


ダブリンの街角でギターを弾きながら歌を歌っているストリート・ミュージシャンのguy(どこにでもいるような男)。
嗄れた声を張り上げて歌う歌は一瞬「ボブ・ディランみたい。上手だけど、あまり好きなタイプのミュージシャンじゃないな」と思ったのに、聞いているうちにぐいぐいと引き込まれる。
まるで「魂の叫び」のような切ない歌。

質素なジャケットにマフラーをぎゅっと結び、Big Issues(ホームレスに仕事を与えるために出版されている雑誌)を売り歩きながら、彼の歌に足を止め、聞き入る。
ちょっとKY(空気読め)なところがあるgirlなんだけど、掃除機を引っ張って歩く姿になんともいえない味わいがある。
チェコから出てきた彼女もまた、ピアノと歌で自己表現する人間であるという一面を持っていた・・・・
ダブリンはアイルランドの貧しい地域というイメージがあるけれど、そこに流れてきた東欧人というと、まさに底辺の暮らしだ。
(日本でならさしずめ建前は日本語学校で勉強しているはずが終日ラーメン屋さんで働いている中国から来た人たちと同じような・・・)
薔薇の花を売っている姿は「マッチ売りの少女」みたいだし、子供と年老いた母の生活費を稼ごうと必死で働く姿は「Dear フランキー」の母、リジーのよう。
おずおずとほんの少しずつだけれど心を寄せ合う二人をつなぐのは音楽。

Beatlesの「Let it be」にも近い、まるで音楽を作る現場のドキュメンタリー映画のような感じ。
ただの挿入歌ではなく、BGMでもなく、音楽はこの映画で確かに主役の一人だ。
だからコンサートを聴いたような、「耳の満足感」がある。
だからと言って、ミュージック・ヴィデオでもない。
そこにはしっかりした人間観察の目がある。
ジョン・カーニー監督は「マイク・リーやケン・ドーンのようなミュージカルを撮りたかった」といっているが、確かにうなずける。
だから「心の満足感」もあるのだ。
二人ともどこにでもいるような若者。
着ているものは『プラダを着た悪魔』だったら変身前のださださなカッコ、と言われかねない(でもjesterは大好きな)シンプルでトラッドで地味な服。
それでも・・・・決して美形ではないのに、見ているうちにとても美しく見えてくる。
そのひたむきな生き方がいとおしく思えてくる。

ずっしりと、そして生き生きと呼びかけてくるものがある。
(おしっこくさい中学生や高校生受けを狙ってちゃらちゃらした甘甘の恋愛映画をつくってるどこぞの国の映画製作者たちにぜひ見て欲しい!)
ラストも、決して甘いHappy Endではないのに、見るものをHappyな気分にしてくれる、素晴らしい終わり方。
私たちの時が止まることなく流れていくように、彼らの生活もまた流れていくのです。
お金は全然かけてないけれど、人生っていいなと思わせてくれる骨太の秀作映画でした。
guy役のグレイ・ハンサートはアイルランドでは有名な「ザ・フレイムズ」の一員ということですが、初めて聴く歌声でした。
ギター弾きのjesterですが、とってもギターが弾きたくなりました。
優しそうで誠実そうな目つきの人です。
(あんな「擦り切れた」ようなギターでもとてもいい音がでるのですね〜。音が悪くなるから表の板は絶対傷つけてはいけない、と言われてきましたが・・・・)
また、girl役のマルケタ・イルグロヴァはチェコのミュージシャン。
ちょっと大人っぽく見えて19歳には見えないけど、細い綺麗な声のミュージシャンで、女優としての演技もとても自然でよかった。
出口でまた即サントラCD買いました。
帰ってからずっと聞いてます。
ワンス ダブリンの街角で オリジナル・サウンドトラック

どの曲もとても良かったけれど、Falling slowlyという曲は、jesterのテーマ曲になりそうです。
Take this sinking boat and point it home
We’ve still got time
Raise your hopeful voice you have a choice
You’ve made it now
せつないです・・・

絶対また見に行きます!
しかし、渋谷シネ・アミューズ、めちゃくちゃ混んでました。
公開されて始めての水曜日ということもあったのだろうけれど、朝一の回、40分前に劇場についたら、もう階段を下のほうの階まで伸びる長蛇の列でした。
もちろん満員、立ち見も出てました。
年齢層は厚くて、初老の男性やサラリーマンもちらほら。
アメリカでは最初2館の上映から始まって、口コミでどんどん上映館がふえ、140館になったそうですが、日本でもあんな狭いところじゃなくて、もっと大きな画面で見たいです!
あ、そうだ、guyの役は、当初キリアン・マーフィがやることになっていたんですって!(DDさん用太字。当然ご存知でしょうけれど・・・・)
パンフレットに書いてありました〜
この監督さん、「19歳のカルテ」でキリアンを使ってますものね。
キリアンがやっていたらどうなっていたでしょうか・・・?
そうか、やっぱりjesterさんはギター弾きなんだ。すごーい。でも私もあんなに穴があいちゃったギターでも結構いい音でるんだなって思っていたところです;
ピアノがいっぱい出てくるシーンはとてもワクワクしちゃいました。
私はあのちっさい所で見れたのがかえって良かったです。前方席に座っても音に疲れずどっぷりはまれました。
サントラはこれから入手しようと思ってまーす。
音楽だし、アイルランドだし、切なさそうだし・・・前から気になっているのですが、こちらではやはりDVD待ちですかにゃ〜。(涙)
観てきた友人の話では、主役の青年がジェリーに似てたとか??いかがでした?
ワタシはトレイラーを観ただけですが、ケヴィン・マクキッドに似てるな〜〜とずっと思ってたのですが?
キリアンがやることになっていたとは知りませんでした。
キリアン、喋るお声は素敵ですが、歌はどうなんでしょうね〜?
「プルートで朝食を」でデュエットしてましたけど・・・三つ編みはかわいかったですが(爆)、あれだけでは判断できず。
>こんばんはー。
そうか、やっぱりjesterさんはギター弾きなんだ。
姉がピアノを習っていたので、私は別の楽器がいいと言い張り、近くに先生がいたのがたまたまクラシックギターだったので、小学校の頃からクラシックギター弾きです。
>でも私もあんなに穴があいちゃったギターでも結構いい音でるんだなって思っていたところです;
あれはビックリでした。だって、絶対傷つけちゃだめって言われていたのに。
(といいつつ一杯傷がつきましたが・・・)
>ピアノがいっぱい出てくるシーンはとてもワクワクしちゃいました。
あ〜〜シャーロットさんならそうでしょうねえ!
>私はあのちっさい所で見れたのがかえって良かったです。前方席に座っても音に疲れずどっぷりはまれました。
シャーロットさんみたいに耳がいい方は、大音響だと疲れるんでしょうか?
私は真ん中辺だったけれど、画面が小さいのは何となく物足りなくて。
東京映画祭で六本木で見ればよかったのかな?
>サントラはこれから入手しようと思ってまーす。
ドライブなんかには結構良いです。
ただ、2曲目の曲は、女の子の英語の発音がめちゃくちゃ気になってしまい、飛ばしてますが・・・(殴
>いいはず〜!!これ、とっても観たいです!
音楽だし、アイルランドだし、切なさそうだし・・・
よかったですよ〜
アイルランド映画っていうの、jesterもつぼです。それにギターの弾き語りっていうのもすごいつぼでした。
しかも、特別な人たちじゃなくて、普通の人たちがおずおずと優しさを交換してるって感じが気に入りましたわ〜。
こういうのにとても弱いんですよ♪
たくさんの人が見に行ったらロングランになり、こちらにいらしたときに見られるかしら? それにそちらでもやるかもしれませんね。
DDさんも劇場でみられたらいいな!!
せっせと宣伝します!
>観てきた友人の話では、主役の青年がジェリーに似てたとか??いかがでした?
ワタシはトレイラーを観ただけですが、ケヴィン・マクキッドに似てるな〜〜とずっと思ってたのですが?
う〜〜ん、どうかなあ・・・?
私はジェリーにも、ケヴィンにもあまり似てるとか思いませんでしたが、どちらかというとケヴィンかな?
上唇にかかる口ひげが気になってしまったjesterですが、歌は本物です!
>キリアン、喋るお声は素敵ですが、歌はどうなんでしょうね〜?
「プルートで朝食を」でデュエットしてましたけど・・・
私も「プルート」で歌ってたな〜と思ったんですけどね。
キリアンならお客さんも呼べるし(DDさんのようなキリアンファンが飛行機に乗ってやってくる♪)
でもこの映画、歌がかなり重要だから、その辺が降板した理由なのかしら・・・?
でも最初にキャスティングされたってことはやっぱり歌がうまいのかなあ?
これ、注目していた1本です。やはり、良かったと言うことでしたら、行きたいです。ただし、今は紅葉の季節で、映画より写真撮影の方が優先ですので、行けるかどうかわからないのですが。
ここ、確か文化村の前だったと思いますが、前の人の頭が邪魔になって、あまり観やすくなかった記憶が。この映画館で観たものでは、「キャメロット・ガーデンの少女」が素晴らしかったです。
ギターを弾かれる方だったらこの映画はたまらないでしょうね。
自分は昔、ブラスバンドをやっていたので
この映画、だんだんとセッションが盛り上がっていく感覚が
よく表現されていたところがとても気に入りました!
コメントとTBをありがとうございました★^^
この作品、音楽もやっぱりすごーく良かったですね♪
そこらへんでスカウトした人たちと、仲間みたいになってひとつのハーモニーを奏でるシーンやふたりで曲を奏でるシーン、夜にひとりで歌うシーンなど素敵なシーン多かったたナ。
またお邪魔しますネ!
>これ、注目していた1本です。やはり、良かったと言うことでしたら、行きたいです。
matsumoさん、とってもよかったですよ。
ただしヒロインはmatsumoさんが気に入られるかどうかわかりません。ちょっと鷲鼻ですし・・・
それでもみているうちにとてもいとおしくなります。
>ただし、今は紅葉の季節で、映画より写真撮影の方が優先ですので、行けるかどうかわからないのですが。
わ〜〜紅葉の写真、楽しみにしてます。
山の上ではもう始まってますよね?
ではでは雨の日とか早く出られた会社帰りにいかがでしょう?
21:20〜22:50の回がありますよ。
それとこの映画館、水曜日は男性も1000円です。(私はシネ・アミューズの回し者ではありませんが・・・)
>ここ、確か文化村の前だったと思いますが、前の人の頭が邪魔になって、あまり観やすくなかった記憶が。
そうです。
頭はそれほど気になりませんでしたが、画面が小さいんですよ。
シネコンの大画面になれていると、ちょっと寂しいです。
まあ短館系はどこもこんなもんですし、大画面じゃないといけない映画じゃないですけれど、比較的前方に座られたほうがいいかも。
こういう『大人がみられる映画』をもっといろんな映画館でやって欲しいな。
ご訪問、嬉しいです〜〜〜
>自分は昔、ブラスバンドをやっていたのでこの映画、だんだんとセッションが盛り上がっていく感覚がよく表現されていたところがとても気に入りました!
そうなんですよね!
私も高校時代はバンドに加わっていたので、音を合わせて完成していく楽しみを味わえたのがとても良かったです。
でもそれだけじゃなくて、自信にあふれている人じゃなく、普通の人が、少しずつ触れ合っていくところも良かったです〜〜
>この作品、音楽もやっぱりすごーく良かったですね♪
本当にそうです。
すっかりはまって、CDを聞いて歌ってます。
ああいうシャウト系は本来余り好きじゃなかったのに、好きになっちゃいました。
>そこらへんでスカウトした人たちと、仲間みたいになってひとつのハーモニーを奏でるシーンやふたりで曲を奏でるシーン、夜にひとりで歌うシーンなど素敵なシーン多かったたナ。
なんか自分も歌ったりしたくなりますよね〜
しかもすぐにキスしたり寝たりしないで音楽してるだけ、っていうのが、すごく良かったの・・・。
わたしも、またそちらにお邪魔しますネ!
お返事が遅くなってしまってすみません!
なんだかふわっとした映画でしたよね。
出会って一緒にいたのはほんの少しなのに二人の間の空気はとても心地がよくって、温かくて。
音楽がつなげてくれていた二人はこれからどうなっていくのか分からないけれど、きっと別々の人生でも頑張っているんだろうなって思えました。
そうですよね。こういう映画を観ると人生捨てたもんじゃないのよねーってしみじみ〜思ってしまいます。
>出会って一緒にいたのはほんの少しなのに二人の間の空気はとても心地がよくって、温かくて。
激しい心の交流があったわけではなく、日常の一こま、っていうかんじが結構気に入っちゃいました。
>音楽がつなげてくれていた二人はこれからどうなっていくのか分からないけれど、きっと別々の人生でも頑張っているんだろうなって思えました。
そうですね、二人ともしっかり生きていきそうな感じですよね。
音楽を心の支えとして。
>こういう映画を観ると人生捨てたもんじゃないのよねーってしみじみ〜思ってしまいます。
そうなんですよ〜
こういう映画、jesterは好きなんです。
12/1(土)に、よくやく、「onceダブリンの街角で」を観て来ました。上映開始してから随分経っていますが、初回で満席に近い状態でした。
感想はと言うと、話より音楽を聴く映画ではないかと思いました。女性が夜の街を歩きながら歌う曲と、録音場面での最初の歌が素晴らしかったです。まあ、主役の2人が俳優ではなく本職のミュージシャンだとの話を読みましたので、やはり、芝居より音楽なんだなあと思いました。後、電機掃除機を犬の散歩みたく引っ張っていたのが傑作でした。
なお、当日は後、「シアターN渋谷」にて「フライボーイズ」を観ましたが、こちらは第2回目の上映で5割程度の入りでしたが、複葉機同士による戦闘場面は素晴らしかったです。女優さんも「onceダブリンの街角で」より私の趣味でしたし。
>上映開始してから随分経っていますが、初回で満席に近い状態でした。
わ〜〜いうれしいな♪
まだまだお客さんが来ているんですね〜
>女性が夜の街を歩きながら歌う曲と、録音場面での最初の歌が素晴らしかったです。
あのくら〜〜い歌ですか?
なんか英語がメロディに乗ってない感じなのがチェコの移民って感じが出てる機がしました。
録音場面は、やる気のない録音技師がヤルキを出したのもうなずける感じでしたよね♪
>後、電機掃除機を犬の散歩みたく引っ張っていたのが傑作でした。
あそこ、可愛かったですよね!
>なお、当日は後、「シアターN渋谷」にて「フライボーイズ」を観ましたが、
おお〜
またそちらにレビューを読みにうかがいます♪
おお, jesterさんはギターをおやりになるのですね。
私はピアノですわ(下手ですけど)
でも,一番好きなのはやっぱり歌うことなので
この映画のふたりのデュエットには興奮しました。
キリアンがこの役をオファーされてたとは初耳〜〜。
そっか,彼もアイルランドっ子だったし。
「プルート」で歌っていた声はハスキーボイスだったけど,飛びぬけてうまかったかどうかは記憶にないなぁ・・・。
確かに彼の方が客は呼べただろうけど,やっぱりこの作品はミュージシャンの方が主演で正解でしたね。
>私はピアノですわ(下手ですけど)
でも,一番好きなのはやっぱり歌うことなのでこの映画のふたりのデュエットには興奮しました。
おお〜
ななさんはピアノを弾かれるのですね♪
その上、弾き語り〜
jesterもギター弾き、歌を歌うことはありますけど、人前ではできません・・・
張りのある声がでないんです。(涙
歌が歌える人がうらやましいです!
>そっか,彼もアイルランドっ子だったし。
「プルート」で歌っていた声はハスキーボイスだったけど,飛びぬけてうまかったかどうかは記憶にないなぁ・・・。
きっとキリアンもそれなりに歌が上手なんでしょうね。
キリアンだったらどんな感じになったかしら。
でもこのキャストに不満はないです。
グレイ・ハンサートは歌も、外観も、最初は好きじゃないかもと思っていたけれど、見終わったときにはファンになっておりました。
コメント&TBありがとうございました。
実は実はjesterさんのレビューを読んで「
これは是が非でも観に行かねばならぬ!!!」と思っていたのに、いつの間にか終わってしまっておりましてねえ・・・(涙)。
DVDが出ると聞いて、すぐさま予約したのですが、たまたま目黒シネマでやってくれたので劇場で観ることが出来ました。本当にラッキーでした。
映画としての完成度が高かったのは、やはりグレイの歌があったからこそですよね。
普段は映画館の雑音が気になって仕方がないdim子ですが、彼が街角に立って歌い出したとたん、彼の歌しか聴こえなくなりましたもの。
切ないけれど優しさが感じられるラストもよかったですねえ。前進しようとする二人の姿に思わず「頑張って」といいたくなりました。
TBしていきますね〜〜。
さて。この映画、私ももし映画館で観てたら、帰り道にサントラCD買ってたこと間違いないですね!ホントに素晴らしかった。
あの掃除機をゴロゴロ転がしながら歩いてる姿は微笑ましかったです。
これ、ハリウッドで映画化してたら、絶対主人公ふたりは寝てたし、最後安易にくっついで終わりだろうなー、と意地悪く見てたのも本音ですが(汗)、切ないながらも希望のある終わり方が素敵でした。
>jesterさん今晩は。涼しくなりましたね!
朝夕は少し秋風を感じますね。
>私はラストスパートと言わんばかりにせっせと映画を観まくってます。ちょっと映画館からは足が遠のいてますが…。
そうそう、もう少しすると映画どころじゃなくなっちゃいますよね。
いっぱいみといてください。
>さて。この映画、私ももし映画館で観てたら、帰り道にサントラCD買ってたこと間違いないですね!ホントに素晴らしかった。
でしょでしょ!
今でもしょっちゅう聞いてます。
>あの掃除機をゴロゴロ転がしながら歩いてる姿は微笑ましかったです。
ああいうノリがほのぼのとして楽しかったデスよね。
>これ、ハリウッドで映画化してたら、絶対主人公ふたりは寝てたし、最後安易にくっついで終わりだろうなー、と意地悪く見てたのも本音ですが(汗)、切ないながらも希望のある終わり方が素敵でした。
そうなんです!
あの終わり方がとても気に入りました!
いつかまた二人はめぐり合うかもしれませんね。
私もあの終わり方が大好きです♪