エリック・バナ兄貴にはやられたなあ・・・・

トロイでもそうだったけど、彼の持つ独特の「いい人フェロモン」がど〜〜〜と出てて、それがアヴナーの苦悩する姿にぴったり。
『タフに頑張って任務をこなそうとしながら、生真面目にその任務の意義を考えてしまって自分を追い詰めそうなタイプ』がなんて似合う俳優さんなんでしょう!
電話で自分の生まれたばかりの娘の声を聞き、声を殺して泣きながら
「これが父さんの声だよ・・・・憶えておいて・・・・」
というシーンでは思わずもらい泣きしました。

死を覚悟して、娘に別れを告げているのですね。
それにお料理上手。思わず「食べてみたい・・・・」と思いました・・・
また情報屋ルイの一味の「パパ」という存在も不気味でした。
大家族と一緒に田舎に暮らし、家族を愛する様子を見せつつも、何を考えているかわからない。
「自分たちはどの国家にも組しない」と言い切りながら、その実、金のためなら裏切りだって厭わない刹那的な人間たち。
邪悪な便利屋であり、武器商人でもあるグループ。
人間の存在の罪深さを感じます。
アヴナーたちはお互いに「これは戦争なんだ。単なる人殺しじゃない。俺たちは戦争を戦っている兵士なんだ」 といいあって鼓舞しあいますが、
実は 戦争は人殺しなんですよね・・・・。
jesterはしばらく海外で暮らしていたので、国がない人の気持ちが少し分かるような気がします。
よその国に住んでいると、たとえその国で発行されたIDカードを持っていても、どんなにその国のために尽くしても、やっぱりよそ者、なんです。
母国語が通じる、同じ民族の人ばかりの暮らしは、やっぱり楽だし、安全で安心。
日本には不満もあるけれど、住んでみるとやっぱり私のHomeなんだな、って感じます。
だから祖国再建の思いの切実さもちょっと判る気がします。
何とかパレスチナ人もイスラエル人も、積もり積もった長年の恨みを捨てて、譲り合って共存できないでしょうか・・・・ ひとりひとり顔を合わせれば、何の恨みもない人同士なのに・・・・。
さて、画像は地味ですが、暗い色調が美しく秀逸。
前半に入るモノクロのニュース映像とぴったり合って、リアルさを増しています。
俳優さんたちも、バナ兄さんを先頭につわものばかり。
安心してみていられます。


ところでこの写真の、右はエリック・バナですけど、左、だれだかわかりますか?
もじゃもじゃヒゲで、バナさんの横にいるとやけに小柄に見えるので、
「どっかで見たけど、だれだっけ??」と思ってましたが、「アメリ」で恋人役だった、マチュー・カソヴィッツでした。
パンフを見たら、この人、監督をして作品を撮ったりしてるんですね。
とってもいい味を出してました。
ジェフリー・ラッシュにはいつも驚かされますが、今回もびっくり。
すごい役者だなあ。

バルボッサ船長にも驚いたけど、今回、これが「シャイン」でピアノを弾いてた人とは思えない・・・・
それと、情報屋ルイの役をしたマチュー・アマルリックも存在感があったな〜
鋭い目つきと繊細な演技。注目です!

スピルバーグは「ターミナル」とか「宇宙戦争」でお金を稼いで映画会社を納得させておいて、こういう映画で本音を吐いている・・・のかな、なんて思ったりしました。
こういう映画ばかり撮っていたら、大衆はスピルバーグ・ブランドを敬遠するようになっちゃうかもしれないですよね。
スピルバーグが意図しているのは、「無関心な大衆」に少しでも考えて欲しい、ということなのかしら。
だからこそ、だれでも楽しめるような娯楽大作でヒットを飛ばして、人気を得ては、メッセージ性の強いものを小出しに撮って、たくさんの人にメッセージを伝えたいと思っているのかもしれません。
(甘い感傷かもしれませんが・・・・でも、たとえ甘い感傷であったとしても、何も感じないよりましかな、なんて思うのです。)
パレスチナ、アラブの問題は、日本人には『対岸の火』であって、関心がある人は少ないでしょうし、この映画を見ても「全然わからなかった」という感想も時々あるみたいですけれど、グローバルな目で世界を見たら、他の部分がひどく病んでしまったら、日本だけが無事で平和なまま存続できるはずがないです。
『他人事』だと思って他の国の悲劇を見逃していたら、必ず近い将来痛いしっぺ返しが来ると思います。
わたしたち、地球上に住むものは、生命共同体だと思うのです。
傍観者から、問題の解決に手を貸せるものへ、「万里の道も一歩から」の気持ちでjesterも何かしたいな、なんて思いました。
この映画を見た7日のNHKの「プロフェッショナル」という番組で、『人間は報酬としてお金で評価されることだけでなく、「他の人から頼りにされている」という事実を、脳が評価・報酬として受け止める』、といってました。
世界中の人が、『お金』を報酬として喜ぶだけでなく、『信頼の心』を尊んでくれるといいな、なんておもいました。
そんな世界が来るのを祈ります。
もうちょっと書きたいのですが、昨日「ホテル・ルワンダ」を見たので、それについても忘れないうちに書かなくちゃ、というわけで、最後急ぎましたが、とりあえず「ミュンヘン」についてはこれでおしまいデス。
読んでくださった方、おつきあい、ありがとうございました〜

なのに、やっぱり「ミュンヘン」ではラストでもうすっかり頭が疲れていたのかな?なんて思いました。
>「万里の道も一歩から」の気持ちで
そうですよねほんとに。私などは政治の世界にも無縁ですし、声高に「世界平和」なんて叫べるミス・ユニバースの代表に選ばれる見込みも死ぬまでないと思うので(当たり前)、こういった作品を自分の子供に見せて一緒に考える事位が出来る精一杯の事かななんて思っております。
長文の素晴らしい感想 お疲れさまでした!
「灯台守」の時から、すべて読ませて頂いてますよ(^^)v
なんつか、とっても単純な頭脳構造なもんで、説教臭いかなとおもいつつ、こういう映画を見ると、ついついいろいろ書きたくなったりしちゃいます。
でも、こうしてブログで見知らぬ方にも自分の考えを知っていただけ、また他の人の考えも教えてもらえるって素晴らしいことですね〜〜
ネットには悪い念波やウイルスもたくさん流れてるけど、自分が正しいと思うことを率直に書いていける場があるのは幸せデス。
これからもお付き合いいただけたら嬉しいです〜♪
何時もながら読み応えのあるレヴューです。
冷酷なテロリストや暗殺メンバーも実は温かい家庭があって・・・
という二つの側面がきっちり描かれていましたね。
でで、ワタシもあの情報屋ルイの大家族は何だか違和感がありました。
あそこだけは平和な空間なのに、やっていることは・・・ですものね。
jesterさん、海外暮らしをされていたのですかー
じゃあ、日本から出た事の無い人よりさらに一歩彼らの気持ちが分かりますよね。
こういった問題は、対岸の火事と思えてしまうけれど、世界規模で考えないといけないことだし、また、こういった映画を撮ってくれるスピ監督にホントに感謝したいですよね。
注目ですか・・・そうですか・・・。
ドキドキしてきました。
マチュー・カソビッツもそうですが、マチュー・アマルリックも監督やってるんですよ。もともとは製作希望だったのが、たまたま俳優に抜擢されて以来、俳優をやっているのです。
ああ・・・これで国際俳優になれるかも。
DDさんも注目してくださってることだし、これはそのうち私のページで特集を組まなければ!
それからマチュー・カソビッツは結構メジャーな映画に出演してますよ。
「クリムゾン・リバー 1」は彼の監督作品です。
フランス万歳!
>「ターミナル」では国を失うことの悲しさと、でも人は恋をしユーモアを失わないという姿を。「宇宙戦争」では理由も分からずに周りの人が大量に殺されていく恐怖を描いています。
なるほど〜〜、ということは、スピルバーグならではということなんですね。
くしくも昨日「宇宙戦争」のDVDを見たばかりでした。どうもあの、グロイ宇宙人の根っこばかりに目がいって(爆)気持ち悪いんですけど、ユダヤ人の観点から見ると、ホロコーストもああなんでしょうか?
ちょうど「ターミナル」のDVDも手元にあるので、見直してみますね。
最後まで読んでくださってありがとうございます。(どうも1日では感想がまとまらなくて・・・ぼちぼち書いてますけど、お付き合いくださいまし)
>でで、ワタシもあの情報屋ルイの大家族は何だか違和感がありました。
第3次世界大戦がおこったら、ああいう一家だけ、お金と情報で生き残ったりして。
で、他の人類が死滅した地球上で「きゃははは」と子供が笑う中、楽しく暮らしてたりしたら・・ホラーですね(汗)
>これはそのうち私のページで特集を組まなければ!
きゃあああ!それは嬉しいです〜〜
日本では、ヨーロッパの俳優さんの情報はほとんど入らないんですよ。
DVDだってなかなかでないし。
それにフランスのサイトを読みにいっても、読めないし・・・しくしく。(いや他の国のも読めませんけど。)
ぜひぜひ、いろいろ教えてください!!
コメントとTBをいただいた悠雅です。
新しく書かれたとのこと、お邪魔しなおしたら、
マダムSさんもお越しになってるんですね。
最近、ちょくちょくお邪魔しているのです。
ゆっくり読ませていただいたら、あちこちでお喋りできそうな記事が…
デヴィッド・ウェナムの『300』とか(わたしはレオニダス王の方ですが)
レイフ・ファインズとか、アラン・リックマンとか。
またお邪魔させてくださいね。
記事に関係ないコメントでごめんなさい(>_<)
>「他の人から頼りにされている」という事実を、脳が評価・報酬として受け止める
いい言葉を読ませていただきました。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
「極東タイフーン」のRYOです。
戦争といえば、第1次世界大戦をきっかけに無差別攻撃(民間人攻撃)が始まり、それまでは軍対軍だったものが趣を異にしてきた…というのを読みながら思い出しました。国際法では民間人を攻撃すると罪に問われますが、敵国の軍人を攻撃しても罪にならないんですよね。人殺しの境界線が分からなくなりそうです。
jesterさんのブログを拝見させて頂いて、ヴィゴ・モーテンセンの話題に自分がヴィゴファンであることを思い出しました…(笑
「インディアン・ランナー」が一番好きだったりします。
レオニダス王も、jesterも大好きですよ〜
Dear フランキーなんかDVDが届いてから何回見たことか・・・・
300、楽しみですよね♪
私もまた遊びに参ります。よろしくお願いいたします〜
最近は国対国の戦争でなく、民族対民族の国境なき戦いも多くなって来てますよね。
jesterはよくわかりませんが、こういうのの解決にはどうしたらいいんでしょう。
悲しくなりますね。
ところで、RYOさんもヴィゴのファンですか? 嬉しいな♪
A History of Violence のために、ヴィゴは22日来日、24日プレミアだそうで、携帯からプレミアの応募が始まってますよ〜
重いテーマの作品ではありましたが、良い(考えさせられる)作品であると思います。様々な年齢層に見てもらいたいですね。
スピルバーグのここ何年かの作品は、正直お金を払ってまで見たいと思いませんでした。(評判の良かった「ターミナル」ですら。)なのでこの作品は、個人的に久々ヒットした作品になりました。こういう作品を当分は作って欲しいなぁ〜と思いました。
それにしてもエリック・バナ良いですよね〜彼はこういう感じが素敵だと思います。(ヘクトルも、もろ好みでしたし。笑)