面白かったです〜
実話を基にして作られた映画です。

カップルなどが残虐に殺され、犯人からの手紙や暗号文が新聞社に送りつけられ、警察やマスコミはZODIACと名のる犯人に翻弄される。
犯人らしき人物が現れるが、物的証拠がなく、事件の解決は長引き、次第に警察も捜査を縮小していく。
しかしその中に、事件当時新聞社のカートゥニスト(風刺画家)で、いつまでもその謎を追うグレイスミス(ジェイク・ギレンホール)がいた。
彼は事件記者でもなく、もちろん警官でもないので、捜査するといっても、勘と草の根を分けるような調査で、ゆっくりとだが着実に犯人に迫っていく。
私生活を破壊してしまうほど入れ込んでまで、彼はどうしてもゾディアックの謎を解きたいのだった。
この、グレイスミスの捜査がいいんですね〜
「読書シーン+図書館+びっしり書き込まれた分厚いノート」という、jesterを落とす小道具もそろってるし(爆)

もうおにいちゃんじゃないのね。
演技、上手です♪
謎に取り付かれ、真実をどうしても知りたくて、最初は元同僚だったこの事件の担当記者ポール・エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)に本を書かせようとするけれど、断られ、自ら調べだす。
そのせいで妻や子供は離れていってしまうけれど・・・・
ちょっと控え目に、遠くから手を伸ばして握手を求めながらも、関係者に協力を求め、何かを思いつくと、一心不乱に突き進む彼の姿に、思わず感情移入してみてしまいました。



その上ヒゲもないと、とっても若く見えますね〜
→医者だったころの写真。(爆)

まるで雨で冷えた空気の匂いがしてくるよう。
その雨の中、地下室の怖いシーンは本当に恐ろしくてきゃ〜〜っと逃げたくなりました。
グレイスミスが訪れる刑務所でも、外から雨の音がしてました。
また、空中から見る美しい夜景や、タクシーをロングショットで映すシーン、ビルがにょきにょき伸びて時間の経過を表すシーンなど、カメラワークも秀逸。
初めはゾディアックの起こす連続殺人がリアルに描かれるので、飛び散る血にちょっと腰が浮きかけましたが、グレイスミスが活躍する中盤からはぐいぐい引き込まれてしまいました。
エイブリーがゾディアックに狙われそうになり、ピストルの練習をしているシーンでは、エイブリーも横にいるグレイスミスも、胸にI am not Avery(私はエイブリーじゃない)っていうバッチをしていて笑えました。
このバッチ「売れてるんだ」って言ってましたね。
ブラック・ジョークというか・・・
なんでも商売のネタなんですね、アメリカも。
そして映画中に2つ映画がでてきます。
事件の1つの鍵となるのは『Most Dangerouse Game』という古い映画。
「人間狩り」がテーマらしいこの映画も、とても怖そうです。
それからもうひとつはゾディアック事件を元にして作られたという『ダーティ・ハリー』。
この映画を、事件を担当していたデイブ・トースキー刑事(マーク・ラファロ)が映画館で見ているシーンがあるんですけれど、途中でつらくなってホールへでてしまいます。
ホールで一人たたずむデイブにグレイスミスがおずおずと声をかけますけれど、その後ろから「おい、ダーティ・ハリーに事件を解決してもらったらどうだ!」と残酷に声をかけていく人がいたりするのです。
確かに捜査を担当していた人には『ダーティハリー』のヒーローぶりはつらかったでしょうね。
この映画はあくまで実話ベースなので、バンバン撃ち合ってヒーローが大活躍するアクションシーンもないし、テンポもゆっくりめ。
宣伝している「暗号解読」もそれ自体はたいしたことはないです。
サイコキラーとの緊迫した対決、というシーンもあることはありますが、そのドキドキを強く求める人には、この映画は刺激は少ないかも。
それよりもどちらかというと、ドキュメンタリータッチのヒョロっとしてひ弱な外観の書物が好きな青年が、孤独にこつこつと事件を追っていく執念の姿に共感する映画だとおもわれます。
コンピューターも、CSIの科学捜査も、ファックスですら一部ではないころに、紙と鉛筆と足を使って謎を解いていく青年をジェイク・ギレンホールが好演していて、彼と一緒に考え、悩み、脳みそをぐるぐるマッサージされた感じでした。
そして、最後にすっきり!というラストではないのですが、いまだ続いている人の営みを感じさせ、絶対また見たいな

事件に関わった人の人間ドラマなので、そういう意味では謎がどうとか殺人犯がどうとかそっち系を期待して見るとがっかりするのかも。
最後はほんとすっきりというよりいろいろ考えちゃいました。見た人同士で話し合いをしたくなる映画と言うか。
ジェイク君、ほんとよかったですよね♪
そしてあのバッチ、私もほしい!と思ってしまった・・・。
謎解き主体のミステリーやホラーではなく、謎解きにとりつかれた人々のドラマだったのですね〜。
しかも、社会正義とか、被害者や遺族の感情への共感とか、そういったものはまったく表面には出てこなくて(あったんでしょうけどね。。。)、とにかく謎を解きたくて日常生活にまで破綻をきたしていく人たちのドラマ。
そう理解して観ればよく出来ていると思います!・・・ただ、ワタシ、「300」とハシゴしたこともあって、体力・気力ともかなり消耗しました。。。
あれ?ジェイクが主役じゃなかったっけ??と先行き不安に思うくらい前半から中盤にかけては誰が主役なのかわからない。
でも後半、最後までとりつかれている壊れていくジェイクはさすが上手かったです。
そのほかの俳優さんたちもそれぞれみんな味があって、実力派とのお墨付きだけあって演技は素晴らしい!
マーク・ラファロとグリーン先生(違)の刑事コンビも良かったです♪
グリーン先生・・・人間って前髪前線とヒゲのあるなしだけで別人なのね。
ジェイクとロバート、最後はヨレヨレでしたね〜ロバートは似合いすぎてて泣けました(爆)。
ジェイクがフツーにパパ役をやるようになったのも感慨深いです〜。
もっと迅速に捜査できないのか?って歯がゆく思うシーンが多々。警察署なのにFAXがないとか言うし・・・でも、年代がそうなんでしたね〜。電話を待つのにも家で待機なんて〜!事件が解決されないまま年数が経過するにつれて情報通信や科学捜査の技術は進歩してきてましたが、だからといって、もし今の時代だったら即座に解決できたんだろうか・・・?と思わせる不気味さはありました!
階段を下りるバネのおもちゃとか、TVゲームとか、懐かしくて笑っちゃいました。
わ〜〜〜、サナダムシ文でゴメンナサイです!
また体力つけて、ダーティハリーのプレミア(?)のシーンでも観に行こうかと思ってます!
コメントありがとうございます。
そうそう、この作品、見たいな〜と思ったのは、nouilles-sauteesさんのところでレビューを読んででした。
(いつもお世話になってます〜〜)
>最後はほんとすっきりというよりいろいろ考えちゃいました。見た人同士で話し合いをしたくなる映画と言うか。
あのラストは、あれで真実の重みみたいなものがあってよかったと思ってます。
見た人とおしゃべりしたくなりますよね〜
あのバッチ、思わず映画館のグッズ売り場を覗いてしまいましたよ〜
あるわけないけどね。
もう日本はパイレーツのグッズばっかりです。
この映画も、ジョニデとオーリーがやってたら、きっとあのバッチも売り出されたかも(爆)
エイブリーがジョニデでグレイスミスがオーランド・・・・。
ああああ〜 全然違う映画になるかも??
サナダなコメント、ありがとうございます!うれしかったわ〜 大歓迎です♪
(サナダ虫のように長いコメント→ほめ言葉ですだ)
ここのブログはコメントいっぱい書いても「長すぎです。短くしな」って怒られないんですよね〜
それで選んだんで(でもコメント打ってもすぐにトップページ反映されなくていらいらしたり、って言うのはありますけれど・・)どうぞ心置きなくサナダしてくださいませ。
この映画、予告だけ見ると、「ダヴィンチ・コード」みたいな路線ですよ、って言ってるみたいでしたよね。(その辺を狙った宣伝だったのかなあ・・・宣伝の仕方を含めて、はずしてるよなあ・・・)
そういうのを期待していったらがっかりする人が多いかもしれませんよね。
でも「プロジェクトX」張りに、田口トモロオのナレーションを入れてもよかったような感じ。「そこで、グレイスミスは走った・・ そこに真実がある・・・母子は家をでた・・・もう限界だった・・」とか。(殴
どちらかというと「ロレンツォのオイル」とか「キンゼイ・レポート」系の、研究に取り付かれた変人が周りの人にあきれられながら頑張る話、と後半は見てました。
そんで、こういう話、jesterは結構好きなんです。(自分が根性なしだから)
>とにかく謎を解きたくて日常生活にまで破綻をきたしていく人たちのドラマ。
そして人々をそうなってしまうほど、ゾディアックの事件が負の強い力を持っていたって言うことなのかなあ。
結局謎は謎ですが、1歩でも前進しようとしているところが救いで、安いハートウォーミングより前向きな感じがしました。
ジェイクは良かったですよね!
かなりジェイクのポイントがあがりました! ちゃんと活字中毒者に見えたし、おどおどしながら芯は強い、みたいな演技がぴったりでした。
ああいう万年無精ひげってどうやるんだろう。あの長さでそろえるのは結構大変そうだけど・・・あ、そういえば『無精ひげモード』がある髭剃りがあるって聞いたことある。「ちょい悪オヤジ」変身用だとか。(爆)
ロバートも癖のある記者を演じていて最高! びしっと決めた彼もいいけど、ああいう怪しげなのも素敵ですね。
グリーン先生、ERも『家族と時間を過ごしたいから』ってやめたそうですが、ここでも・・・笑っちゃいました。
あの映画の中で流れている時間が、自分もいた時間なので、アナログな機械とかおもちゃとかも懐かしくて。確かにパソコンも携帯もなくて、今から考えるとすごい不便だったけど、あのころはそれが普通でした・・。
でもDDさん、「300」とダブルヘッダーはきつかったですね〜〜 お疲れ様です!(あ、300、レビュー書いてない・・・(汗))
jesterは二本立てがなかなか出来なくて。ぼけてるので、続けて二本見るとどっちかの印象が薄くなっちゃって・・・損した気分になります。体力も気力も感受性も劇場で初見の映画は1本で精一杯かな〜。
でも見たいのがたくさん公開されると、見られるときに見ておきたいって思いますよね〜
わたしも殺人のシーンには思わず目をそむけましたが、捜査が本格化してからは、ストーリーに入り込みました!
>コンピューターも、CSIの科学捜査も、フ>ァックスですら一部ではないころに、紙>と鉛筆と足を使って謎を解いていく
まさに捜査の原点を観たような感じですよね!そして、それだけの手間隙をかけてこつこつと必死に真実に向って頑張った三人の姿に胸が熱くなりました。それが犯人逮捕につながらなかったことが残念です・・・。暗号解読については、意外に触れられてなかったですね(笑)
わたしも、もう一度観たいと思うほど気に入った作品です!また伺わせていただきますね〜!
TB&コメント、嬉しかったです〜
>それだけの手間隙をかけてこつこつと必死に真実に向って頑張った三人の姿に胸が熱くなりました。
立ち向かったけど、諦めてしまったもの、それでも諦めきれずにこつこつと調べたもの、なんか胸がじ〜んときましたね〜
>それが犯人逮捕につながらなかったことが残念です・・・。
そう、最後のテロップが残念でした。
これが「ダーティハリー」だったら逮捕!胸すっきり!なんでしょうけれど・・・
ま、監督は「ダーティハリー」のようなスーパーヒーロー物を作りたかったわけじゃなくて、あくまで地道に生きていく人間像を描きたかったのでしょうから、あれはあれでよかったと思いました。かえってリアリティをましていたような。
こちらこそ、よろしくお願いいたします♪
そうそう、この映画は「ダーティハリー」とは違うんだよ、とわざわざ念を押してくれているんだから、その真意を汲み取って映画を観ていれば、犯人がつかまらないことにもそれほどフラストレーションがたまらないで映画館を出ることができると思いました。
>そうそう、この映画は「ダーティハリー」とは違うんだよ、とわざわざ念を押してくれているんだから、その真意を汲み取って映画を観ていれば、
ダーティハリーのスタンディがホールにあったけれど、下半身しかうつってないんですよね。
あの辺がセリフでなくて画像でいろいろ暗示しているのじゃないかな、なんて思ってみてました。
犯人については、私も残念には思ったけれど、それで映画が損なわれているとは思いませんでした。
それより、いまだ捜査は続いているわけで、これからこの映画でまた注目が集まり、科学捜査などによって、真実が明かされるといいな、それに注目したいな、などと思いました。
深いとこまで観てらっしゃる。
ぼくは完璧にデビット・フィンチャー的、キワモノ映画を想像してたので、はじめからそういうフィルターをかけて観てしまいましたね。
やっぱり予断は禁物です・・・DVDが出てから、またゆっくり観てみます。
コメントありがとうございます。
>ぼくは完璧にデビット・フィンチャー的、キワモノ映画を想像してたので、はじめからそういうフィルターをかけて観てしまいましたね。
あ、そうかもしれませんね。
私も危うく予告編にだまされるところでしたもん。
デビット・フィンチャーの以前の作品のファンの方だと、そういう映画を楽しもう!と期待していかれる方が多いのかもしれませんね。
もしDVDで鑑賞なさるなら、ぜひ、「あるジャーナリストの話」という視点でもご覧になってみてください。
そうかんがえると結構感動的だったりします。
TB&コメントありがとうございました。
あっ、実は私は、フィンチャー作品という訳で。かなり個性的なテイストを期待してしまった為に、かなり正攻法の本作には少々驚いたクチでありました。
でも、良く出来ていると思いました。ジェイク・ギレンホールの豹変ぶりにはギョッとなってしまいました。終盤は、何か人間離れしているように見えてしまったり。すっかり大人になった印象を受けましたね。
出番は少な目でしたけど、ロバート・ダウニー・Jr.も印象的でしたー。
TB&コメントありがとうございます。
>フィンチャー作品という訳で。かなり個性的なテイストを期待してしまった
フィンチャー監督をお好きな方はきっと監督特有の展開を期待なさったのでしょうね〜
でも正攻法の展開でも、才能ある監督が作るといかに秀作になるか、という証明であったという気がします、この映画。
ジェイクは本当にいい役者さんになりました。 もうおにいちゃんじゃなくて、しかもこんな役までこなすなんて、感動です。
ロバート・ダウニー・Jr.も上手でしたね! 私生活が乱れているとか聞きますけれど、今後楽しみですよね〜