もう誰もが忘れ去っていた小さな出来事。
それを執念深くおぼえていた女がいた。
ほんの小さなことだけれど、芸術家を目指すものにとっては許せないことだったのだろうか・・・
(大分前に鑑賞したものですが、忘れる前にちょこっとレビューを。)
あらすじ:『かつてピアニストを目指す少女だったメラニー(デボラ・フランソワ)は、ピアノの実技試験中、審査員の人気ピアニスト、アリアーヌ(カトリーヌ・フロ)の無神経な態度に動揺してミスを犯し、ピアニストの夢を絶たれる。その後、アリアーヌに再会したメラニーは、演奏会の成功の鍵を握る“譜めくり”に抜てきされるが……。(シネマトゥデイより) 』
じりじりと、恨みを持つピアニストの家庭に食い込み、内部から崩壊を企てる女性。
その陰湿な行動にはらはらどきどき。
無表情で何を考えているかわからないヒロインに、これからどうなる??と目がはなせません。
とはいえ、どうしてここまで恨むの?という辺に疑問が残りましたが、短編小説のようなサスペンスのある脚本と、フランス映画らしい緊密で誇張のない、静謐な画面の作り方にはうっとり。
☆☆☆1/2 でした♪

おしゃれで綺麗でした♪
ピアニストとしては優秀なのに、それゆえなのか精神的に繊細すぎるところのある女性を演じていて素敵でした。
スタイルいいし、肌は綺麗だし、お化粧もきっちりしてるけど厚化粧じゃなくて、エレガント。
こんな風に年をとりたいな〜と思いました。(しかし、1957年生まれなんですね、彼女。ちょっといろんな意味でショック。(なぜかは聞かないでください(爆)))
****以下、ネタバレないですけど、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****
対するメラニー(デボラ・フランソワ)は少女の頃から能面のように無表情で、ピアノが大好きながらも、試験が失敗に終わった後、練習室にもどって、腹いせに、これから試験を受ける練習中の別の生徒のピアノをフタを故意にバン!と閉めたりする暗い少女で、長じて大人になっても表情の読めない女性になっている。
しかし・・・無神経な態度といっても試験の審査中に、ファンに求められたサインを一回書いたっていうだけなんですよね。
それで調子をくずしたのは可愛そうだけれど、それを気にせずに弾き続けられる集中力というものも大切なのでは? それに、それほどピアニストになりたいなら、続ければいいのに・・・なんて思ってしまうjesterには、彼女の『恨み』が実感として伝わってきません。
憧れゆえというのがあったとしても・・・
(大体jesterは怒りが長続きしないし、どんな恨みも一晩寝れば忘れてしまうお気楽体質だもんで・・・ついでに言えば、継続力がなく、どんな決心も努力も長続きしないんですが・・・(涙))
だからあそこまでしなくても・・・と思ってしまいました。
わざといぢわるでサインしたわけじゃないしねえ・・・
その前に断ったのに、しつこくせがまれて面倒くさくなって、しただけなのに。
恨むなら、あんな場所までしゃしゃり出て、しつこくサインをねだったほうを恨めよ。
それから長い時間が流れたのに、メラニーが復讐だけを胸に秘めて暮らしてきたのかと思うと、あまりに無駄に過ごされた青春が哀れです。
ピアノの実力も、もしかしたら本人の思い込みだけで、たいした事はなかったのかもしれないとも思います。
精神的にちょっと病気だったのかも。
そういう意味では、恐ろしさはじわじわと伝わってきます。
彼女が張り巡らせる巧妙な罠は、静かで地味だけど、大胆で致命的。
人の幸せをすべて壊そうという、細い糸でできたがんじがらめの罠。
しかもチェロをあんなふうに使って反撃するなんて・・・・
恐いです!
チェロのエンドピンって実は凶器なんですよね〜
舞台のチェロが座る辺って床がぼこぼこですもん。
刺さらないな〜エイ! なんて力をこめてやるとかなり危ないそうです。(まあ楽器なのでそんなに乱暴にはしないでしょうけど)
ちなみにうちのコントラバス奏者に聞いたところコントラバスのエンドピンでやったら骨がくだけるかもだって。
ひえ〜〜(汗)

俳優さんたちの演奏も上手で、吹き替えだとしてもわざとらしくなくて上手にできてました。

地下のプールやらテニスコート、まさにフランスのお金持ちの暮らしです♪

それにしてもアリアーヌのメラニーへの傾倒も、私には不自然に思え、サスペンスを楽しむことはできたけれど、いまいちキャラクターに共感できないまま終わってしまった感じでございました。
復讐するなら、いろいろいぢわるするんじゃなくて、自分が努力の末、ピアニストになって見返してやれ!(爆)
でも短めな時間ながら、緊張感が最後まで続き、飽きずにみられましたです。