
お話:カリブ海のケイマン諸島を舞台に、裕福な家の娘と恋に落ちた青年、脱税の罪でFBIに追われて島にやって来たビジネスマンとその娘らの運命が交錯するスリリングな人間ドラマ。(ヤフームービーより)
「裕福な家の娘」というのが黒人で、オーランド・ブルームがその家の観光船で働く貧しい漁師の息子、というのが結構意外なキャストですが、それがカリブの現実、なんですね。
カリブといってもカリブの海賊とは全然関係ないです。(爆)

大昔、ケイマン諸島を通り転覆しかかったイギリスの船を助けたところ、イギリスの王子が乗っていて、王室はこれを感謝して、この島の人から税金を取らない、という約束をしたのですって。
それ以来、「税金を払わなくていい島」ということで、『ハッピーアイランド』になったのです。大金持ちとかやばいことをしてお金を作り、それを持って逃げてくる人なんかがこの島に住むようになったのであります。
だから貧富の差が激しくて、人の心は荒む・・・

みる前に友人から「この映画、時間が前後して、わかりにくいよ」といわれていたので、その辺を心してみたら、ちゃんと分かりました。
一つのエピソードをいろんな人の視点で描いていくうちに、話がまとまる、という形。
つながっていないように見えて、どこかでつながっている人々。
人間ってそんなものなんですね。

ロード・オブ・ザ・リングス・シリーズのあとは大作ばかりが目立ちますが、これはその途中に撮っていたもの。
彼の場合大作だと、それを背負っちゃって、かなり気合をいれて演技し、から回りしちゃうこともあるのかななんて思うんですよ。(きっとファンの人はそういうところがいいのね)
でもこういうインディーズムービーだと、肩の力を抜いて、かなり自分に近いところで演技できている感じ。
製作にもかかわったということなので、愛があるのでしょうね〜
レゴラスの、あの「雪の中を歩いても寒さを感じない」「人の死の意味が分からない」「夜目を開けて寝る」「やけに視力のいい」暗闇森のエルフの王子様、というイメージは、オーランドにぴったりだったけど(ほめてます!!)
こういう「純粋だけど賢くはなくて、夜這いしていた家で寝過ごして、彼女の兄貴に硫酸かけられる、みたいな、どじで運命に翻弄される頼りなげな若者」、というのもよくあっていて良い演技してます。
あと、「マスター&コマンダー」で自殺しちゃう気弱い男の子、ハリーポッターのバスの車掌さんなんかをした、リー・イングルビーが、シャイのことを好きな男友達、として出ています。
なかなかいい味だしてます。
監督はケイマン諸島出身のフランク・E・フラワーズ。
お金をたくさん持っていて、それを動かしていても、それだけじゃ心は全然豊かにならないんだぞ〜
毎日の生活を大切にしなくちゃ、どんどん荒廃していくのだよ〜
なんていう、ありきたりだけど、でも心の底ではみんなあまりよく分かってないことを切なく描き出しています。
邦題の「堕ちた楽園」というのはまったく無視してください。

(たぶんHavenとHeavenを勘違いしてると思えます・・・Havenは「楽園」じゃなくて、「避難所・港」だよ!!)
でももう東京では終わりなんですよね〜
短い!!