には、トニー・レオンなら許すが。(強制終了!)








posted by jester at 20:01| Comment(14) | TrackBack(9) | ま行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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