2008年06月04日

譜めくりの女 LA TOURNEUSE DE PAGES

ふとなんの気なく、してしまったことが、他の人を深く傷つけていた・・・

もう誰もが忘れ去っていた小さな出来事。
それを執念深くおぼえていた女がいた。

ほんの小さなことだけれど、芸術家を目指すものにとっては許せないことだったのだろうか・・・

(大分前に鑑賞したものですが、忘れる前にちょこっとレビューを。)

あらすじ:『かつてピアニストを目指す少女だったメラニー(デボラ・フランソワ)は、ピアノの実技試験中、審査員の人気ピアニスト、アリアーヌ(カトリーヌ・フロ)の無神経な態度に動揺してミスを犯し、ピアニストの夢を絶たれる。その後、アリアーヌに再会したメラニーは、演奏会の成功の鍵を握る“譜めくり”に抜てきされるが……。(シネマトゥデイより) 』
じりじりと、恨みを持つピアニストの家庭に食い込み、内部から崩壊を企てる女性。

その陰湿な行動にはらはらどきどき。
無表情で何を考えているかわからないヒロインに、これからどうなる??と目がはなせません。

とはいえ、どうしてここまで恨むの?という辺に疑問が残りましたが、短編小説のようなサスペンスのある脚本と、フランス映画らしい緊密で誇張のない、静謐な画面の作り方にはうっとり。

☆☆☆1/2 でした♪

20080222002fl00002viewrsz150x.jpg『地上5センチの恋』のカトリーヌ・フロがピアニスト役。
おしゃれで綺麗でした♪
ピアニストとしては優秀なのに、それゆえなのか精神的に繊細すぎるところのある女性を演じていて素敵でした。

スタイルいいし、肌は綺麗だし、お化粧もきっちりしてるけど厚化粧じゃなくて、エレガント。
こんな風に年をとりたいな〜と思いました。(しかし、1957年生まれなんですね、彼女。ちょっといろんな意味でショック。(なぜかは聞かないでください(爆)))



****以下、ネタバレないですけど、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****



対するメラニー(デボラ・フランソワ)は少女の頃から能面のように無表情で、ピアノが大好きながらも、試験が失敗に終わった後、練習室にもどって、腹いせに、これから試験を受ける練習中の別の生徒のピアノをフタを故意にバン!と閉めたりする暗い少女で、長じて大人になっても表情の読めない女性になっている。

しかし・・・無神経な態度といっても試験の審査中に、ファンに求められたサインを一回書いたっていうだけなんですよね。
それで調子をくずしたのは可愛そうだけれど、それを気にせずに弾き続けられる集中力というものも大切なのでは? それに、それほどピアニストになりたいなら、続ければいいのに・・・なんて思ってしまうjesterには、彼女の『恨み』が実感として伝わってきません。
憧れゆえというのがあったとしても・・・

(大体jesterは怒りが長続きしないし、どんな恨みも一晩寝れば忘れてしまうお気楽体質だもんで・・・ついでに言えば、継続力がなく、どんな決心も努力も長続きしないんですが・・・(涙))

だからあそこまでしなくても・・・と思ってしまいました。

わざといぢわるでサインしたわけじゃないしねえ・・・
その前に断ったのに、しつこくせがまれて面倒くさくなって、しただけなのに。
恨むなら、あんな場所までしゃしゃり出て、しつこくサインをねだったほうを恨めよ。

それから長い時間が流れたのに、メラニーが復讐だけを胸に秘めて暮らしてきたのかと思うと、あまりに無駄に過ごされた青春が哀れです。
ピアノの実力も、もしかしたら本人の思い込みだけで、たいした事はなかったのかもしれないとも思います。

精神的にちょっと病気だったのかも。


そういう意味では、恐ろしさはじわじわと伝わってきます。
彼女が張り巡らせる巧妙な罠は、静かで地味だけど、大胆で致命的。

人の幸せをすべて壊そうという、細い糸でできたがんじがらめの罠。

しかもチェロをあんなふうに使って反撃するなんて・・・・
恐いです!

チェロのエンドピンって実は凶器なんですよね〜
舞台のチェロが座る辺って床がぼこぼこですもん。
刺さらないな〜エイ! なんて力をこめてやるとかなり危ないそうです。(まあ楽器なのでそんなに乱暴にはしないでしょうけど)

ちなみにうちのコントラバス奏者に聞いたところコントラバスのエンドピンでやったら骨がくだけるかもだって。

ひえ〜〜(汗)


るんるんドゥニ・デルクールは音楽家(ビオラ奏者)でもある監督さんなので、ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番や、モーツアルト、バッハ、シューベルト、などもふんだんに使われ、三重奏楽団が音楽を作っていくシーンはリアルでした。

俳優さんたちの演奏も上手で、吹き替えだとしてもわざとらしくなくて上手にできてました。

ぴかぴか(新しい)アリアーヌの住んでいる邸宅がすてきでした〜
地下のプールやらテニスコート、まさにフランスのお金持ちの暮らしです♪

猫芸術家というのは繊細なものなんでしょうねえ。
それにしてもアリアーヌのメラニーへの傾倒も、私には不自然に思え、サスペンスを楽しむことはできたけれど、いまいちキャラクターに共感できないまま終わってしまった感じでございました。

復讐するなら、いろいろいぢわるするんじゃなくて、自分が努力の末、ピアニストになって見返してやれ!(爆)


でも短めな時間ながら、緊張感が最後まで続き、飽きずにみられましたです。
posted by jester at 10:07| Comment(6) | TrackBack(5) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。遅くなりました;
譜めくりって結構難しいんですよね;
フロさんはピアニストの風格がちゃんとあって、それらしく見えてたのが嬉しかったですー。
私は、メラニーはそんなにずっと恨んでいたようにも思えなかったんですけど、でも劇中のコンサートシーンではどんな形で復讐をするのかとても期待もしちゃったんですよね;でも結局終ってみれば・・・なーんだそれだけかっって(爆)まあ、私的には復讐劇というより嫉妬劇な感じだったかもです。

でもチェロがあんな使われ方されるなんてーちょっとショック;;こわひですねー。
で、コントラバスであんなことしたら・・・う、考えるだけで砕けそう;

それにしても地下室にプールなんて、、、なんかそれもちょっとドキドキ。
まるでオペラ座の地下に湖があったとかいうのを思わず思い浮かべてしまった私。笑
Posted by シャーロット at 2008年06月05日 09:32
シャーロットさん、いらっしゃいませ〜 ご訪問&コメントありがとうございます!うれしいです♪

1ヶ月も前に見た映画のレビューにおいでいただいて、恐縮です(汗)

>譜めくりって結構難しいんですよね;

そうでしょうね〜
ピアニストがどこまで弾いて、どこでめくって欲しいかって、自分も弾かないとわからないでしょうね。

>フロさんはピアニストの風格がちゃんとあって、それらしく見えてたのが嬉しかったですー。

わ〜シャーロットさんでもそうでしたか!
私は素人ですので、フロさんの手の震えとか、それを抑えて弾くところなんか、本物みたい♪とどきどきしました。

>私は、メラニーはそんなにずっと恨んでいたようにも思えなかったんですけど、

その辺がですね、ずっと恨んでいたのではなくて、普通の生活をしていて、たまたまあの事務所にバイトに行ったので思いついたのか、私もよくわからなかったのですが、忘れていたのしてはしつこすぎるというか、陰湿すぎる気がしました・・・

>でも劇中のコンサートシーンではどんな形で復讐をするのかとても期待もしちゃったんですよね;でも結局終ってみれば・・・なーんだそれだけかっって(爆)

自分の気に入りの譜めくりがいないっていうだけで、あれほど動揺しますか?
というか、普通のコンサートではピアニストさんは暗譜していて、あまり譜めくりさんが舞台にいるのを見たことないですけど。

>まあ、私的には復讐劇というより嫉妬劇な感じだったかもです。

なるほど。あの陰湿さの裏には、ジェラシーがあったと思うと、結構納得いきます。
ジェラシーが根底にあると、人間陰湿になりますよね・・・

>でもチェロがあんな使われ方されるなんてーちょっとショック;;こわひですねー。
で、コントラバスであんなことしたら・・・う、考えるだけで砕けそう;

ある新しいコンサートホールで、舞台の床が固いので、チェロが「止まらない〜〜」とエンドピンでがつがつやってたら、コンバスが「どいてご覧」といって、ぐさ!とさしてアナを開けてあげたという話があります。(爆)

>それにしても地下室にプールなんて、、、なんかそれもちょっとドキドキ。

あそこじゃ叫んでも誰も助けにこれないし、頭ぎゅ、っていうとkろで恐かったです・・・
Posted by jester at 2008年06月05日 10:55
jesterさん、ぼんじゅーる。
この映画を見た後、ラフォルジュルネのクラシックコンサートがあったのですが、二度ほど譜めくりさんの登壇のものにも遭遇しました。
密かに勝手にドキドキしちゃいましたよ。
コントラバスはより強力な武器になりそうだけど、持ち上げるのにも腕力を要しそうですよね。
心理劇に終始するのかと思いきや、流血があったのにはビックリでした〜。
Posted by かえる at 2008年06月05日 18:50
かえるさん、ぼんそわ♪
コメントありがとうございます!うれしいです♪

>この映画を見た後、ラフォルジュルネのクラシックコンサートがあったのですが、二度ほど譜めくりさんの登壇のものにも遭遇しました。
密かに勝手にドキドキしちゃいましたよ。

おお〜〜本物の譜めくりさんですね!
私はプロのコンサートでは譜めくり人を見たことがないです。
アマチュアのならありますが・・・・
きっとドキドキしたでしょうね。

>コントラバスはより強力な武器になりそうだけど、持ち上げるのにも腕力を要しそうですよね。

ま、コンバス、片手でも持ち上げられるらしいですよ。
コンバス弾くのは持ち運びも含めて肉体労働なので、筋肉つくらしい。(爆)

>心理劇に終始するのかと思いきや、流血があったのにはビックリでした〜。

あのあと、もっとすごい流血があったらどうしようとドキドキしっぱなしでした・・・
Posted by jester at 2008年06月05日 20:50
jesterさん、こんにちは〜
TB&コメントありがとうございます。
そうなんですよねー、メラニーには色々な部分ではてなマークが浮かんじゃいました。
復讐心が不透明だったというか、そんなに恨んでたの?と思っちゃったし。
私も、恨みを持つくらいにピアノを愛しているのなら何があっても続けなさいって思ったデス。
子供のまんまで自分のしていることをよくわかっていないのかなぁとか。
幼い頃から、どこか心が病んでいたのかなぁとか。
メラニーの復讐に入り込めなかったので、アリアーヌが振り回されてあんなことになるのもシックリきませんでしたわ。

でもまぁ、フロさんが素敵だったのでいいです。
かなり美貌を上手い事キープしていますが、どこか親近感にも溢れているところがまた素敵だと思いました。
Posted by となひょう at 2008年06月05日 21:17
となひょうさん、いらっしゃいませ〜 1ヶ月も前に見た映画なのに、いまさら、何でございますが、ご訪問&コメントありがとうございます!うれしいです♪

>そうなんですよねー、メラニーには色々な部分ではてなマークが浮かんじゃいました。復讐心が不透明だったというか、そんなに恨んでたの?と思っちゃったし。

あ〜〜となひょうさんもですか♪
そうそう、やっぱりちょっと病的ですよね。

>私も、恨みを持つくらいにピアノを愛しているのなら何があっても続けなさいって思ったデス。

そうですそうです、私もそれがいいたかった。さっさと鍵をかけたのは自分だし。
経済的なことがあるとしても、好きだったら続けていれば、別の方向で道が開けることだってあるのに。

>子供のまんまで自分のしていることをよくわかっていないのかなぁとか。
幼い頃から、どこか心が病んでいたのかなぁとか。

あの、テストのあとのほかの生徒のピアノのフタを腹いせに閉めたとき、「こいつおかしいかも」って思いました。

>メラニーの復讐に入り込めなかったので、アリアーヌが振り回されてあんなことになるのもシックリきませんでしたわ。

アリアーヌもまた、不安定だってことなんでしょうけど、あの展開は・・・だんなさん、とても優しくていい人なのにねえ〜


>でもまぁ、フロさんが素敵だったのでいいです。
かなり美貌を上手い事キープしていますが、どこか親近感にも溢れているところがまた素敵だと思いました。

フロさんは、ほんとに綺麗でした。
品のいいファッションも高感度アップでしたし。
確かに、その上、近寄りがたいほどの美人というより、ちょっと隙があるところがまた良いですよね。


Posted by jester at 2008年06月06日 21:06
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