なかなかレビューを書けませんでした。

1つ目の理由は、家族Bがずっと「ルワンダ問題」について調べていて、そのおこぼれでjesterもルワンダ問題の根深さに触れていたので、感想を書き始めると、いつのまにかルワンダ問題自体について長々と書いてしまうはめになること。
2つ目の理由は、同じような系統の映画を続けて見たので、どうしても2つの映画を比べる視点で見てしまうこと。
で、何回か「書いては消去」を繰り返し、間が開いてしまいました。
今日は気を取り直して、書いてみますが、また寄り道してしまうかも・・・・

上にも書いたのですが、家族Bは数年前からルワンダで起きた紛争についていろいろと調べていました。
jesterも時々そのレポートを読ませてもらっていたので、ルワンダの内情については、予備知識アリでこの映画を見たのでした。
でも予備知識がなくても映画を見れば、現実に起こったこととして理解できると思うし、一人の人間が困難を乗り越えて成長していくさまを克明に描いていて、いろいろ考えさせてくれる素晴らしい映画だったと思います。
ぜひたくさんの方がこの映画を見てくださるといいなと思います。
感想に入る前に、jesterの知っている範囲で簡単に予備知識を。
もし間違っているところがあったらごめんなさい。
それと、もうご存知の方はブルーの文字を飛ばしてくださいね。
ルワンダはアフリカ中央付近にある小さな国です。
高地にあり「アフリカのスイス」などと呼ばれ、肥沃な土地にある豊かな国で、もともとはバンツー系のフツ族が住んでいましたが、500年ぐらい前にツチ族がナイル方面から南下してきて、王族を輩出する支配者階級になりました。
人口的にはツチ族は十数%しかいません。
昔はこの二つの民族は仲良く暮らしていたのです。
しかし、ドイツの保護領を経て、第一次世界大戦後、ベルギーの植民地になってから、ベルギーが統治するのに便利だという理由から、少数派であるツチ族を重用したため、2つの民族のあいだに反目が生まれました。
1962年、国連からの圧力などがあり、ベルギーから独立出来たものの、この民族紛争は続き、1990年、ルワンダ国外に亡命していたツチ族がRPF(ルワンダ愛国戦線)を作ってウガンダから侵攻し、内戦が始まりました。
とまあ、映画が始まるまでのルワンダの状態はこんな感じだったのですね。
**********さて、以下、ネタばれあります***************
主人公のポールはフツ族(ベルギー支配下では差別されていた側)ですが、ベルギー資本のホテルのホテルマンとして、支配人として働いています。
コネとお金で手に入りにくい高級な葉巻とかお酒を仕入れて、それを軍部の上部とか外国人などに賄賂として送っては、おべっかを使い、便宜を図ってもらったりしています。
この辺、たしかに「シンドラー」の出だしと似てますね。
ポールは特に政治的には考えはなく、自分と家族の幸せを祈って働く、ごく普通の人間デス。
マッチョでもヒーローでもない、どこにでもいる男。
だからこそ、この話がより力強く、そして現実に起こった話だと身近に感じられるのだと思います。
虐殺の兆候が見え始めたときも、それを解決するというよりは、日ごろ培ったコネで、自分と家族だけがうまく逃げることを考えます。隣人が連行されるのを見ても、それを助けようとはしません。
彼が本気になるのは、連行される隣人の中に、自分の妻子が入ってしまったとき。
「金はやるから助けてくれ」と、札束をちらつかせ、妻子を救い、ついでに隣人たち十数人も助けて車に乗せて、自分の勤めるホテルに連れて行きます。
このときも、自分の家族にはすばやくスゥイートの部屋を取りますが、隣人たちはスタッフルームに詰め込み。
雇われ支配人としては、高級ホテルにそぐわない隣人を入れることには抵抗があるのです。
ポールはこの騒ぎはすぐに収まるだろうと思っているから、収拾がついた後に職を失わないよう、要領よく動こうと思っているのですね。
でも事態はどんどん悪化。当てにしていた国際社会は動かず、国連平和維持軍はほとんど撤退してしまいます。それと一緒に報道陣を含む外国人も国外へと去ります。
ここでまたちょっと寄り道。このときの世界事情なんですが、jesterが知る限り、この弱腰の国連の後ろにはアメリカのお国事情があったと思います。
父ちゃんのほうのブッシュが湾岸で圧勝したあと、調子に乗って(?)ソマリアにも手を出し、一端解決したものの、その後事態が悪化してしまったのです。
その後の尻拭いは「浮気してごめんね演説」で有名な(爆)クリントンがしたのですが、1994年は旧ユーゴへの派兵を回避しつつハイティに軍隊を派遣、などしていたので、ルワンダには躊躇してしまったのですね・・・・・
ポールは「政治関連は偉い人や白人が何とかしてくれる。自分はその人たちにコネがあるから大丈夫」と踏んでいたけれど、大きな誤算だとわかり、ここから自分で自分とその家族をなんとしても守らなくては、と必死になっていきます。
もともと口が上手な男だったので、電話をベルギーの本社などの掛け捲り、助けを請います。
そしてホテルの中が比較的安全と知って逃げ込んできた人々も助けるようになります。
段々にポールが変化を見せます。
この辺、ポール役のドン・チードルが上手に演じています。
この人、アメリカ人なんですね。(最初なんで台詞がみんな英語!と思ったけど、まあこれは仕方ないのかな・・・・)
モデルになった本物のポール・ルセサバキナさんはどちらかというとマッチョなヒーロータイプだったとパンフレットに書いてありますが、ドン・チードルが演じるポールは、頭を使って権力者に媚を売り、口八丁で危機を乗り越えます。
このキャラクターの設定が、この映画の成功している部分の一つだと思います。
ポールの無力さと、その成長が、共感を呼ぶ、と思いました。
彼がホテルにいる難民たちに「海外にいる、知り合いの権力者に電話をしてください。そしてさようならを告げてください。そのとき、つないだ手を離さないで。」というようなことをいいます。
助けて!というのではなく、思いをこめてさようならをいい、それで、言われたほうが、「救助しないで傍観していること」を恥じるように・・・・・
ここがこの映画の山場のポイントでしたね・・・
というわけで、長くなってきたので、続きます・・・・

この映画、コメントが難しいですね。
観てもらうのが、やっぱり一番です。
続きのコメントも楽しみにしています。
ではまたよろしくお願いします。
実は、私は「ミュンヘン」と同じ日に観てしまったのです。
どうしても比較してしまいますよね?
私の場合、こっちを先に観たからまだ感想が書きやすかったです。
ネタバレにならないように書いてるので簡単な感想ですが・・・
その代わり、と言うのも変ですが、こっちがよすぎたため
「ミュンヘン」の感想がなかなか書けませんでした。
続きを楽しみにしています。
先日はmyブログにコメントをいただき、ありがとうございました m(_ _)m
お恥ずかしい話なんですが、私はルワンダの内紛の事はほとんど知らなかったのです
また、映画を観て起こっていることの悲惨さは分かるのですが、同じ国の民同士が殺し合うことが納得いかないのは、日本というちっぽけな島国に生まれたからかな...と、世界の色々な事件を耳にするたびに思います
jesterさんは映画をたくさん観ていらっしゃるのですね
きっかけは「TopGun」ですか
実は私も「TopGun」を観て、字幕版と吹き替え版の訳の違いに納得がいかず、英会話を習い始めただけでは飽きたらずに、アメリカに短期留学までしちゃいました(笑)
ここ数年は映画館に足を運ぶ回数は減っていたのですが、ユナイテッドシネマとしまえんが出来てからは、気軽に足を運ぶようになりました
これからもたくさんの映画を観ていきたいと思っています
ミュンヘンの感想も拝見。これは観に行くのを止めます(笑)。怖ろしく重そうですね。
これからも宜しくお願いします。
ブログ拝見させていただきました。
非常に詳しくまとまった内容ですね!
私の場合、この映画を観てから数日経過しているのですが、いろいろな思いが錯綜しまだ頭の中が整理できていないので、すごいなあと感心するばかりです。
これからも拝見させていただきますね!
jesterさんってすごいです!
ちゃんとお勉強して見に行くなんて。
dimなんてなんの予備知識もなく行ってきましたよ〜。で帰ってきてからはプログラムをすみからすみまで読んだだけ。
現在のルワンダ情勢さえも調べようとしませんでした。
でも…まだ世界中でこういうことが起きているのが現状でしょう?決してなくならない。
そんな中で一体私たちに何が出来るんでしょうね。考えてしまいます。
TBさせていただきますね。
日本だって第二次大戦のあと、北と南に分断される(ロシア統治とアメリカ統治)はなしがあったのだから、人事ではありませんよね。
>きっかけは「TopGun」ですか
どうしてそう思われたのでしょう?
ええと、Topgunはそれほど好きなタイプの映画ではないので・・・・
映画は子供の頃から父が好きでよくいっしょに見ていたので、きっかけは「黒いオルフェ」とかかなあ・・・・
でもブログに書き出したのは、ロード・オブ・ザ・リングスからかもしれません。
ほんと、見終わったあとはかなり重たい気持ちでどうコメントしていいのか、考え込んでしまいましたね。
でもそういう風に考えるヒントをくれる映画って良いですよね♪
同じ日に見たのですか〜!
jesterは軽いコメディでも同じ日に見るのはだめ(もったいない気がする)のでDVDでも2本目は前に見たことがあるものを見たりします。(ケチ
こういう映画は絶対だめかもしれません・・
簡潔に書きたいのですが、あれこれ考えているうちに長くなり、ついに「つづく・・・」になってしまいます。
お付き合いいただいてありがとうございます。
ミュンヘン、映画としての出来は良かったと思いますよ。重いですけれど、ご気分のいいときなんかに気が向かれたら見てみてくださいまし。
>私の場合、この映画を観てから数日経過しているのですが、いろいろな思いが錯綜しまだ頭の中が整理できていないので
私も同じなんですよ〜〜
書きながら整理しているって感じなのでした。
私もまた遊びにいかせていただきます。
お勉強していったのではないのです〜
娘がずっと研究(?)してまして、そのレポートを読めといわれて読んでいたのでたまたま知っていただけなんですよ。
ミュンヘンと続けてみたら、世界中のどこでも苦しんでますね・・・
ほんとに何とかしたい気分デス。
TBさせてください。
とてもいい映画でした。
しかし、何であんなに簡単に人間を殺すことが出来るんでしょう?
不思議でたまりません。
じゃあね
>とてもいい映画でした。
しかし、何であんなに簡単に人間を殺すことが出来るんでしょう?
不思議でたまりません。
人間って不思議な動物ですね。
しかしあの中に出てくる人たちは狂っているとしか思えないです。
そして自分もまた加害者側に立ってしまうこともあるのかという不安もあります。