
雨が降る陰鬱なロンドンの闇世界。
かつては貧しくとも普通の世界に生きていたウクライナの少女が
この暗黒に飲まれ、傷ついた体で必死で救いを求める。
この少女を偶然看護することになる看護婦がいた。
やはり普通の生活を営んでいた彼女だったが、
少女の日記を読み解くにつれ、底知れない暗い世界を垣間見ることになる。
そこに光はもたらされるのだろうか・・・
うううう・・・良かったです!!
傑作でございました!!
6月10日の朝日新聞に、私の好きな作家である沢木耕太郎氏がこの映画のレビューを載せていらして、
「久しぶりに震えるような映画を見た。陰鬱で残酷だが、すべてが黒光りするように輝いている。」
「いったいこれはどのような映画なのだろう?
しかしそんな疑問を差し挟む暇も与えられないまま、私たちは一気にロンドンの闇の世界に連れ去られていくことになる。」
とかかれてましたが、まさにその通りでした!
傑作の噂があってもなくても、俳優さんのファン心理としては、お気に入りの俳優さんが出ている映画は見にいってしまうものですが、この映画は本当に待った甲斐がありました。
ヴィゴ・モーテンセンの演技もすばらしく、この映画の演技でアカデミー主演男優賞ではノミネートに終わりましたが、賞をとらせてあげたかった熱演でした。
ネタバレを厳禁していたので、衝撃も大きかったし、感動も深かったです。
実は先月、試写会でも見ていたので、14日の初日は2回目の鑑賞でしたが、2回目は2回目でじっくり俳優さんの演技を見られて、また感激ひとしおでした。
クローネンバーグ監督の作品ですし、今回はR18指定を受けてますので、かなり厳しいシーンがありますが、その辺は半眼になりつつも、最後には感動でジワ〜〜っと。
同監督の前作、「A History of Violence 」は出だしが明るく、次第に暗くなり主人公が追い詰められていく感じでしたが、今回はそれと逆のパターンです。
どちらでも主人公をやったヴィゴは、トムを演じた人と同じ人間とは思えないほど、前回の主人公とはっきりと演じ分けていて、ロシアン・マフィアに見えました!
☆☆☆☆☆ でございました♪
共演のヴァンサン・カッセルがまたこれ絶妙の演技で、気弱で傲慢でいろいろなコンプレックスを抱える男性を好演してました。
その父の役のアーミン・ミューラー=スタールがまた重厚でよかったです。
表の顔と裏の顔の差がすごくて、じわ〜〜っと恐怖に襲われました。

そして、ナオミ・ワッツが素晴らしかった!
いい女優さんだとは思ってましたが、いまいち作品に恵まれない感がありました。
でも「イースタン・プロミス」では、彼女のキャラクターに共感できたし、子どもを見る目になんともいえない情感があり、きりりとした知的な美しさが際立っていて、この作品は彼女の代表作といえることになるのではないかしら。

