というわけであわてて、「SAINT-JACQUES... LA MECQUE」(「サンジャックへの道」)を見てきました。
うう〜〜えがった〜〜!

何でもっと早く見なかったのかしら・・?
宣伝をみてて「あ、なんか先がみえたわ」なんて思って後回ししちゃったのよね・・・・



「リトル・ミス・サンシャイン」とか「トランス・アメリカ」みたいな心が温まるロードムービー。
程よく笑えて程よく泣いて、あったか〜く肩をぽんぽんとたたかれて映画館を出られました。

美人もハンサムもいない、ただのおっさん、おばさん、少年少女たちなんだけど、一緒に歩いた仲間みたいな気分で、旅が終わるときはさみしかった・・・
「え〜〜もうついちゃったの?? もっと一緒にいたいよ」ってな気分になりました。
「遺産相続のための条件」という生臭い理由で、聖地巡礼3ヶ月の旅に参加する中年の3人兄・姉・弟。

「No! No! NOOOOOO!!」という裏には熱いYESがあるのよね

それがとっても気持ちよくて、彼女が突っかかっていくシーンでは爆笑してしまいました。
確固たる信念があるけれど、異質なものを受け入れる包容力もあって、素敵な女性です。
それに対して、対照的に情けない兄と弟。
この二人、とくに世渡りうまそうだけど傲慢でいつもいらいらしてる兄のほうの変化が、見ているうちに感情移入してしまうほど心地よかった。
薬なんか捨てて、頑張れ〜って応援したくなるのでした。
キリスト教の聖地への巡礼の旅だけど、その場所・場所でクララは痛烈にキリスト教を批判してるし、ラムジィ君にいたっては、聖地のモニュメントの上で「アックバール!アラ〜〜!!」なんて叫んじゃうし、結局なんのかんのいって人間も宗教も、みな一つのベースの上なんじゃないの?というコリーヌ・セロー監督の視線が優しくて、うれしい。
ラムジィくんの素直な台詞、どれも良かった。
「そうだよね」ってうなずきたくなった。
教会で願い事を書く紙に、みんな好き勝手なことを書いて、尼さんたちがクールに「これ、だめね」と捨てちゃうところも笑いました♪
そのほかにも笑いのつぼがいっぱい。
結構空いていたので、両脇に人がいなくて、思う存分笑ってしまいました。

マイペースなもんで、ツアー旅行は苦手ですけれど、こういう人がガイドしてくれるなら、巡礼ツアー旅行もいいかも。
癌を克服して歩いている女性、Mathilde役のMarie Bunelさん、どこかで見た〜と思っていたら、「コーラス」で少年のお母さんの役の人だった! 「ルパン」とかにも出ているのね。
バイプレーヤーとして「どこかで見かける顔」だけど、なかなか美しい方です。
途中、時々挿入されるファンタジックな「夢」の映像。
これは誰が見ている「夢」なんだろう・・・と思いつつ、結構見とれてました。
ピエールが見る、奥さんの映像。水がどんどんたまっていくガラス張りのプールに妻がいるのに手が出せない・・・・ すごく怖くて、しかも美しかった。
クララのいろんなものを引きずってる夢もおかしい。でもクララはそれが幸せなのかも。
ヨーロッパの古い街や村、教会、お城、そして、なんといっても広大な草原や、滴るような緑の森、美しい川の流れ、川面に広がる雨の波紋、などなど、画面も絵画的にとても綺麗で、それだけで癒される。
音楽もよくて、チャント風の混声合唱やら、アラブ風・インド風の音楽がjesterのつぼでした。
公式サイトを読んだら、コリーヌ・セロー監督が
「徐々に自然と関わりを持って行くことで孤独が癒されていく様子を表したかったのです。夜の闇のなかではみんな孤独だけれど、昼間の大地の自然に囲まれた中では、人は安らぎを見いだすのです。それに自然は母なるものです。わたしたちは父権的な社会に生きていますが、本当に守ってくれるのは父権的なものではなく、母性的なものであり、自然は母性的なものの象徴です。」
っていってましたが、なんか素直にうなずけました。

歩くことで癒され、浄化され、自分を見直し、そして離れていた人と人をつないでいく・・・なんて、教科書通りなんだけど、それが真実なのかもって思わせてくれる。
人間の良い部分を見せてもらった感じで救われた。
また旅に出たくなっちゃった。
それも、自分の足で一歩一歩踏みしめて、ゆっくりゆっくり心を変化させる長〜い旅に。
jesterも映画ばかり見てないで、少し歩かなくちゃ〜