2005年12月19日

L'equipier(灯台守の恋) その6(ネタばれあります)

2回目は多分それほど泣かないのではないか、という予想を裏切って、またかなり泣いてしまったjesterです。

ミリオンダラー・ベイビーですら2回目は泣かなかったのになあ・・・・


(もう公開から大分経っているのと、もともと『ネタばれ』を警戒するような内容の映画ではないので、以下はかなり深く内容に触れています。未見の方はご注意くださいませ)




2回目は最初から「友情もの」と割り切って、男性二人に焦点を合わせてみていたので、よりメッセージがクリアに伝わった感じがします。
二人がお互いを理解し、歩み寄っていくところはとても丁寧に描写されていました。
なぜ、イヴォンが今までの同僚から反感を買うのを覚悟してまで、アントワーヌを「L'equipier」として受け入れるようになったかが、細かい描写で丁寧に積み重ねられていました。

 
それに対して、アントワーヌとマベがなぜ惹かれあうのかは、ほとんど説明がありません。まるで出会った瞬間にお互い一目ぼれしていたんだよ、とばかりに話が進みます。
男と女ならそういうのがあり、と割り切っているのでしょうか?
ちょっと納得いかないところデス。
ま、父の手作りのアコーデオンとか自転車とか、ささっと手早く直してくれたりした青年が、熱いまなざしを投げかけてきたら、女心は揺れるでしょうね。うんうん。
なんしろ相手はグレゴリ・デランジュールですし。
jesterなんかもう、グラグラかも。パンチパンチパンチ

しかし、なんとなくいい雰囲気でしゃべっていたのに、突然「島に住むブルターニュ人は字も読めない野蛮人?」とアントワーヌに突っかかるマベ。
フランスでブルターニュ人がどう偏見をもたれているのかはまったく知りませんが、それにしても言いがかりのような台詞で唐突な感じがします。

そのくせ、アントワーヌに「つらすぎる」といわれると「私も」とすぐ答えてしまうし・・・・
(いや、あのシーンを見ながら、jesterも思わず「私も」とすぐ答えてましたが・・・・)パンチ


でもアントワーヌはマベに惹かれながらも、イヴォンとマベを引き裂こうとはまったく思っていなかったのですよね。
最後の別れを告げるとき、アントワーヌが「一緒に島を出よう」といったら、マベはついていったと思います。(物干しに立って、アントワーヌが一人でこもっていると思われる納屋に向かってマベがいう言葉、「私はどうすればいいの?」って、=「一緒に連れて行ってね」という意味じゃないかしら?と思います)
アントワーヌもそれを知っていて、あえてその一言は言わなかったのでは。
「行き先は?」とマベに聞かれても
「わからない。僕にもわからない」と、きっぱりと終わりを告げています。

アントワーヌは身を引くことを堅く決意しているのだと思います。
それはマベに対する愛と比べても勝るとも劣らないほど、イヴォンに友情を感じているからではないのかしら。
イヴォンを傷つけたくない、という気持ちが強かったのだと思います。自分の幸せより、友達の幸せを祈る・・・ううう、いい男だねえ。たらーっ(汗)


最後のシフトに出かける2人を、土砂降りの雨の中自転車に乗って船を追いかけ、岬に立つ十字架の横で手を振るマベ。イヴォンに気を使いながら、マベにおずおずと手を振り、その手を下ろせなくなってしまうアントワーヌ。
(泣けます・・・・・・身を引く決意は固いけど、別れがたいんですよね・・・・)
自分が手を下ろしても、多分いつもよりずっと長く手を振っているマベを見て、妻が自分に手を振っているのではないと気がついてしまうイヴォン。

過剰な台詞もアップもなく、地味な色合いの風景の中で、ほとんど動きのない抑えた演技なのに、これほど人間の心が伝わってきてしまうのはなぜでしょう・・・・
俳優陣の演技力と監督の手腕に脱帽です。


今回つくづく思ったのは、イヴォンを演じるフィリップ・トレトンの演技の素晴らしさ。
最初、いけ好かないおっさんだったのが、アントワーヌに心を開くうちに、どんどん可愛く見えてくる・・・・

彼もあの島ではよそ者で、マベを愛するあまり、頑張ってやっと仲間入りしたものの、本当は打ち解けていない・・・・
いつかは出て行きたい「地獄」だって思っているのが本音です。

静かに家具を作るのが好きな無口な男だけれど、妻をひたすら愛している。
だからこそ「地獄」のような馴染めない場所でも、地道に暮らしているイヴォン。
アントワーヌが来て、心を開ける友人が来たと一番喜んでいるのはイヴォンだったと思います。だからこそ、仲間から「ブルターニュ人だろ! 恥を知れ! 面汚し!」とののしられてもアントワーヌをかばうのだと思います。

「気に入ったか? 花火だよ、驚いたろ?」というときの少年のような瞳。

そんな友人に対して、その花火の下で、彼の愛する妻を抱いたその事実がどれだけアントワーヌを苦しめたでしょう。


でもあの、花火の下のラブシーンは、私には色っぽく見えず、それよりも、「よかったね、アントワーヌ、やっと素直に思いをぶつけることが出来たね」と母のような気持ちで見てしまいました。(あんなでかい息子を産んだ覚えはないが・・・・)

初めての場所で、仮面のように微笑を浮かべ、自分の気持ちを抑えて抑えて何とかコミュニティに受け入れられようとがんばってきた彼が、やっと素顔にもどって泣くことができた一瞬だったのではないかと思います。

それが世間からは後ろ指指されることであったとしても、あそこでアントワーヌを抱いてやらなきゃ女じゃないよ! よくやった、マベ!!!



と啖呵を切って、また続く模様・・・・・・。ふう。パンチ


あ、灯台フィギュアは買いませんでした・・・・。ぐっと我慢我慢。
だって13000円もするんだも〜〜ん。しくしく。

ああああ・・・・でも、あれをうちの出窓に飾りたいなあ。
嵐のとき、あの灯台があれば心丈夫だろうなあ・・・(まだ心が揺れている)あせあせ(飛び散る汗)


posted by jester at 18:11| Comment(11) | TrackBack(8) | た行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この映画、全然チェックしてなかったので、日記を読ませていただくにとどまってたのですが、2回も行っちゃうくらいなんですね・・・。

へええ、と思ってたら、なんと今週のテレビ欄に偶然にもこの映画の名前が!
ラッキーと思ったら、ケーブルのチャンネルでした・・・。

そりゃ去年の映画が無料で見られるわけがない。
Posted by nouilles-sautees at 2005年12月19日 18:50
おお!やきそばさん!!
この作品、フランスではどうだったんでしょう? お客さん、入ったんですかね。
とっても地味な映画だけど・・・・
やきそばさんはご覧になってないんですね〜
でもそちらのケーブルではもうやっているんですか。うらやましいな。

そうそう、「L'equipier」って、どう発音するんでしょう? 昨日映画館で必死で聞き取ろうとしたけど分かりませんでした・・

もしご覧になっていたのなら、村の人はブルターニュなまりを話してたのか、アントワーヌはどうだったのかもお聞きしたかったのです。
せめて字幕見ないでフランス映画わかるようになりたい・・・・!!!
なんかこの映画の字幕も細かいニュアンスとか怪しいところが一杯あって、「違うだろう!」とつっこみたい(が、わからない)jesterでありました。
それに字幕読んでると画面がみられない・・・
Posted by jester at 2005年12月19日 21:20
二度ご覧になったとはすばらしい。
ステキな映画でしたよねぇ。
ただの不倫ものと思いきや、やられましたー。

今、「抱擁」を読んでいて、舞台はブルターニュです。
Posted by かえる at 2005年12月20日 01:18
かえるさん、コメントありがとうございます。
ほんとにいい映画でしたね。
不倫もの、とか悲恋もの、っていう味方もあると思うけど、男二人の関係に泣けました・・・

>今、「抱擁」を読んでいて、舞台はブルターニュです。

A.S. バイアット さんのでしょうか? このタイトルではいろんな本が出てますが、また面白い本などあったら教えてくださいませ。

Posted by jester at 2005年12月20日 08:45
こんにちは♪
先日は、TB、コメントをありがとうございました。

jesterさんの熱い記事を読まさせて貰いました!
6回もに分けて書く、作品に対する思い入れが凄く伝わって来ました〜♪
ワタシもこの映画にはすっかりハマッてしまって・・・
灯台のフィギアやカレンダー
ワタシも買おうかと思ってじっと見入ってました。
(・・・結局買いませんでしたが・汗)
あのピアノも素敵でしたよねー・・・
ワタシもjesterさんと同じく今年のマイベストに入りますです〜〜〜♪
Posted by Puff at 2005年12月20日 19:04
>この作品、フランスではどうだったんでしょう? お客さん、入ったんですかね。

実は・・・全然記憶にないのです。
サンドリーヌ・ボネールとか結構好きなんですけどね。
周りで見たとか見たいと言ってる人もいなかったような。

L'EQUIPIERの発音は、L'は冠詞で、単語はエキピエ、合わせてレキピエです。

日本じゃほんとに評判なんですね〜。
Posted by nouilles-sautees at 2005年12月20日 22:04
Puffさん、コメントありがとうございます。
灯台守もまだまだ続きそうなんですが、他の映画の感想もかいとかないと忘れちゃうし、あせっております。
わたし、カレンダーは買っちゃったんですよ〜〜

ナンサを見終わってから、jester2005年ベストテンを考えようと思ってます♪
Posted by jester at 2005年12月21日 10:15
nouilles-sauteesさん、発音指導ありがとうございます!
レキピエ、なんですね〜

日本では、それほど有名じゃないんです。見た人はおおむね評判がいいみたいですけれど・・・・
私の感じでは、あまりお金がかかっていないインディーズ系や短館系の映画を見るような、映画好きな人の間ではおおむね評価高し、って感じがします。
Posted by jester at 2005年12月21日 10:20
こんにちは。

コメント&TBありがとうございました。

いい映画でしたねぇ。
イヴォンのいいヤツっぷりがまだ心に残っています。
jesterさんのレビューを読みながら、再度見たくなって来ました。
DVDが発売されることを期待して待ちたいと思います。
Posted by toe at 2005年12月23日 23:27
はじめまして。TBさせてくださいませ。
大人の恋、ももちろんですが、やはり男二人の関係がぐっと胸に来る作品でした。
灯台フィギュア?
素敵です。
DVDになったらもう一度見たいと思います。
Posted by double face-d at 2006年02月27日 17:11
double face-dさん、TB&コメントありがとうございます。お返事遅くなってごめんなさい。
本当に、あの二人の友情が胸に痛かったですね。
わたしもDVDになったら絶対買いです。
Posted by jester at 2006年03月02日 21:13
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