2006年09月06日

ワールド・トレード・センター その2(ネタばれあり)

「この映画、もっと上手に作れたはずだけどな」
なんて思ったのはなんでか、つらつら考えてみますに、つい先日見た「ユナイテッド93」と比べてしまったのも大きな要因かもしれませんね。

まあ、『ニコラス・ケイジらが決死の救助を(少しは)するのか』
と思っていたら、その暇はなく、酸素ボンベをとりにいってうろうろしていたら瓦礫に埋まってしまい、
『ニコラス・ケイジらが決死の救助をされる』話だったのですから、最初から当てが外れてはいるのですけれど。

しかしなんといっても、「救出された二人」についての映画だというのは最初から分かっているので、どんなに危機的な状況になっても「でも最後には助かるのよね」と安心してみていられます。

逆に言うと、はらはらどきどきはあんまりしないんですよね。

なので、最後まで引っ張っていくのは、人間たちが限界でどのように頑張って生き抜くのか、そしていかに取材をして本人や家族たちから小さなエピソードをひろい、細かい人間観察を積み重ねてみせてくれるか、というところじゃないでしょうか。


むかっ(怒り)実話ベースの映画なので、ネタばれも何もないでしょうけれど、公開前ということもありますし、とりあえずここから下は、ネタばれを含みますので、気になる方はご注意!


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現場で、「最初動けていた警官が他の人を助けようとしていて落ちてきた瓦礫に打たれて・・・」とか、「その警官の銃が熱で暴発し・・・」とか、「とにかく寝てしまったら死ぬと励まし・・・」とかですね、そういうエピソードはすごいと思いました。
「スターキー&ハッチの曲がかかると・・・」なんていうのもよかったかな。


けれど、家族のほうの、たとえば「次男が心配して父を迎えに行くと・・・」とか
「気が動転してスーパーに買い物に行き、携帯を持っていなかったのであわてて帰った。信号待ちが長くて・・・」
などなどは、きっと家族の人が体験した実話なんでしょうけれど、それを冗長に描かれると、短気なjesterは
「それはもういいから、現場にカメラを戻して」 といいたくなります。

多分家族からは、それほどおもしろみのあるエピソードが取れなかったのかもしれませんけれど。


そこに無理やりラブラブの思い出シーンやキリストの幻影シーンを入れて、さあここで泣け、と雰囲気作りをされると、
「でもこの人たちのこと、何も分かってないのに、急にそんなプライベートなこと言われても・・・」と天邪鬼jester的にはすべっちゃいます。

家族の過去のエピソードの選び方がセンスないんですよね・・・

赤ん坊の名前についてとか、キッチンの棚とか、なんか表面的。すごくアメリカ的。
その家族の本質が分かるような、万国の人が共感できるような人間的なエピソードがあまりない・・・(あくまで当社比です)あせあせ(飛び散る汗)


実際にあったエピソードなのだろうなと思いつつ、マギー・ギレンホール(弟のジェイクにそっくりだ)が、行方不明の家族が詰め掛けて緊迫した雰囲気の病院で、一人「夫が助かった〜」とにたにた笑っているのは正直不謹慎な感じがするし、マリア・ベロが警察の受付の人に「長年勤めてきて、これは何なの!」と怒鳴っても、「受付の人を怒鳴られましても、ねえ・・・」・・です。


救助に入って戻れなくなった何百人も警官や消防士が埋まってしまったなかで、たった20人しか救助されなかった、その中の18番目と19番目なんですよね。

いかに「生還劇」といえども、Sep.11のような人為的な災害の場合、その後ろにあるものがきっちり描けてないとドラマとして真の感動にはつながらない感じがします。

ただ「助かって良かった良かった、チャンチャン」と終わられても、助からなかった人たちは・・・その家族は・・・・と不消化なところが少々残ってしまいます。


『ユナイテッド93』はその点、あまりドラマっぽくしないで、淡々と事実を描いていた感じだったのが成功していたと思います。 

犯人の人物像も決して悪者として描いていたわけではないこと、一人の人間として捕らえていたところが良かった。


そして有名な俳優さんを使ってなかったのもjesterには良かったのかも。

ニコラス・ケイジやマリア・ベロなどはどうしても前にやった役を引きずってますからね・・・。
(特にマリア・ベロは「元殺人犯でギャングの夫とは分かれて、今度は堅実な警官と結婚したんだ・・・」なんてね。・・・あ、それはjesterだけですか・・・失礼しました〜)


『ワールドトレード・・・』のほうも、変にヒーローの感動物語仕立てにしないで、普通の人間がどう頑張って生き残ったかを描いたほうがより良かったかもと思います。


リゾートそれと、事件を聞いた後『神の啓示』を受けて、「自分は海兵隊にいて国や人を守っていたときが一番幸せだった!」と現場に向かう元海兵隊なんですけど・・・

制服を着て、立ち入り禁止の現場にまぎれて入り込み、2次遭難の危険がある中に入っていってしまう。
それで二人が発見されるわけなんで、結局『いい人』なんでしょうけど、目はすわってるし・・・かなり危ない雰囲気。

これも実話らしく、この人その後、海兵隊に復帰してイラク戦争に行ったとかエンドロールに出てましたが、この辺の是非も「それで二人が助かったのだからいいじゃない」だけでは片付かない感じがしました。
これ、もしフィクションの台本だったら、このエピソードはもうちょっと何とかしたい部分な気がします。
事実だったから削れなかったのかもしれません。

「教会で神の啓示」→「混乱する現場に忍び込み」→「海兵隊に復帰してイラク戦争へ」なんてねえ・・・・あせあせ(飛び散る汗)


とまあ、文句ばかり書いてしまいましたが、実話がベースの映画は、作り物の娯楽物とはやっぱり一味違います。
いろいろ考えさせてくれる・・

あの時、あのビルの中はこうなってたのね・・と再現してくれて、事件の悲惨さを再確認するという意味でも、1回はお金を払ってみる価値がある映画じゃないかな。
うんうん。



個人的には、ウィルとジョンが生き埋めになりながらする馬鹿話で、「『GIジェーン』っていう映画知ってますか? あの中で鬼軍曹の台詞で・・・」というところで、(鬼軍曹って、ヴィゴだよ!)とこっそり反応したりしておりましたが。(殴パンチ



リゾートしかしたった一人の人間を救出するために、たくさんの人間が命をかけて頑張るのに、逆にたくさんの命をあっという間に簡単に奪ってしまう兵器を黙認している人間たち・・・・

人間ってほんと、矛盾してますね・・・・


ワールド・トレード・センターでなくなられた方のご冥福を、再度ここでお祈りいたします。



posted by jester at 09:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ら行、わ行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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