山スキーをなさる方で、70歳でヒマラヤ、77歳でキリマンジャロ、99歳でモンブラン、100歳でスノーバードから滑降なさいました。
残念ながら去年101歳でお亡くなりになりましたが、そのポジティブな生き方がすがすがしくて、可愛らしくて、撮られたお写真も大好きでした。
(ご存知かと思いますが、プロスキーヤーの三浦雄一郎さんのお父様です)
毎日の生活をご本などで垣間見ても、年をとってもわくわくと楽しんで生きてらして、あんなふうに年をとりたいな〜 なんて密かに思ってました。
『死』というのは人間にとって、永遠のテーマです。
『いかに死ぬか』は『いかに生きるか』(『いかに年をとるか』)であります。
しかし、『いかに生きるか』がわかって生きている人なんてあまりいない。
ほとんどの人は毎日をじたばたと送るので精一杯ですよね。
jesterもそんな人間の一人です。
だからこそ、このテーマには惹かれてしまいます。
アルフォンス・デーケンさんの本なんかを読むこともあります。
死に直面するその日が来た時、
「違う、ここに来るはずじゃなかった!」とあたふたしないためにも。
エジプトの神話では、天国の入り口で門番に聞かれるそうです。
"Have you found joy in your life?"
(人生で歓びを見つけたか?)
"Has your life brought joy to others?"
(あなたが生きたことによって、歓びをもたらされた人はいたか?)
『最高の人生の見つけ方』という邦題、主演の2人の顔ぶれなどなどから、トレーラーを見て、「もうわかったよ。見ないし」と思った方も多かったかもしれません。
アメリカでも『映画評論家』のレビューではたたかれてました。
『ノーカントリー』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』にA+をつけた評論家はほとんどがCとかC-の評価でした。
(でも一般の人の評価はおおむね高かったのですが。)
そんな評価を横目で見ながら、あまり期待せずに、「あんまりお説教臭くないと良いけど」なんて思いつつ見てきたのですが、
jesterのお好み度は☆☆☆☆−でございました♪
芸術的に完成度の高い映画も確かに見ごたえがあるのですが、あまりに後味が悪いと気分がずしんと重くなってしまいます。
求めるものは人それぞれでしょうけれど、たまには映画を見て笑いたい、ほっとしたい、暖かくなりたい、明日からの生活にポジティブになりたいjesterでございます。
(業務連絡;MARYさん、ごめんなさい、今回酷評できませんわ・・・ご覧になって〜 きっとお気に召すと思います♪)
「BUCKET LIST」って、『棺おけリスト』なんて訳されてましたので、「Bucket」が「棺おけ」という意味にも使われるのかな?と思っていたのですが、調べてみたら、「Kick the bucket」という言い方があって、「死ぬ、とか、くたばる」という意味の俗語で、そこから作られた造語であり、「死ぬ前に(したいこと)リスト」なんですね。
というとちょっと前に「死ぬ前にしたい10のこと」というカナダ/スペイン映画がありましたが、あれは若い女性が主人公だったのに対して、こちらは「棺おけに片足を突っ込んでいる」(殴)おじいちゃんたちが主人公です。
(後述;コメント欄でDDさんがドイツ映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」との設定の類似を指摘してくださいましたが、そういわれてみれば・・・でございます。DDさん、あの名作を思い出させてくださってありがとう〜!
ちなみに「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」はjesterのお好み度、☆☆☆☆☆+の映画でした♪
どうもこういう系統に弱いんだな、自分。)

しかし、モーガン・フリーマンが『実直な車の修理工で暖かい家庭を持ち、精神的に安定しているおじいちゃん』で、ジャック・ニコルソンが『一代で財を築いた大金持ちで、プレーボーイの成れの果ての孤独なおじいちゃん』って、そのままやんけ!!
これは『水戸黄門』か??
・・・・はい。ある意味。
全く期待を裏切らない展開なんです。わはははは。
確かに紋切り型で予定調和であります。
それを承知で見る映画かも。
(だから『評論家』には評判わるいだろうなあ・・・)
I know that when he died his eyes were closed and his heart was open (彼が死んだ時、目は閉じていたが、心は開かれていたのを知っている)
なんてね、ヒマラヤ登山をする人影に被るモーガン・フリーマンのナレーションで始まるんですよ。
そう、あの『ショーシャンクの空に』と同じ口調の、滑らかで温かい声のナレーション。
ここでもう、それだけで、密かにじ〜〜んと。(早すぎるし、自分。)

彼と香港のワンチャイの貿易センタービルでデートして、歴史の話やら山の話やらを聞きたいです。
ジャック・ニコルソンは最近「これ、CGじゃないの? 着ぐるみ?」などと思ってしまうjesterですが(殴)、今回は見てるうちに可愛く見えてきました。
やっぱりうまい俳優さんだわ〜
あと、彼がしていた、ベッドで寝ててテレビを見るへんてこな眼鏡が気に入った。その眼鏡に目が写ってるのがめちゃくちゃおかしかった。あの眼鏡が欲しい!
****以下、ネタバレあります。未見の方、ご注意ください!****
展開は、まさに思ったとおり。
病院で隣り合わせたベッドの、余命6ヶ月〜1年宣言を受けたジジイ二人が、「死ぬまでにやっときたいことリスト」を作り、それをやるうちに、心を開いていく、という。
幸せは、カーレースやサファリクルーズやスカイダイビングやプライベートジェットで飛ぶフランスの別荘にあるんじゃないよ。
もちろんそれも楽しいけど、でもほんとに死ぬ前にして置きたいことはそれじゃないだろ?
うんうん、その通り。
しかし、モーガン・フリーマン扮するカーターが最初にリストに書いた「見ず知らずの他人に親切にする」っていうのは、どこで達成したんだろう・・・・と思っておりました。
それが、エドワード(ジャック・ニコルソン)が教会で、リストのこの項目を消した時に、「あ、『見ず知らずの人』ってエドワードのことか!」と判って、さらにジワ〜〜っときました。
というのは、カーターみたいに愛のある家庭がある人が、たとえ『空の巣シンドローム』に陥った夫婦だとしても、ああいうシーンで、エドワードと即旅に出るっていうのが不自然な感じがして、引っかかっていたんですよ。
そんなに金持ちと豪遊するのが彼にとって楽しいだろうか? 最後に願うことなんだろうか?
それが判らない彼ではないはず、なんて。
でも、これって、リストに書いた願いを達成したってことだったんだな〜 と思ったら、かなりすっきり致しました。
もちろん旅の日々をカーターは楽しんでいたとは思うのですけれど。
そのほかに『世界一の美女にキスをする』とか『壮大な景色を見る』とかの達成が、予想をちょこっと裏切る展開で、その辺もしみじみ嬉しかったです。
笑えるつくりになっていて、さほどお説教臭くもなく、メッセージがまっすぐに伝わってくる。
かなりハリウッド的な作りで、画像のセンスはお金をかけてる割にたいしたことないし、テーマはベタだし、なんですけど、こういうものを折に触れて見るのは、デス・エデュケーションの一つとして、毎日の生活に気づきをもたらしてくれる価値があるのではないかと思います。

ところで、キーワードにもなっていた「コピ・ルアック」は、日本人で知っている人が多かったのでは?
『かもめ食堂』で出てきましたよね、このコーヒー。
