2010年03月04日

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 PERCY JACKSON & THE OLYMPIANS: THE LIGHTNING THIEF

ローガン・ラーマン君は良かったんですけどねえ・・・・・・・・・


 
以上で終わります・・・・パンチパンチパンチ(殴!!!


ショーン・豆氏以外にも、ユマ・サーマン(綺麗だった)とかピアーズ・ブロスナンとか、7年前には主役をやっていたような俳優さんをそろえて、お金をかけて作っているのだけれど。


ストーリーが、ロールプレイングゲームのようで、アイテムをそろえて○○を救い出し、○○を盗んで○○に返す・・・・

それだけなんですね。
何も心に響いてこないの。

この子らはこの後どうなるのだろう?
ずっとキャンプで戦争の準備をするのだろうか?


画面は良くできてましたけど、「アバター後」じゃ、あのぐらいじゃビックリしませんわ。


大体、「ゼウスよ、あんたも全能の神なら、自分がなくしたものは自分で捜せや〜
それで『出てこなかったら戦争だ!』って、あんたはどこぞの大国の大統領か、北の国の王子様ですか?」
と最初に言ってやりたかったです。はい。


これ、原作は読んでいませんが、もしかして原作のほうが面白いのかも、という気がしました。

ローガン・ラーマン君は良かったんですけどねえ・・・・・・・・・


というわけで、☆☆− と、jesterは飛行機の中でほかにチョイスがなかったら暇つぶしに見るぐらいの映画だなと感じました。

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2009年02月20日

ベンジャミン・バトン  THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

最近のブラビはあまり得意じゃありませんが、話の内容に惹かれて見に行ってきました。

(あ、ご無沙汰してしまって申し訳ありません〜〜〜(汗)
映画は見ていたのですが、春の気まぐれで・・・・(殴))

生まれた時に老人でだんだんに若返る人生・・・・
愛し合っているものとすれ違う時間。
それってどうなんだろうと興味がありました。

167分と長い映画でしたが、全く飽きずに最後まで見る事ができました。
後味がほろ苦く、甘く溶けて、極上の大人のファンタジーといえましょう。

jesterのお好み度は ☆☆☆☆ でございました。


生まれて年をとり老いて死んでいく、というほとんどすべての人間に避けられないコース。
それを逆の視点で見ることで、大切なものってなんだろうって考えるひと時をくれる映画。

映画を見たあと、ちょっと一人でお茶でも飲んで、いろいろ思いを馳せたくなる、そんなストーリーでした。


とにかくケイト・ブランシェットが綺麗で!!

CGを使いまくってしわとか隠しているとしても、若いときのぴかぴかさも、年とってからの落ち着いた輝きも、老年の優雅さも、ため息が出るほど。
バレエシーンの回転なんかはワイヤーで吊ってやっているのかなと思いましたが、それにしても体が柔らかい・・・


ブラビも良かったです。
年とった外観に少年の心、という難しいシーンでもしっかり目つきで演技してました。

特に最大に若返った時のういういしさは『リバー・ランズ・スルーイット』の頃を思い出させてくれました。あの頃は結構好きだったのよね。
CGってすごい!


エリザベス役のティルダ・スゥイントンも良かった。
最初美しく見えないのにだんだんに凄みが増してきて、艶っぽくなってきて、魅了されました。


しかし・・・年をとるって残酷なことですね。

でもそんな時の流れを泳ぎ、思い出を抱いて一緒に年老いて行ける人がいるっていうことは幸せなことなんですね。(しみじみ)


****以下、ネタバレないですけど、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****


本当のお父さんが好きだったという、湖畔のバルコニーでみる夜明けが美しかった・・・

ああいう風景に弱いんです。
あそこのシーンを見るだけで価値があった気がします。

それから、老人ホームの女性にピアノを習うシーン、エリザベスが泳ぐシーン、雷に打たれた男の話なんかも気に入りました。


でもあのボタン工場の経営は誰がやっていたのでしょう?
ベンジャミンが父の後をついでやっていたようには見えませんでしたが。



他にもいろいろ書きたいんですけど、今回はリハビリ中なので(爆)この辺で。


jesterの心、ここにあらぬ間に、ご訪問くださったかたに感謝致します。
その上、コメントまで下さった方にも大感謝!
これからゆっくりお返事つけさせていただきまする。
posted by jester at 11:55| Comment(11) | TrackBack(4) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月05日

ベティの小さな秘密 JE M'APPELLE ELISABETH/CALL ME ELISABETH

10月に見た中で一番良かった映画というと『JE M'APPELLE ELISABETH/CALL ME ELISABETH (ベティの小さな秘密)』でした。
暇を見つけては見に行っておりました。

(最終日にも見に行きましたが、もう渋谷のシネセゾンでは終わってしまい、今、神戸や京都でやっているのですね。)


こういう少女が主人公の映画というと、古いですけど、なんといってもスペイン映画の「ミツバチのささやき」なんかを思い出します♪
この映画はその道を正統派で継いでいる感じ。

それにjesterは「ロッタちゃんと赤い自転車」「ロッタちゃんの初めてのお使い」「やかまし村の子どもたち」「やかまし村の春夏秋冬」なんかも大好きです。(これはみんなスエーデン映画で子供向けのものですが)

少女と精神を病む青年の逃避行というお話の展開からは、ラストが大昔の「シベールの日曜日」なんかのようになるのでは、とどきどきもしました。(が『シベール・・』とは違う展開でしたが)

ストーリーも画面作りも音楽も音響もセリフも脚本もキャスティングは主役から脇役に至るまで、文句のつけようのない佳作でした。

ベティのかざりっけのない素敵な洋服、大きなお屋敷の少し不気味な感じ、森の美しさ・・・
すべてがわざとらしくなく、ごく自然で、しかもとても美しい。

その中でも大人で、ひたむきで、めちゃくちゃ可愛かったのが、ベティを演じたアルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ
大人の思惑に汚されていない、人間というより天使に近い、神々しくさえ感じられる美しさ。

そして繊細で「生きるのに不器用」な青年イヴォンを演じたバンジャマン・ラモンがまた良かったです。
ポール・ベタニをナイーブにしたような外観と、ピュアな目つきにやられました・・・

その他の脇役も素晴らしい。

『アメリ』での未亡人役が印象的だったヨランド・モローは、戦争で子どもを奪われて、心を病んでいる口の利けないお手伝いさんで、ベティにそっと寄り添う役。

父親役のステファーヌ・フレスも、渋くて知的な顔だちで、落ち着いた演技が大変よろしかったです。


jesterのお好み度は ☆☆☆☆☆++ でございました。

そうそう、ちょうど最近フランスのアンティークのカフェオレ・ボールが気になっていて、一つ欲しいな〜とおもっていたのですが、この映画でもベティがお食事のシーンで大振りのカフェオレ・ボールを使っているんです。

で、映画館のショップで『ベティが使っていたカフェオレ・ボール』復刻版を売っていたのでやられた〜と思いました。

もう少しサイズが大きかったらjesterも買っちゃっていたかも。あせあせ(飛び散る汗)


****以下、ネタバレないですけど、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****



ベティは大人の都合も嘘も全部わかっている。
そして愛されるために「いいこ」でいる。

お化け屋敷を探検していて、妹を置いて逃げちゃうような勝手な姉だけれど、家族の中では一番信頼している姉が寄宿学校にいくことになり、ベティは一人ぼっち。

両親はベティを愛していて、いい人たちだけれど、毎晩けんかをしていて、ついにお母さんは家に帰らなくなってしまう。
お父さんは院長をしている精神病院の仕事が忙しそう。

ベティは毎日学校帰りに捕獲されたのら犬の『ナッツ』(でかいチョコレート色と白のぶちの成犬)に会いにいき、金網越しに
『必ず助けてあげるから』と約束するけれど、まずはお父さんを説得しなくては。

でもナッツは週末には処分されてしまうのに、お父さんは
『いつか買ってあげような。でもお前にはもっと扱いやすい子犬が合う』と、ベティの真剣な話に少しも乗ってくれない。

ある日お父さんが院長をしている隣にある精神病院から患者が逃げ出す。
それは青年イヴォン(バンジャマン・ラモン)。
だれにも告げずにイヴォンを庭の自転車小屋にかくまい、せっせとゴハンを運ぶベティ・・・。

・・・というようなお話です。


トレーラーを見たときは、ベティとイヴォンが二人で旅をするのが主題の話なのかと思っていました。
でもそれより、ベティの生活に焦点が当たっていました。
少女の日々が淡々と綴られます。

そのベティの生活がとても共感できるのです♪

頼みの綱の姉は家庭を離れて寄宿舎に行き、両親は「子供がいなかったらとっくに別れていたわ!」と喧嘩ばかり。

そんな中でベティは普段の生活もちゃんとこなし、あたらしくクラスに来た顔にあざのある友達には声をかけて話し相手になってやる。
逃げ込んできた青年を匿い、食事の世話をしたり、かいがいしく世話をやく世話好きなベティ。
母は家出、父は仕事、お手伝いさんは突然帰ってしまい、夜遅くまで暗い屋敷で一人で留守番していても、涙もこぼさず気丈なベティ。

でもそんなベティも切れることがある。

両親がとても大きなサッカーゲームを買ってくれる。
「わ〜〜い!」と喜んでみせるベティ。
本当に欲しいのは犬のナッツだけれど・・・・
自分を喜ばせようとゲームを買ってくれる親の気持ちが嬉しかったのかもしれない。

でも、そのサッカーゲーム用のテーブルを入れるために、イヴォンが隠れている物置を掃除することになってしまう。

それにショックを受けていると「わがまま言うんじゃない!」と父は怒る。

「お父さんは、何もわかっていない!!」


あ〜 この辺の気持ちがなんと上手く表現されていることでしょう。
親は子を思っていないわけじゃないけれど、子どもの本当の心の中の切望をわかっていないのです。

それをなんと上手にアルバ・ガイア・クラゲード・ベルージが演じていることか。

比べても仕方ないのですが、同時期にみた『パコと魔法の絵本』のパコを演じたアヤカ・ウィルソンとアルバ・ガイア・クラゲード・ベルージをどうしても比べてしまいました。

アヤカ・ウィルソンは、日本で使える日本語の話せる子役の中ではピカイチに可愛い女の子ですが、皆にかわいいね〜とちやほやされて、写真を撮る時にはこちらのほうから、こんなポーズでこんな笑顔が効果的、と教え込まれている感じがしました。
自分がかわいいと自覚しているあざとさがどこかにあるような。
『パコ』のレビューで「サンリオのキャラクターみたい」と書いたのは、こういう人口的な『媚』をすでに彼女が持っていると感じたからでした。

その点、アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージは、きちんとしつけられた普通のどこにでもいる女の子という感じ。
演技は抜群に上手なのに、どこから撮られたら美しいかとか、こんな話し方が可愛く見えるだろうとかいう計算が全くない。
まったく素で存在している感じです。
その辺が「大人の思惑に汚されてない」「無垢」と感じられた大きな要因だと思います。

そんな彼女が、『地球は死に掛けている』ことに、長いまつげの影を瞳に落としておびえる。

父親に「病院に入っている人たちはどうして心の病気になったの?」と聞き、「生きることに不器用なんだよ」と父に言われて、
「私もいつか、心を病んでしまうかもしれない。だって私も『生きることが不器用』だもの」
なんてつぶらな瞳でつぶやくと、その小さな胸の痛みが伝わってきて、なんだかうるうると泣けてしまうのです。

だからラストの冷静な行動と「エリザベスと呼んで」と胸を張っていうベティには本当に癒されました。

あの年でも、もうしっかり大人なんです、女の子は。


猫監督の画面作りの細かいこだわりにも感服しました。
とにかく色使いがシックで綺麗。

美しい森が背景だけれど、全体的には暗い画面が多く、ぎぎ〜となりながら開く古い洋館のドアや、壊れた人形の目から出てくる蜘蛛、木の梢にぶら下がっている人形など、少女の繊細な感受性を震わせるような、これから展開する生と死を暗示するような小物たちが効いています。

ベティがイヴォンに渡す赤と緑の玉のついている髪留め。
それをずっと手に握って持っているイヴォン。
それに気づいて、そっと手のひらから取り上げ、手首につけてあげるベティ。

こんな感じの小さなエピソードの積み重ねが丁寧で、物語に厚みをくわえていたと感じました。


posted by jester at 20:19| Comment(4) | TrackBack(1) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月31日

P.S.アイラブユー

このところ、ジェラルド・バトラーが出る作品で連続こけてるjesterでございます。

この映画もイマイチ乗れなくて、辛口レビューです。
この映画、お気に入りの方はどうぞ以下をスルーしてくださいませ。



この映画の前にこけたのは夏に見た「幸せの1ページ」なんですが、これはレビューをいまだに書いておりません。パンチ
誉めるところが作家のアパートのしつらえと南の島の景色とトド(アシカか)ぐらいしかなかったので・・・・(パンチパンチ

なので「P.S.アイラブユー」も警戒しておりました。
映画館のトレーラーやらテレビコマーシャルでジェリーの声で
「P.S.アイラブユー」としつこく流れるのがどうも韓国ドラマの『イケメン俳優』の「アイシテマス。」と重なり、とても嫌な予感・・・・あせあせ(飛び散る汗)

でもやっぱり、ジェリー見たさに出かけてしまう。

映画が始まって、最初はラブリー♪ジェリーの歌や踊りやストリップ(!)に見とれておりましたが、やっぱりそれだけじゃ・・・・
あ、アイルランドの牧歌的景色も良かったけどね・・・・

というわけで、jesterのお好み度は ☆☆+ ぐらいかな・・・?

一緒に行った姉はすごく気に入ったらしく、涙ぐみつつ見て、「良かった!」とパンフレットを買い、その上エンドロールの日本語の歌のCDまで映画館でお買い上げ!!

(実はこのエンドロールに突然流れた『日本版主題歌』でもjesterはめちゃくちゃこけてしまい、椅子を蹴って倒したろか!と思ったのでしたが、姉の前でやらなくて良かった・・・つか、映画館の椅子は蹴っても足が痛いだけですもん・・・)




****以下、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****


「ミリオンダラーベービー」ではかなり好きな女優さんであったヒラリー・スワンクが今回jesterはだめでした・・・

あの、亡き夫のトランクスをはきながら、リモコンマイクにテレビの映画を見て熱唱するシーンなどは長すぎてちょっと目を背けました。

君はブリジッド・ジョーンズじゃないんだからさあ・・・

演技が上手い女優さんだけに、余計辛くて。

それと、いろいろ『可愛い』ファッションを着せ替え人形のように着せられてましたが、イマイチ似合ってないの。
馬子にも衣装と申しますけれど、ファションとしてセンスがいいかどうかと、それが似合うかは別問題だな〜とつくづく思いました。


監督もした、リチャード・ラグラヴェネーズの脚本については、jester的にはいろいろ文句があって・・・・

(まあjesterは『マディソン郡の橋』も泣けなかったからなあ・・・)

出だしのけんかのシーンは面白くて、これいけるかも、と思ったのですけれど。
闘病シーンとか、死ぬところとかが省かれていたのも良かったです。


しかし肝心の夫が死んでからのホリーの心理が単純すぎてありがちな感じ。
どうも共感できなくて。

あのアイルランドのウィリアムとの事だって、監督は
『心がまだ悲しみから癒えてなくても、体が性的欲求を持つことがあると、最近夫を亡くした女性に聞いてひらめいたエピソードだ』
とかコメントしてましたが、それって・・・どちらかというと男性心理では?

女性の性はもっと精神的な要素が大きいというか、相手との絆と深く関わっていて、相手がだれでもいいから、この際風俗にでもいったろか・・・みたいな発想をする女性が少ないのは、女性向け風俗というものがほとんどない(のかよく知らないが)のでもわかるとおりだと思うのです。

少なくとも、jesterにとっては、あまりに雑な展開だな〜 と興ざめ。


大体、ジェリー@夫はとっても素敵だったけど、あのように死んだ後も書いた手紙を送り続けること事態、実は未練だし、長く相手を苦しめる結果になるのではと思います。

生まれて初めて泣いて、『涙ってどうやったら止まるんだ!』という大貫老人に、お医者さんが、『悲しい時は思う存分泣いて、泣いて、泣き尽くしたら涙もかれるんだよ』と、『パコと魔法の絵本』でもいってましたがな。

カラオケディスコ(なにそれ)にいって歌を歌えとか、自分の生まれ故郷に旅行させてそこにも手紙が・・・とか・・・
相手は30の大人の女だよ? 親が子どもに残す手紙じゃないんだからさ・・・

この際ほっておいて、悲しみにちゃんとひたらせて、お別れと孤独を認識させてあげなよ、と、見ていてしらけてしまったjesterでした。


ぴかぴか(新しい)キャシー・ベイツが大好きなので、パトリシアというお母さん役で出てきたときは嬉しかったんだけど、見ているうちに、『ミザリー』『フライド・グリーン・トマト』『黙秘』『タイタニック』なんかでの一ひねりある役と比べると、脚本自体のキャラクター作りが甘いせいで、ただのいいお母さん役になっちゃってるのがもったいなくて残念でした。


そして、エンドロールで突然「日本版主題歌」が!!!!たらーっ(汗)

映画自体のよしあしを別として、これでどっちらけでございます。
お願いだから元の曲を聞かせてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜!
がお〜〜!

とこぶしを握り締めたjesterでした。


この映画の前後に『ベティの小さな秘密』や『マルタの優しい刺繍』などなど、秀逸なヨーロッパ映画にひたっていたので、それもあったのかも知れませんが・・・・

posted by jester at 22:35| Comment(10) | TrackBack(4) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月23日

パコと魔法の絵本

あふれる色彩と派手な小道具、全編を貫くハイテンションで饒舌なセリフ。

そしてなによりも映画作りに対する製作者の深い愛情!

『下妻物語』でビックリ、そして『嫌われ松子の一生』で確信させられた中島哲也監督の才能を再確認してまいりました。

jesterのお好み度は ☆☆☆++でございました。




後藤ひろひとさんの書いたとっても有名な舞台、「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」を映画化したものなので、舞台劇の香りがぷんぷん。

ストーリーの骨格は一本で、とてもシンプル。悪く言えば単純なお話。
『変わり者ばかりが集まる病院で、自己により1日しか記憶が持たない少女のために、心を病んだ大人たちが思い出を残そうと奮闘する』というお話です。

それに細部を粘着気質に作りこんで、シュールな笑いをたっぷり含ませて膨らませ、しかも入り口を狭くしてある。

この入り口でこけちゃった人は、多分中に入れないでしょうねえ・・・


CGを多用してる辺は、『アーサーとミニモイの不思議な国』『ジャイアント・ピーチ』なんかや『スパイダーウィックの謎』とかを連想させます。
(しかしフィレディ・ハイモア君は出てませんが)

しかし、中島監督、テリー・ギリアムやリュック・ベッソン、ティム・バートンなんかに負けてないですわ・・・
まさに日本が生んだ天才です。


クリスマスそれにしても豪華なキャストです。

劇場用の戯曲シナリオを映画で見るとしらけることが多いのは、劇場では俳優さんからじかに伝わってくる『気』が、スクリーンからは伝わってこないから。

でも今回はキャストの演技力でその辺を補っていると思いました。

しかも外観をかなり作りこんである。

またまた事前情報0で出かけたので、役所広司、妻夫木聡、土屋アンナ、國村隼、小池栄子、上川隆也、中山圭哉、加瀬亮、劇団ひとり・・・のなかで、初めから「この人だ」とわかったのは、役所さんと劇団ひとりさんだけでした。

特に國村隼、小池栄子、上川隆也、加瀬亮、妻夫木聡、の変身振りには「えええええ!」と身を乗り出してしまいました。


ぴかぴか(新しい)國村隼さんはその中でもさらにすごいです!
夢に出てきそう・・・・
胸元の開いた服で片肌ぬげかけて、たくましい肩の筋肉がぼろっとでてましたが、見るたびに笑えました。
「男が珈琲、女がミルクなら、オカマはカフェオレ!」の一言がまたおかしくて・・・・


それと上川隆也も眼鏡を一瞬はずしたシーンで、
「あれ、これってもしかして・・・?」とやっとわかりましたが、ピーターパンのグリーンのタイツ、シンデレラのドレス・・・・
すごいものを見せていただきました。


それから演技力でびっくりが妻夫木聡でしたね。
最後まで誰だかわからなかったし。(爆)(大体若手の俳優をあまり良く知らないので)

その点土屋アンナは、『下妻』とキャラが被っていたので、ほとんど「これが素顔か」パンチ(殴  
というぐらいの感覚ですぐわかりましたが、彼女の怒号、すっきりしてて結構好きです。
これからもこのスケ番(死語!)キャラで売って欲しいです。


阿部サダヲなんか、サイバー上にとっか現れるウィルス系の狂言回しって感じで、人間とは思えませんでした・・・・


アヤカ・ウィルソンは、なんというか、このままでサンリオのキャラクター商品の「天使」で使えるだろうな、という感じの美少女です。

どこから見てもどこをとってもすべて可愛いんだけど、それが難と言えば難かな。

あまりに完璧に可愛すぎて、造形がCGみたいに人工的な気配すらあり、「子どもらしさ」がないの。
あれがCGだったら「可愛いけどリアルじゃないよね」といわれそうです。(爆)
それがリアルに存在する生物なんだから末恐ろしいですあせあせ(飛び散る汗)

でもjester的にはもうちょっとこどもっぽいあどけない子役を使ってくれたら、もっとパコに感情移入できそうでした。
例えば『リトル・ミス・サンシャイン』のときのアビゲイル・ブレスリンちゃんみたいな。
鬼のような頑固ジジイの心を溶かす、春の陽のようなあどけなさ。

それがアヤカ・ウィルソンだと、意地悪・偏屈・居丈高じじいの大貫がなんでパコにあそこまで入れ込むの、という点で「美少女だから」サインがひらめきピコピコついてしまう・・・・パンチ(殴


猫前2作に比べてみればファミリー向けかもといえるかもしれないけれど、これって、そもテーマが子供向けじゃないですよね〜

それなのに、劇場には題に釣られてか結構子どもが多くて、「大丈夫なのか」とはらはらしました。

でも出口に向かう通路で、母親ときていた5歳ぐらいの男の子が
「これってお母さん用の映画かと思ったら、感動した。ハンサムな映画だね」と大人なコメントを小さい声でいっていました。

後ろを歩いていたjesterは思わずぎゅっとハグしてぐりぐりぐり!と頭をなでてあげたくなりました・・・・

やはり映画やら芸術やらから個々が何を感じ、何を受け取るかって、その人間一人一人のそれまでの人生経験値と深く関連しているから、挫折を知らない子どもがこの映画から受け取るものは、もっと単純できらきらした部分なんだろうなあ〜

それはそれでとってもよろしい、少しはうらやましいぞ、と思ったjesterでございました。

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2008年06月04日

譜めくりの女 LA TOURNEUSE DE PAGES

ふとなんの気なく、してしまったことが、他の人を深く傷つけていた・・・

もう誰もが忘れ去っていた小さな出来事。
それを執念深くおぼえていた女がいた。

ほんの小さなことだけれど、芸術家を目指すものにとっては許せないことだったのだろうか・・・

(大分前に鑑賞したものですが、忘れる前にちょこっとレビューを。)

あらすじ:『かつてピアニストを目指す少女だったメラニー(デボラ・フランソワ)は、ピアノの実技試験中、審査員の人気ピアニスト、アリアーヌ(カトリーヌ・フロ)の無神経な態度に動揺してミスを犯し、ピアニストの夢を絶たれる。その後、アリアーヌに再会したメラニーは、演奏会の成功の鍵を握る“譜めくり”に抜てきされるが……。(シネマトゥデイより) 』
じりじりと、恨みを持つピアニストの家庭に食い込み、内部から崩壊を企てる女性。

その陰湿な行動にはらはらどきどき。
無表情で何を考えているかわからないヒロインに、これからどうなる??と目がはなせません。

とはいえ、どうしてここまで恨むの?という辺に疑問が残りましたが、短編小説のようなサスペンスのある脚本と、フランス映画らしい緊密で誇張のない、静謐な画面の作り方にはうっとり。

☆☆☆1/2 でした♪

20080222002fl00002viewrsz150x.jpg『地上5センチの恋』のカトリーヌ・フロがピアニスト役。
おしゃれで綺麗でした♪
ピアニストとしては優秀なのに、それゆえなのか精神的に繊細すぎるところのある女性を演じていて素敵でした。

スタイルいいし、肌は綺麗だし、お化粧もきっちりしてるけど厚化粧じゃなくて、エレガント。
こんな風に年をとりたいな〜と思いました。(しかし、1957年生まれなんですね、彼女。ちょっといろんな意味でショック。(なぜかは聞かないでください(爆)))



****以下、ネタバレないですけど、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****



対するメラニー(デボラ・フランソワ)は少女の頃から能面のように無表情で、ピアノが大好きながらも、試験が失敗に終わった後、練習室にもどって、腹いせに、これから試験を受ける練習中の別の生徒のピアノをフタを故意にバン!と閉めたりする暗い少女で、長じて大人になっても表情の読めない女性になっている。

しかし・・・無神経な態度といっても試験の審査中に、ファンに求められたサインを一回書いたっていうだけなんですよね。
それで調子をくずしたのは可愛そうだけれど、それを気にせずに弾き続けられる集中力というものも大切なのでは? それに、それほどピアニストになりたいなら、続ければいいのに・・・なんて思ってしまうjesterには、彼女の『恨み』が実感として伝わってきません。
憧れゆえというのがあったとしても・・・

(大体jesterは怒りが長続きしないし、どんな恨みも一晩寝れば忘れてしまうお気楽体質だもんで・・・ついでに言えば、継続力がなく、どんな決心も努力も長続きしないんですが・・・(涙))

だからあそこまでしなくても・・・と思ってしまいました。

わざといぢわるでサインしたわけじゃないしねえ・・・
その前に断ったのに、しつこくせがまれて面倒くさくなって、しただけなのに。
恨むなら、あんな場所までしゃしゃり出て、しつこくサインをねだったほうを恨めよ。

それから長い時間が流れたのに、メラニーが復讐だけを胸に秘めて暮らしてきたのかと思うと、あまりに無駄に過ごされた青春が哀れです。
ピアノの実力も、もしかしたら本人の思い込みだけで、たいした事はなかったのかもしれないとも思います。

精神的にちょっと病気だったのかも。


そういう意味では、恐ろしさはじわじわと伝わってきます。
彼女が張り巡らせる巧妙な罠は、静かで地味だけど、大胆で致命的。

人の幸せをすべて壊そうという、細い糸でできたがんじがらめの罠。

しかもチェロをあんなふうに使って反撃するなんて・・・・
恐いです!

チェロのエンドピンって実は凶器なんですよね〜
舞台のチェロが座る辺って床がぼこぼこですもん。
刺さらないな〜エイ! なんて力をこめてやるとかなり危ないそうです。(まあ楽器なのでそんなに乱暴にはしないでしょうけど)

ちなみにうちのコントラバス奏者に聞いたところコントラバスのエンドピンでやったら骨がくだけるかもだって。

ひえ〜〜(汗)


るんるんドゥニ・デルクールは音楽家(ビオラ奏者)でもある監督さんなので、ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番や、モーツアルト、バッハ、シューベルト、などもふんだんに使われ、三重奏楽団が音楽を作っていくシーンはリアルでした。

俳優さんたちの演奏も上手で、吹き替えだとしてもわざとらしくなくて上手にできてました。

ぴかぴか(新しい)アリアーヌの住んでいる邸宅がすてきでした〜
地下のプールやらテニスコート、まさにフランスのお金持ちの暮らしです♪

猫芸術家というのは繊細なものなんでしょうねえ。
それにしてもアリアーヌのメラニーへの傾倒も、私には不自然に思え、サスペンスを楽しむことはできたけれど、いまいちキャラクターに共感できないまま終わってしまった感じでございました。

復讐するなら、いろいろいぢわるするんじゃなくて、自分が努力の末、ピアニストになって見返してやれ!(爆)


でも短めな時間ながら、緊張感が最後まで続き、飽きずにみられましたです。
posted by jester at 10:07| Comment(6) | TrackBack(5) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月19日

フィクサー MICHAEL CLAYTON

告白しちゃいますと、むか〜〜し、ジョージ・クルーニーがいいなと思ってた時期がありました。

厳密に言うとジョージが良いというより、というよりERにでてくるアウトロー風味の小児科医、『ダグ』のキャラクターが好きだったのですけど。

その後、ジョージ・クルーニーは人気が沸騰し、『アメリカ女性が診察してほしい医者トップ1』(小児科医だってば)(爆)に輝いたりして、数々の映画に出ましたが、jester的にはそれほど印象に残ったものはなく・・・
特に『オーシャンズ・シリーズ』は駄目だったんですよね・・・わたくし。
(最初の11はまあ良かったけど、12はつまんなくて・・・13は見てません。)

で、この映画はどうだったかというと、いろいろな意味で彼にはフィットした役だったのではないかと思いました。

Law Firmとか会社の法務部とかに興味があるので、その辺のむなしさとかが描かれている部分は個人的には面白かったです。

jesterのお好み度、☆☆☆−でした。

ところで、『フィクサー』という邦題ですが、ジョージ・クルーニーの敏腕フィクサー振りが見られるのかというと、そんなことはなく、ある『MICHAEL CLAYTON』(原題)といううだつのあがらぬ雑用弁護士が、自分の意思に反して、事件に巻き込まれる様子が描かれている映画です。
相変わらず邦題のつけ方がヘタクソだし、「配給会社の人たち、ちゃんと映画見たのか?」という宣伝でしたね。


****以下、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****

クリスマス   クリスマス   クリスマス   クリスマス 


Fixerというのはfixする人、修理工のことですが、転じて尻拭い屋、黒幕というような意味も持ち、弁護士に使われる場合はかなり蔑称というか、馬鹿にしたような意味合いを持つとjesterは思うのですが、クルーニー演じるFixerは確かに『雑役弁護士』で、600人もの弁護士が働く巨大Law Firmでもどちらかといえば、『窓際族』。

「こんな雑務より法廷弁護士をやりたい。オレは敏腕だったじゃないか」とボスにいっても、
「ああ・・・だが君よりもっと敏腕なのがいっぱいいるのでネ」とにべもなく却下され、私生活ではセカンドインカムにとはじめた飲食店がうまくいかずに、それで出来た借金で首が廻らず、ぴかぴかの車は実は会社のリース。
離婚した妻との間に出来た子供を大切にしているけれど、賭けポーカーから脚をなかなか洗えず、借金はどんどん増え・・・

とまあ、八方塞の毎日。

同じ弁護士事務所のトップであり、ある大企業に対する集団薬害訴訟の被告側弁護をしているアーサー(トム・ウィルキンソン)がおかしくなったので見てきてくれや、といわれていってみると、アーサーは
「もうこんな生活は嫌だ! こんな訴訟の弁護はくそだ!
悪いのは企業のほうなんだから、これからは原告側の見方をするんだ! なんしろ可愛いアナがいるんだから!!!」
などとほざいて洋服を脱ぎ始めたりしておりまして、なんとかなだめようとするマイケル(クルーニー)ですが・・・・

という展開でございます。


マイケルが決してヒーローではなく、大企業の歯車のひとつとして正義感なんかとうの昔にどこへやら、とりあえず仕事をしてお金をもらえれば良いや、という現代のサラリーマンの悲哀をいっぱいに抱えたよれよれ男なんですね。

それがどうもジョージ・クルーニーにぴったり・・・とかいったらファンの方には怒られそうですが、なんとなくアウトローっぽい(といっても文字通りマイケルは in law なんだけど)主流から外れちゃった雰囲気が似合っていたと感じました。(ほめてるつもり・・・)あせあせ(飛び散る汗)

『ディボース・ショウ』の時も思ったけど、クルーニーって『やり手の弁護士』が似合わない(殴)と思うし、ついでに言ったら『CIA職員』『正義感にあふれるジャーナリスト』とかもなんかうそ臭い気がしてしまいます。
彼はどこか外れたところがある感じの役が良いんじゃないかと思うんですよ。
作品的にはjesterは嫌いでした(だってホラーだもん)が、『From Dusk Till Dawn』の悪役って、見た当時は「ダグが!」と思ったけど、今考えると結構彼に似合っていたと思います。


犬トム・ウィルキンソンは『バットマン・ビギンズ』の、ゴッサム・シティのフィクサー(黒幕)の演技が印象的でしたが、今回の『いっちゃった弁護士アーサー』の演技もリアルで良かったです。
フランスパンを腕いっぱいに抱えてダウンタウンをふらふら歩いている姿が幸せそうでした。
アーサーは精神を病んで初めて、やりがいのある仕事を自ら始めたのですね。

それも悲しいですが。


猫ティルダ・スウィントンはこの映画でアカデミー助演女優賞を取りましたが、カレンという、法務部長まで登りつめたキャリアながらも、鏡の前で何回も一人でリハーサルを繰り返し、冷や汗をかき、トイレでは吐き、という弱さを隠し持った女性を好演してました。

カレンも多分ロースクールを出ている弁護士で、強面に企業のフィクサーとして法務部長をしているけれど、自分の中の正の部分が捨てきれず、それが己の心を責めさいなんで、身体症状としてでてしまうのが、また悲しい。

あそこに昇りたい!とハシゴをかけ、必死に努力して登りつめてみたら、違うところにハシゴをかけてたと気づく
でももうここまで来たら降りられない・・・
いやいや、そう思い込んでるだけで本当は降りられるのにね
アーサーみたいにならないと降りられないなんて。
哀れなエリートたち。

しかし・・・アカデミーの助演女優というと、もっと派手な演技の人がもらうという印象があったので、思っていたより静かな演技だったと感じました。



だ〜〜れも幸せな人がでてこない映画なので、最後だけは北米での興行成績を上げるためにもハリウッド的に仕上げてみたのでしょうか?

まあ最近年のせいか、後味ワリイ映画が苦手になってきて、「映画見てるときぐらい、夢見させて〜騙して〜」状態のjesterなので、それはそれでよかったのですけれど。


ただし作りがちょっと不親切だったかなと思います。

最初にアーサーのわけのわからん独白が流れ、トイレでハッとわきの下に手をやって「この制汗剤、全然効かないじゃないの!」(勘違い)
と焦ってるカレンやら、広東語が流れる怪しげな倉庫内の賭けポーカー場が次々映るので、
「う〜〜む、これはきっと全部大切な伏線なのだろうなあ」と必死でおぼえていると、その後の『4日前』で始まる話でなかなかほぐれていかないんですの。

最後にはあ〜〜そうだったのね、と思わせてくれるけれど、中盤は「あの最初のシーンにどうつながるのだろう」とfixしようとして疲れてくることも確かです。

すっぱり最初の部分を忘れ去って、『4日前』から見たほうがかえって映画を楽しめたりして。


それとね、アーサーにはあれほど巧妙に攻撃したやつらが、マイケルにはいくら焦っていたとはいえ、ドカン!かい??
というのがどうも腑に落ちなかったjesterでございます。
posted by jester at 21:07| Comment(6) | TrackBack(3) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月24日

プライスレス 素敵な恋の見つけ方 HORS DE PRIX/PRICELESS

映画紹介サイトに「玉のこしを狙い男を渡り歩く小悪魔」「恋愛コメディー」とありましたが、そんな綺麗なもんかい?パンチ

金持ちの孤独な老人の愛人を狙い、上手くつけこめたら高価なものをせびりまくり、あわよくば結婚して末には遺産がっぽりをねらう娼婦・・・

そういったら実もフタもないかしら?

まあトレーラーを見たときに大体予測はついたのですが。
オドレイ・トトゥがもしかしたら可愛いのかな?などとはかない期待を胸に映画館へ。

おどおどしたガッド・エルマレの演技なんかは笑えたのですが、話自体はまとまっているとはいえ、あまり乗れませんでした。

☆☆でした・・・・。



(以下、映画の内容に触れています。未見の方はご注意ください!
それと辛口です。この映画がお好きな方はどうぞ笑ってスルーしてくださいね。)


クリスマス    クリスマス       クリスマス     クリスマス


audrey_tautou1.jpgSexを商品にして自分を高く売りつけ、それで稼いでリッチに生きていこう、というのはやはり娼婦としかjesterには思えないのですが、『ディボース・ショウ』でキャサリン・ゼタ=ジョーンズがやってた役も、突き詰めればそういう感じでしたし、『プリティウーマン』とかそのほかにも似たような映画はたくさんありますね。
きっと世の男性にはああいう女性も魅力的なんでしょう。


しかし、今のオドレイ・トトゥは高く売れる商品とは思えず・・・

なんか目の下とかクマが出来てるし、がりがりに痩せていて、ブランドのドレスかなにかしらんけど、風が吹いたら自動的に脱げそうな(爆)ほとんど下着のようなドレスと、履いてたら走れません、というような15センチはあるピンホールヒールのサンダルでよたよた歩いていても魅力的には見えませんでした。

アメリ
 は遠い日の花火なのかしら・・・

『ダヴィンチ・コード』の時は「やはり英語をしゃべると駄目なんだわ」と思ったのですが、そういう問題でもないのかも。

あの下から見上げる目つきがそれほど可愛く見えなくなってしまったのが残念です。

というわけで、イレーヌはあまり人間描写がなされていないので単に金目当てだけに見えるし、「あれだけいろいろ策を弄したりテクニックを駆使したりできる才能があるなら他に使えばいいのに」と思ってしまったしと共感できず、中の人のオドレイ・トトゥにもがっかりしてしまい、あまり乗れませんでした。


まあ最初に二人が深夜のホテルのバーで出会うシーンなんかは結構好きだったのですが。
それから、フランスの海の見えるホテルのスゥイート&テラスで朝食、いいな〜、もっと見せて〜なんてそんなことを思ってました。

それと、ジャン(ガッド・エルマレ)が職業病で「s'il vous plait !」に思わず反応しちゃうところとか、教えてもらったとおりにやってみて次々に欲しいものを買ってもらうシーンなんかは笑えました。

しかし彼がジゴロって・・・いくらホテルで条件反射で荷物を一瞬持ったからって、無理がないですか〜(汗)
目は綺麗だったけどね・・・


でもああいう世界は現実にあるのでしょうね。

お金が使いきれないほどあって、時間もある人たちが、余興に人間を買って遊ぶ。
またそれを狙って、若さと美貌に自信があるがまともに働きたくはないという人たちが群がる、というような。

規模の小さいのだったら、飲み屋やキャバレー、ホストクラブとか風俗とかで客にたかるホステスとかホストなんかがたくさんいるのでしょうし、○○姉妹とかいうテレビに出てくるひともそういう系という噂ですし・・・・。

そういうのを『おしゃれな恋の駆け引き』というのかどうか知りませんが、この映画ではフランスの避暑地のホテルという舞台装置とかイレーヌが買い捲るブランド品とかは『おしゃれ』だったとしても、出てくる人々は悲しく滑稽でした。
それが現実の一部かもしれないけどね。

もしかしたら「しゃれた恋愛コメディー」を目指さないで、「ドタバタ恋愛コメディー」を目指したほうが、思いっきり笑えて良かったのかも?


ま・・・とにかくあの二人がそういう世界から抜け出せたのはよかったと思いましたです。

しかしこれから、贅沢にどっぷりのイレーヌとあまり切れ者とはいえないジャンがまっとうに暮らしていけるのか、そんなことはjesterは知りませんよ。はい。

いつもならレビュースルーしちゃう系の映画でしたが、書いてみました。
ま、お暇なら、という感じでございます。

posted by jester at 16:48| Comment(6) | TrackBack(2) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月22日

ペネロピ PENELOPE

「生きる」ことの意味の一つが「幸せさがし」だとしたら、この映画にヒントがあるかもしれません。


トレーラーを見たときは「クリスティーナ・リッチの鼻が・・・絶対見たくないかも」あせあせ(飛び散る汗)とおもったのですが、マカヴォイさん@タムナスさんに釣られて見に行ったら大正解でした。

☆☆☆☆+でした!!


『女性版・シザーハンズ』ともいえるかもしれないシュールな世界。

『アメリ』でその魔法にかかった人はこの映画も気に入るかもしれません。


素直にありのままの自分を受容することは難しい。

自分を縛る数々の「思い込み」を捨てた時、フッと楽になって人間は自由に歩けるようになる。

そんな事をお説教臭くなく伝えてくれる「現代の寓話」です。


まずは俳優さんたちの話題から。

ぴかぴか(新しい)ジェームズ・マカヴォイさんは躍進著しいです!
ひげも剃らずにシャツもよれよれで、何日もシャワー浴びてないでしょう、という飄々とした感じが『マックス』役にぴったりでした〜

『ウィンブルドン』でベタニさんの弟役のときからいい味出してましたが・・・・
ラストキング・オブ・スコットランド
では、「タムナスさん役を経てここまで伸びるとは!」と驚かされた熱演でした。

それにしても「名脇役」なのかな、と思ってましたが、この映画をみて認識を新たに致しました。
主役でも集客力が期待できますわ〜〜
この映画でも挫折を経て哀愁を帯びた『駄目男』の演技がよかったです♪

キーラとの共演の『つぐない』も最近よく劇場でトレーラーがかかるんですけど、ちょこっとはいる彼のセリフの
「I will return, I will find you・・・」
の短い中にもしっかり訛ってる(爆)マカヴォイさんのスコットランド英語が切なくて、今からとっても楽しみです!


猫「豚バナのクリスチーナ・リッチなんか見たくない」とトレーラーを見たときは思いましたが、実際みたら、覚悟を決めていたせいかそれほど気になりませんでした。

ちょっと気持ち悪いぐらいのメイクがちょうど良いのです。
彼女は目に力がある女優さんなので、目の演技だけで細かい心理がよくわかるし、「この鼻さえ普通になれば・・・・」という気持ちが見ている人の中にも強く沸いてくるんですよね♪
わりと癖の強い役をこなしてきたけれど、今までクリスティーナ・リッチが演じた役の中では一番素直に共感できる役柄だったかも。黒ハート

I like myself the way I am!

こんな簡単なことなんですよね。


ぴかぴか(新しい)それと、情けない大金持ち男、エドワードを演じたサイモン・ウッズ。

どっかで見た顔だ〜〜と思っていたら、映画のほうの『プライドと偏見』でミスター・ピングリーだった人でした!

テレビシリーズの『Elizabeth1』とか、『Roma』にもでてるんですね〜
(『Roma』はまだ第1話しか見てませんが、楽しみにしているシリーズです♪)

↑の写真だと、爆笑問題の太田かという感じですが、

なんかうつむき加減になるとポール・ベタニにもちょとにてませんか?

役を選べば、いい役者さんになるかも。
目の色の美しさとか、線の細さとか結構気になる注目株です♪


猫それと、もう一人の「誰だっけ、このひと??」は、マックスのお気に入りのバーのバーテンの人。
ジャン・レノ似の渋い彼、どこかで見たけど・・・と思って調べてビックリ。
この写真は良くないけど、『ハンニバル・ライジング』の時のハンニバルのお父様でした!
(相変わらず画像さがしの下手なjesterです・・・どこにいけばいい画像が見つかるのかなあ・・・)

あわててDVDで確認してみたけど、う〜〜ん、そうだったの?
ハンニバル父はちょっとロンゲ気味でひげがないせいで、ジャン・レノ風味はありません。
髪型とおひげでずいぶんイメージが変わる人なんですね〜〜

『ハリポタと不死鳥の騎士団』でもAurorの一人の Dawlishの役で出てるんですよ。
これもDVDで確認して見たんですが、最後のシーンで大臣の後ろに背広着てでてくる?? 
どうもあの辺は(はなぺちゃVoldemortを別にしても)(というかVoldemortはレイフの素顔で画像脳内変換しているので結構忙しい)見るべき人が多いので、注意してても他に気をとられちゃうのよね。今度落ち着いて確認してみよっと。

そのほかにも今まで見た映画にたくさん出ているのですが、今まではあまり気にとまりませんでした。
今回の髪型とおひげ、精悍でとってもカッコよかったので、今後はこの線でせめて欲しいです。


犬あと、今回は製作も担当している メラニー リース・ウィザースプーン(「メラニーは行く!」の嫌な女の印象がいまだにこびりついている・・・・)のしゃくれあごも、今回はヘルメットのおかげか(爆)気にならずに見られました。


クリスマス独特の映像の世界に酔いしれる101分。

ストーリーは、ペネロペの事だけに搾って、マックスのピアノ云々にはあまり深くタッチしないほうが良かったかも?
狙いはわかるんですが、かえって散漫になった気もします。(その辺が☆5個にならなかった理由です。)

ペネロペの母親は、明暗ともに気持ちが分かるだけにとても痛くて、最後の口パクパクは笑いながらもちくちく来ました。


それにしても、単なるロマンチックなラブコメかな?と思っていたら、それとは違う、大切なメッセージが伝わってきて、見終わったあとジ〜〜ンときてしまう秀作でございました。黒ハート

posted by jester at 10:13| Comment(26) | TrackBack(11) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月13日

バンテージ・ポイント  VANTAGE POINT

シークレットサービスというと、男の職業ですよね〜
サービス業じゃないです。ハイ。
というわけで『地上5センチの恋心』が『女の映画』だとしたら、これこそ『男の映画』でございます。

映画中に
「シークレット・サービスだ!」と御紋章を見せて中継車に入ったり車を止めたりするシーンがあったので、
「ふ〜〜ん、FBIとかCIAみたいに公職の称号だったっけ?」
と思ってましたが、帰ってから調べてみたら、『アメリカ合衆国シークレットサービス (USSS; United States Secret Service) 』で、国土安全保障省の一部門、アメリカの警察機関の一つなんですね〜
ただのボディ・ガードが「シークレット・サービスだ!」と名のるわけには行かないのでした。

同じ頃に公開になったシネコン公開系ジェットコースター映画では、先に『ジャンパー』を見たのですが、『ジャンパー』が期待以上でも以下でもなかったのに対して、『バンテージ・ポイント』は脇を固める主役級の俳優さんたちの厚さがあってか、期待以上で楽しめました。


☆☆☆1/2でした♪



****以下、酷いネタバレはないですけど、映画の内容には触れてます。未見の方、ご注意ください!****


リゾート   リゾート    リゾート   リゾート




ストーリーは、「スペインでUSAの大統領が狙撃された」それについていろんな人物の目から事実を再現していく中、シークレット・サービスが犯人を追うっていう展開。

何回も、11:59:57にフィルムがリワインドされて30分ほどの間に起きたことについて多視点的に見られる、『メメント』パターンの映画です。

最初は「あれ? またまき戻しかい??」と思ったけど、
「ん?? 今この人、何を見たのだ??観客からは見えなかったのに!」と不満に思うシーンが後で見られるし、後半のテロリストの視点になってくると、今までわからなかった部分も見え出すのでついつい引き込まれてしまいます。


ただ人物像やらテロの背景やらが表面的にしか造られていないのが残念といえば残念。
これで人間心理がもうちょっと細かく描かれているとjester的にはそれぞれの人に共感できて☆が増えちゃうんだけどな。

90分と短いのだから、あと15分(いや、5分でも)ぐらいでいいからそれに費やしてくれてもいいんじゃないのと思いましたが、テンポが命のアクション物にそれを要求しても無理ですか。。。


20071211002fl00002viewrsz150x.jpg犬さて、『男の映画』の主役、デニス・クエイド。
最近では「よき父」のイメージがjesterの中で定着しているせいか、シークレット・サービスという格闘技系肉体労働(爆)にはちょっとお年をとりすぎているのでは・・・・
と不安でした。

でもカーアクションを中心にこれでも死なないか?という不死身振りを遺憾なく発揮してました。
デニスはアクションはこなすけど『アクション俳優』ではないと思ってたんですけど、今後は『アクション俳優』の看板もひっさげるかも?
彼が「Oh my God!!」と顔を引きつらせながら走り出すと「何があったのおおお」と追いかけたくなりました。

まあ、しょっぱなからトラウマ抱えて、マイルドトランクライザーかなんか飲もうかどうしようか迷ってるし、なにせお年ですから、全力疾走中に心臓を押さえて「う・・・!」なんて倒れないかはらはらは致しましたが。

そういえば「ロッキーファイナル」とか「ダイハード4」を去年見たときもおなじ事を考えたなあ・・・(殴

まあ、デニスは、シュワルツネガーとかシルヴェスター・スタローンとかブルース・ウィリスとかマット・ディモンほど濃くないし強そうでもないし有能そうでもないしカリスマ性もないので(殴)、以前に身を挺して大統領を凶弾から守ったとしても、テロリストたちがどうしてあれほどまでに彼を意識しているのかっていう辺の理由づけが希薄なんですよね。

だけど、その辺が彼一人で見せるんじゃなくて、周りの俳優さんが支えてる感じがして、彼のファンじゃない人が見ても楽しめるという点ではよかったと思います。


ぴかぴか(新しい)それから、「LOST」のマシュー・フォックス。
当分『「LOST」の』っていうまくら言葉が彼にはくっついて廻るでしょう。
どうしても「あれ?島をでてからお医者さんやめたのね?」なんていいたくなるんだもん。

でもシークレット・サービスも似合ってました♪
これからいろんな役をやってくれるのが楽しみです。


ハートたち(複数ハート)でもなんと言ってもエドワード・ノリエガが良かったわ〜

走る!走る! 込み入った建物内での追跡シーンは『ボーン・アルティメイタム』を思い出してしまった。

役どころとしてはかわいそうなんだけど、おひげも似合っていたし、それでいて白いシャツのせいかぐっと爽やかな感じが○でした♪


ぴかぴか(新しい)それと、前に『君のためなら千回でも』で、一人で「ヒダルゴの王子様が!」と騒いでいたら、DDさんが「バンテージポイントにも出てますよ〜」と教えてくださったので、すごい楽しみにしていたサイード・タグマウイ
jesterとDDさんぐらいしか注目してないかも(?)なんですが、出世しましたわ〜〜

個人的にはあの髪型が気に食わない・・・というか、やはり、ターバン巻いていてくれないとオメメの美しさが引き立たなくてやだわとかぶつくさいってましたが、まあこういう役柄でオメメがキラリとしても意味ないし(汗)、あんなところでターバン巻いてたらすぐ怪しまれて引っ張られちゃいますよね。
最先端の携帯(?)とタッチペンを使いこなす、思った以上に重要な役どころで、出番もノリエガよりあるんじゃないの?というほどでした。

なぜ非情で冷静な彼が急ハンドルを切ったか、それは少女に最初の時に会っていたからかな。
人間が他の人間を「その他大勢」ではなく「一人の個人」として認めるのには、ほんのちょっとしたふれあいがあればいいのですよね。


犬ウィリアム・ハートは大統領にぴったり!
「すぐに復讐を考えてはいけない」なんていう目元が真摯で、オバマとかクリントンより大統領っぽいよ〜と思っちゃった。
(まあこんな良い人じゃ大国の大統領は務まらないか??)
「イーグル」のテレビ映像を見て「似てないし」とぶつくさいってるところも可愛かったな。

それにしても大統領って当然のように『ダブル』を使うもんなんですかね。
「集合写真のときは仕方ないとしても」とか言ってましたね。
これからはニュースの映像をまじまじと見そうです。


クリスマスそのほかにもフォレスト・ウィッテカーも「君もアクション俳優を目指しているのか?」と思わせるほど巨体をゆらして走っていたし、屈強のエドガー・ラミレスなどなど、男性俳優陣の厚さにはとっても満足致しました。


女優陣はしょっぱなシガニー・ウィーヴァーがドアップででて、「おお!この人も活躍するのだな! 映像分析とかして貢献するとか? 年とったとはいえ彼女なら追跡にも加われるしなあ〜」と思っていたわりには、それだけで終わっちゃいました。
でもニュースの中継のプロデューサーの仕事ぶりがわかって興味深かったです。


リゾートメキシコロケということですが、広場を埋め尽くす人、人、人・・・・皆が逃げ惑うシーンではけが人がいないか心配になりました。(爆)
カーチェイスも街中を使っていて、CGにしても危ないのかしら・・・なんて思いました。
ま、それほど臨場感のある映像だった、ってことですね。
これはDVDじゃなくて大きな画面でみる映画でしょう。


猫 終わり方は「いかにも」ですし、あっけなく人間がばたばた死にますが、後味はすっきり映画でございました。
雨が降った春の一日のエンタティメントにはぴったりかもしれません。
posted by jester at 12:54| Comment(28) | TrackBack(23) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月29日

ペルセポリス PERSEPOLIS

ふ〜 アカデミー賞もおわり・・・・・
・・・・・まあ予想できたといえばできた結果でしたが・・
主演男優賞とか(とかとかとか・・・(エコー・・)・・・・たらーっ(汗)
アニメーションもネズミだったしなあ・・・(爆)

というわけで、カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞は取りましたが、ノミネートされたもののアカデミーは取れなかった「ペルセポリス」、忘れないうちにレビューをアップしようとおもいます。
見てからずいぶん日にちが経ってしまいましたが、忘れないうちに。

jester的には ☆☆☆ー (見る価値あり)でした。

1970年から90年代のイランが舞台。

イラン人の女性によって自伝的に書かれたコミックが原作のアニメ映画。監督も著者がやっています。

イラン人女性が内部からイランの社会事情を描いたものって珍しいですよね。
湾岸戦争の前後に、イラクの青年や女性がかいたブログがネットでアクセス数を獲得し、本にもなりました。
あれを読んだ時も、突然イラクの人々の日常が身近になった気がして目を開かせられた気がしたのですが、この映画もそうでした。

主人公マルジは、イランでは多分かなり裕福な層に所属してるとは思われますが、少女時代は現在の日本人のわたしたちとほとんど変わらないような暮らしをしているんですね。

チャドルやマグナエはつけていないし、ロック音楽が好きで海賊版のテープをこっそり買ったり、カンフー映画の真似をしたり・・・

それが革命により激変し、国民たちは自由を束縛され始める。
そんな中、学校で反抗的な態度をとるマルジを、両親はオーストリアに留学という形で逃がす。

ヨーロッパにのがれられるマルジは他のイラン人と比べたらラッキーです。
でも祖国を離れたものにとって、異国での暮らしは文化的な摩擦と挫折の繰り返しでもあるんですよね。

そして傷ついて帰ってきても、戦争で荒れ果てた祖国に安らぎはなく・・・・


少女が「普通のイラン人」ではなく、「オーストリアやパリにさっと出られる階層の人間」であるので、庶民の苦境などはわからない辺がちょっとjesterには物足りないですが、それでも歪んだ社会構造が人間の尊厳を犯し、抑圧する様子が伝わってきます。
そしてそんな抑圧下でも、当局の目をかいくぐってお酒を飲んだりパーティをする若者たちの姿なども垣間見ることができます。


仲間と徒党をくんでいじめ(かなり陰湿な)をする子供時代とか、失恋して放浪してしまう青春時代、結婚の挫折など、決して優等生ではないマルジですが、だからこそリアリティがあり、共感を持てるのかもしれません。

気風のいいおばあちゃんとの会話もほのぼのとしていて、しかも教えられることの多いものでした。

またテレビ番組(多分「おしん」)や映画を見た人のセリフ(「日本人ときたらハラきりだの怪獣だのばかり・・・」)を通じて、彼の国での日本のイメージがわかるのも興味深かった。

ただ、フランスで作られたアニメなので当然といえば当然ですが、全編セリフがフランス語なんですよ。
でもカジュアルな絵柄ではそのシーンがフランスなのかイランなのか、さらに言えば登場人物がフランス人なのかイラン人なのかがわかりにくいので、特に女性がチャドルなどを身につけてない最初のイランの部分ではかなり混乱してみてました。



猫私事ですが、ちょうどこの時期の後半頃、家族Aがイランのテヘランに駐在してました。
新婚だったのですが、私も仕事をしていたので彼だけ単身赴任。
そのうち、イライラ戦争(イラクとの戦争)が始まり、電話をしていても
「こっちにいる野良猫はみんなペルシャ猫だよ・・・あ、爆撃だ・・・ザザザ・・ブツン!」
と電話が切れてしまうことも多々あり、当時はとても気がもめたのを思い出したり致しました・・・・


るんるんそうそう、アカデミー賞歌曲賞、「ONCEダブリンの街角で」の「Falling Slowly」がとりましたね!
この歌はこの映画の中では一番気に入った歌で、CDでリピートにして一緒に歌ったりしてたjesterは大喜びでした。

そのおかげで、シネ・アミューズでまた再映(アカデミー受賞凱旋上映だとか)してくれるそうです♪

嬉しいな〜 春も見たい映画がいっぱい!
posted by jester at 22:21| Comment(8) | TrackBack(6) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月13日

ヒトラーの贋札  DIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER

贋札を精巧に作れば、味方を窮地に追い込む・・・・
でもつくらなければ殺される・・・・
連合軍の解放が近づく収容所で、苦悩の中の命がけのドラマが展開する。

最後まで目が離せない展開と、深い人間観察に ☆☆☆3/4 でございました。



「ベルンハルト作戦」については前に本で読んだことがありました。
とはいえ、もうちょっとヒトラーが生きていたらイギリス経済は破綻していたかも、といわれる贋札事件、というぐらいの知識です。


後述しますが、最近ホロコーストものは避けたいような気分でして、『ヒトラーの贋札』も見たものかどうしようか迷ってました。
でも2008年アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされたので、見る気になりました。
外国語映画賞はjester的には結構当たりが多いのです。
(追記、結局本作が受賞しましたね! おめでとう〜〜!)


リゾート大体最初のシーンでその映画がどんな方向で作られているのかがわかることって多いような気がするんですけど、そういう意味ではこの映画の最初のシーンは良かった。

石がごろごろしている海岸に一人座る男。
切ないハーモニカ(アコーディオンかな?)のメロディ。
しっかり抱えた小ぶりのスーツケースには何が入っているのか。

男の背広の背中に残る、別の布を剥いだ後は何を物語るのか。
なかなかいい感じの出だしです。


チンピラの贋造屋の男、サリー(カール・マルコヴィックス)は、収容所でも上手に贋札を作り、死と恐怖の収容所の中でも特別待遇を得て、ふかふかのベッドで食事も与えられて、うまく生きぬこうとしている。

けれど、一緒に仕事をしている印刷技師アドルフ・ブルガー(この映画の元になった本の著者)の「贋札を上手く作れば、味方を殺すことになるから自分はしない」という信念にふれ、次第に考え方を変えていく。

とはいえ、期限を切って「真札と見分けのつかないものを作れ」「つくれないなら何人か殺すぞ」と迫ってくるナチと、あくまで印刷をサボタージュするブルガーの間に挟まれて、苦悩するサリーと仲間たち。

この辺、境遇は全く違うけれど、偽装の内部告発などで暴走する若者と管理職に挟まれた、中間管理職の苦悩に通じるものがあるかも・・・


強制収容所を舞台にホロコーストの新たな側面を描くというだけでなく、一般的に人間というもの、その心の奥にあるもの、そして真の勇気とは?と考えさせてくれる、地味だけれど深さを感じさせる真摯なつくりの佳作に仕上がっておりました。


猫しかし、ここに出てくるドイツ軍を見てるととてもドイツ人が嫌いになるのだけれど、ホロコーストについて、こういう過去の自らの恥部を描いた映画を自分たちでつくれるドイツってすごいと思いました。

ネオナチも存在しているし、ある程度国境を接する他の国に対する政治的思惑があるにしても・・・
それでも、恥ずかしくても暗部をさらすことによって過去から学び、これからに生かしていこうっていう気合を感じちゃいます。

日本ではつくられるとしても、若いタレントを使った「ああ特攻隊」みたいな美化されたものや、死んだ人に対する『お涙ちょうだい戦争映画』ばかりで、被害者意識ばかりが強く感じられるものが多い。

同じ頃日本は中国や朝鮮半島やアジアで何をしたのかとか、そもそも戦争の原因ななんだったのか、などからは今の日本人は全く目をそらしている気がします。
過去への反省の意をこめた映画はあまりつくられないし、つくられても話題にならず、見る人がいない国民性が恥ずかしく思えてしまう・・・あせあせ(飛び散る汗)



ヒトラーの贋札 悪魔の工房
ヒトラーの贋札 悪魔の工房この映画を見たあと、原作となったこの本も、読んでみました。
真摯な書き方で、なかなか面白かったです。
(詳しいレビューはいずれゆきてかえりしひびのほうで・・・・)



ところで上にちょっと書いた「もうホロコースト関連の映画はいいかな」気分についてでございます。
しんどいものが見られない精神状況ということもあるのですが。

ブラックブック
ブラックブック そしてこの「ブラックブック」などを見た辺から、そんな気分が強くなってきました。

前にも書いたことがありますが、もともと「アンネの日記」を読んだ少女時代から、とてもホロコーストが気になってました。
いろいろ文献も読んだし、アムステルダムのアンネの隠れ家まで行ってしまったこともあるぐらい、jesterのこだわってる『事実』なんです。
その他の『社会派映画』と呼ばれる映画もわりと見てきたと思ってます。

でもこういう題材のいくつかの映画の最近のもののなかで、歴史的な「ホロコースト」や、さらにいえば現代の「9−11」などの深刻な社会問題が、エンタテイメントの1要素として客集めとかワイドショー的な覗き見感覚で使われるような映画があり、こういうものはもうあまり見たくないな、なんて思ってます。

「ホテル・ルワンダ」や「ミュンヘン」など、たくさんの人が苦しんだ事実を真摯に伝えようとする映画なら気分が落ち込んでも見る価値があるなと思うのですが・・・

じゃあどれは良くてどれは駄目なのか、って自分に問うても簡単じゃないのけれど、とりあえず百歩譲ってたくさんの人に悲惨な事実を知ってほしいという製作側の意図からだとしても、全体的にエンタティメント系のつくりになっているものは、jesterは楽しめないし、見ていてつらくなるし、そういうのは個人的にもういいや、という感じです。
そういう風に使われるぐらい、時間が経ったってことなのかもしれませんが、そうも割り切れないので。
(何をくどくど言ってるのでしょう・・・(汗)すみましぇ〜〜んあせあせ(飛び散る汗)

猫ま、「ヒトラーの贋札」はそんなエンタメ系の映画ではなかったので、見てよかった、と思いましたです。

posted by jester at 10:48| Comment(15) | TrackBack(8) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月10日

光の六つのしるし THE DARK IS RISING

明けましておめでとうございます♪ 
などと1月10日になっていってる、相変わらずのjesterですが、今年もよろしくお願いします!黒ハート

新年のレビュー1本目は「光の六つのしるし THE DARK IS RISING」です。

原作のファンであるjesterとしては、あまりに元のお話と違う展開にあらら・・・たらーっ(汗)でした。

製作者は、ストーリー的には、Susan Cooperの物語の世界を忠実に再現すると言うより、キャラクターと設定を借りて、Harry Potterみたいに恋あり冒険あり青春の悩みあり魔法ありのお金が稼げるファンタジー映画が撮りたかったんでしょうねえ・・・

が、アレクサンダー・ルドウィグがとっても気になったのでjester的には、とりあえず見て損した気分にはならず、

☆☆☆1/2でした



The Dark Is Rising (The Dark Is Rising Sequence)
The Dark Is Rising)この映画の原作、最初は10年以上前に読んだのですが、ステレオタイプの魔法使いなんか出てこないのに、ものすごく「魔法っぽい不思議でダークなケルトっぽい世界観」が大好きなんですよ〜

とはいえ、The Dark Is Rising − Sequenceの1冊目
(指輪物語で言えば「ホビットの冒険」のような、シリーズより前に書かれたけれど、同じ舞台でSequenceの前章に当たる本)
である「Over sea, Under stone」はとりわけ幼い子供向けに書かれていることもあって、jesterはあまり好きでなく、面白く感じられませんでした。
そしてこの映画の原作に当たる2作目、「The Dark Is Rising 」でも出だしが入りにくくて2回ほど挫折し、3回目にやっと読み通せたおぼえがあります。

英語が児童文学にしてはやや難しいし(といってもそれほどじゃないんですが、比喩表現が多いのと、地の文に微妙に音楽的リズムがある感じ。そこが魅力なんだけど、慣れるまでつらい)、独特のダークな世界観がつかめないと、なかなか馴染めないのだけれど、一端浸ってしまうと、大好きになっちゃうSusan Cooperの世界なんですが、この映画では残念ながら・・・・あまりその世界観が表現できてません。
(原作についてはまた別項でゆっくり書いてみたいと思ってます)


とりあえず、原作は10数年前に読み、3年ほど前にちらっと読み返したきりでしたので、もちろん当然いつものごとくあせあせ(飛び散る汗)、jesterの頭の中からは物語の詳細が消え去り、ただイメージだけが残っているのみ。

どんな話なの?と聞かれて
「なんかね、イギリスが舞台でアーサー王伝説がらみっぽくて・・・聖杯をさがしたり、しるしを集める話だったような・・・」パンチ(殴

なのでネタバレはないなあと安心して出かけたのですが、しょっぱなから、携帯電話がひしめく(?)猥雑な学校のシーンから始まり
「え? こんな話だっけ?? もしかして(また)映画間違えた??(汗)」
と思うほどの展開で、
「こりゃあ、原作の熱烈ファンは怒るじゃろう・・・ふむふむ・・・」としたり顔であごに手をやったわたくし(意味ない動作)でした。


雪英国の小さな村の、雪がいっぱい降って寒い冬の、あの暗〜〜い中世的な雰囲気はどこへやら。

しかも、11歳のブリティッシュ・ボーイはなぜか14歳のアメリカン・ボーイになってるし・・・・(汗)

確かBarbaraっていたよね? Maryは?? なぜお母さん??
なんなのこのMerrimanは???

それにThe Walkerがでてないなんて!!!!

・・・と頭を抱えてましたが、途中で思い直し、
「これは原作とは全く違う映画なのだ!!」と自分に言い聞かせてたら、あ〜ら不思議。

まあまあ楽しめたのでございます。

ぴかぴか(新しい)と申しますのも、主人公のWillをやったこの人。
アレクサンダー・ルドウィグ君なんですが、演技が力み過ぎず、上手なんですね〜

そんで、色素の薄い北欧系の顔だちで、彫が深く、薄い眉毛は短くて目の半分ぐらいのところで消えていき、瞳の色は光線によってみどりにも青にも見え・・・
子供の癖にあごは割れてるし・・・
あの表情の作り方はどこかでみたような・・・・・
あの板前のような髪型は・・・・

もうちょっと歳とって、体がしまって、頬がこけたら・・・
もうちょっと汚れたら・・・

まるで誰かさんの子供時代みたい・・・・???(誰かは聞かないでください)パンチ

というわけで、彼に見とれてしまいました。

画像でその証拠写真を探したのですが、動いてないと難しいのよねえ・・・・
一番上の写真だと、彼の後ろに写っている画像が似てますがわかりますかね?

う〜〜ん。
この上目遣いの写真はどうでしょうか?
これは違う映画のものなんですが。

いや〜〜ある方面から猛攻撃をうけちゃいそうなんですが、こっそりいうと (Viggo) に似てるような気がして・・・


きゃああ〜いっちゃった!(殴(殴パンチパンチパンチ

まあとにかく、そういう腹黒い方面から楽しんでしまったのですだ。(汗)

雪だもんで、Maggieがりんごほっぺの農家の娘から恐ろしい魔女に変身してても、なんでWillがSeekerなのかちゃんとした説明もないままに時代を飛び越してしるしを集めていても、とりあえずうっふっふっふと気持ちワリイ笑いを浮かべつつ見ちゃいました。


猫ただ、Merrimanをやったイアン・マクシェーンは全然だめだったわ・・・
Merrimanはあんな人じゃないよ〜〜

Riderをやったクリス・エクルストンがMerrimanだったらまだ許せたのに・・・

でもクリス・エクルストンも、あの脚本のRiderじゃ、ハッと息を呑むのは最初に馬に乗って出てきてマスクをはずすまでの短い瞬間だけでした・・・

だってね、いつになっても「Give me the sign・・・・」ばっかりいって、カラス攻撃するだけなんだも〜〜ん(爆)


雪Old Oneたちもただの叔父さんたちって感じで重みがないし、old speechで話すわけでもなかったし。

だたFranses Connorが演じたMiss Greythorneだけはかなり存在感があったけど、なんかHarry PotterのMcGonagall教授を意識してる感じがあって、学校の先生に見えてしまい、マナーの女主人には見えなかった感ありでした。


クリスマスカメラワークは、スローモーション、高いところから振れながら近づく、遠ざかるっていうのが多用されすぎてて、ちょっとあきました。

でも音楽は過剰になりすぎず、まあまあ良かったかな。るんるん


雪それに、ストーリーが原作とかけ離れていたのは悲しかったけど、何のかんのと言って、イギリスのマナーハウスとか、時代を飛び越えるシーンとかが映像化されてたのは嬉しかった。

今度またいつか原作本を読むときはあの映像を断片的に使って、脳内変換して読めそうです♪

というわけで新春ご祝儀で☆☆☆に1/2ぐらいつけてあげちゃおうかな〜という気分になったのであります。



posted by jester at 12:46| Comment(7) | TrackBack(1) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月22日

ヒッチャー  ショーン・ビーンの光る眼!


銀座を歩いてたら、「ヒッチャー」のたて看板を発見しました。

どうも振り向いた ボロミア ショーン・ビーンの眼が光るらしい・・・・

でもjesterが見たのは昼間だったので、眼が光ってませんでした。

さて、「夜にはどんな風かな〜」と、ネットをさまよっていたら、眼が光ってる画像を見つけました。
(画像はこちらからお借りしました♪)


恐いっす。

土砂降りの雨の中、カップルがヒッチハイカーを拾ったら、それが恐ろしい男で・・・というホラー映画のリメイクで、前はルトガー・ハウアーがやっていたその恐ろしい男を、今回はショーン豆さんがやってるんですよね。

ショーン・豆さんはLotRの時からの腐れ縁(?)で、しかも次々と日本でも公開してくれる(涙)映画に出てくれているので、(ヴィゴと比べれば)しょっちゅう見てますが、そういえば最近はあまり見かけてないわ。

なので、心が動きますが、それにしても恐そうなのと、監督のマイケル・ベイとあんまし相性が良くないので・・・・
(後註;マイケル・ベイはプロデューサーでした〜(汗) punktさん、ご指摘ありがとうございます♪)

体調が良くて、かつ時間があったら見に行くかもしれません・・・

posted by jester at 20:16| Comment(12) | TrackBack(0) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月15日

僕のピアノコンチェルト VITUS

『山の焚火』は1985年公開ですから、今から20年以上前の映画ですが、難解な映画ではあるけれど、とても印象深く、たくさんの静謐で美しいシーンが記憶に残っています。

蜂の羽音しかしない静かな山の中の、姉と弟が暮らす小屋で聞こえる掛け時計の秒針の音。
不気味な雪崩の前の地響き。
並べられて置いてある両親の遺骸など。
一度映画館で見ただけなのに、これほど印象に残る映画も珍しいかもしれません。


なので、そのフレディ・M・ムーラー監督が撮った「Vitus(僕のピアノコンチェルト)」はすごく期待しておりました。

vitus.jpgストーリーは素晴らしいピアノの才能を持ち、その上IQ180という頭脳をもつ少年が、それゆえ周りになじめず苦しむけれど、理解ある祖父に助けられながら成長していく、というもの。

前半、天才児の才能を伸ばそうと頑張る両親と、心は子供のままでありながらあふれる知能を抑えきれないヴィトスの葛藤は、子供のほうの期待される事に押しつぶされそうな気持ちも分かり、親のいらだつ気持ちもよく描けていて、双方に同情しながらも笑ってしまう、微笑ましいものでした。

しかし、心はまだまだ子供ながら知能は高く、高すぎて学校で浮いてしまうヴィトス。

中盤では飛び級して進学したものの周囲との距離のとり方もわからず、年上の高校生とも教師ともうまく行かず、ヴィトスはどんどん追い詰められていきます。
この辺の展開はとても上手でした。

けれども後半では、ヴィトスが普通児を装いながら、陰でネットによる株の売り買いを始め、
「将来のCEOの息子や父親がそれってインサイダー取引にひっかからんかい?・・・犯罪だよ???」
とちょっと疑問が浮かぶ展開になってしまいました・・・

いっくら天才児でも、祖父の名前を借りたとしても、12歳の子がオフィスを構え、自家用飛行機が買えるほどお金を儲け、しまいには・・・・
という展開はあまりに現実離れしすぎておりますので・・・

そのへんの脚本はちと甘い作りだなと思うのですが、それでも最後まで見てしまうのは、12歳の少年になってからのヴィトスを演じるテオ・ゲオルギューの天才ピアニストぶり

リストのハンガリー狂詩曲第6番を激しく弾くかと思えば、「ロシアのピアニストの真似」といって、粘ばりたっぷりのしぐさで弾いて見せたり、悲しみをこめて、モーツアルトのレクイエムの「ラクリモーサ」を弾いたり、その演奏があまりに素晴らしく、それだけでも見る価値があるというもの。

ピアノ教師に「ここはこう弾いてごらん」といわれても
「いや。退屈だから」
と自信たっぷりに言い放つ彼に、天才とは彼の如し、とうなずかされます。


vitus2.jpgもっと幼い頃のヴィトス役の少年もすごく愛くるしく、パーティで何か弾けと親に言われ、わざとたどたどしく「ちょうちょ」を弾いて見せ、親の鼻をつぶしたところで突然シューマンの『勇敢な騎手』を弾き飛ばすところなんか、とても面白かったです。

こうもりの羽をつけてよろよろ歩くところなんか、天使でした!


vitus3.jpg自分の才能をもてあまし、「普通の子になりたい」と悩むヴィトスを優しく受容してくれる祖父に、『ヒトラー 〜最期の12日間〜』のブルーノ・ガンツ。
自身も子供のような純粋な部分を持つおじいちゃんは、ヴィトスの唯一の味方。
彼が画面に出てくるだけで、ほっとさせられます。
こんな歳のとり方がしたいものです。

おじいちゃんがヴィトスに作ってくれるパスタがおいしそうでした♪

美しい自然の中での散歩のシーンなどはあったものの、そのほかにはスイスらしい風景はあまりなかったけれど、日常会話でドイツ語に英語が当然のように混じり、イタリア語とかフランス語もぽつぽつと入って、子供と母親、祖父までが普通に会話しているところが、やっぱりスイスだな〜という感じです。


そして最後、ヴィトスのシューマンのコンチェルト第3楽章の演奏。
まさに天才というしかない演奏ぶりです。

コンチェルトのソロ奏者とはいえ、オーケストラと音を合わせ、心を合わせてハーモニー(調和)し、一つの作品を作り上げていく、という共同作業が出来るほど、彼は成長したということなのでしょう。

(最近のインタビューの映像など見ると、テオ・ゲオルギューはもう少年とはいえないほど大きくなっちゃってますけれど)


というわけで、「山の焚き火」のような芸術作品を期待していくと期待はずれで肩透かしを食いますが、あれから20数年経って、フレディ・M・ムーラー監督の人間へのまなざしがずいぶん優しくなったなあ〜、と感傷にふけってしまったjesterでございました。

posted by jester at 14:52| Comment(8) | TrackBack(8) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月13日

ボーン・アルティメイタム THE BOURNE ULTIMATUM

BOURNEシリーズの第三弾、「THE BOURNE ULTIMATUM(ボーン・アルティメイタム)」をみてきました♪

とにかく、ジェイソン・ボーンがかっこいい、ただそれに尽きると思います。
これって、マット・デイモン以外の役者だったら、こうはいかないかも。

あの、知的で地味な外観がいいんだと思う。
これが美形ばりに自己顕示欲満々で、タキシード着て、女スパイをくどいたりしたらかえってしらけてしまう。
地味だから変装しなくてもいいし。(そうなのか??)

ただのその辺にいそうな青年が、記憶をなくしおどおどしつつ、でも戦闘能力は異常なほどに高く、命を狙われ、「自分は誰だ??」と自分探し(違う)をするというストーリーだからこそおもしろい。

彼の記憶の危うさからくる怯えと、それにミスマッチな超人的強さがあいまって魅力がまた引き立つのだと思う。

マットのアクションは迫力と切れがあってすごい。
しかし首とか、鞭打ちになってないのだろうか・・・。
あまりに不死身すぎて、ターミネイターみたいにぐちゃぐちゃの車の中からけろっとして出てくるので、笑えました。

見ているだけでストレス解消になる人もいるかもしれませんね。

そして、不死身だけど、デッシュ(ジェイソンと同じぐらい強い敵)を殴って腫れた手をニッキー(ジュリア・スタイルズ)が冷やしてあげて、手を触ってあげると、弱音を吐くところが、迷える子羊か雨に濡れた捨て犬みたいで女性の心をきゅんとさせるのかもしれません。(あくまでほめてるつもりです)パンチパンチ

「グッド・シェパード」も良かったし、以外に素顔は『爽やかイメージ』だったし、なんかこれからは彼がでているということでその映画を見てしまうこともあるかも。
ちょうどトレーラーやっていたウィル・スミスの「I am Legend」みたいなSFもこれからは演ってくれるといいな、なんて考えてました。


画面は、トリノ、ロンドン、マドリッド、モロッコ、ニューヨークと激しく飛び、テンポ早く、飽きずに見られる。
3作目なのに全然だれてないところがすごい。
ちょっとスピードありすぎで、一休みシーンがあっても良かったかもとも思えましたが・・・。


リゾートしょっぱな、ダニエル・ブリュールが死んじゃった恋人のお兄さん役で出てきて、お、と思っていたら、あっという間の出番であっさり退場。
また出てくるの?と思ってみていたけれど、それでおしまいでした。
なんてもったいない。
しかしこのシリーズとダニエルは、彼が出ずっぱりだったらちょっと異質だと思うので、それで良かったのかも。主役を食いかねませんしね。


ぴかぴか(新しい)CIAのパメラ(ジョアン・アレン)が相変わらず知的で冷静で素敵だった。
不健康にみえるほど細身だったけれど、正義の味方にふさわしい。

ラスト・シーン、ニッキーと一緒ににやりと笑ってしまったのは、私だけじゃないはず。


位置情報ストーリーよりもアクション重視で、ジェイソン・ボーン誕生の『謎』も、一話から予想できたままでそれほど驚かさせれることもなく、一貫して勧善懲悪、特にひねりもなかったけれど、それはエンタテイメント映画なんだし、まあ安心してみられるのでよしとしましょう。
(もしかして最後にジェイソンは13日のジェイソンだったとかいわれたらどうしようかと期待していたのに・・・)パンチ


うっかりして、巨大スクリーンなのにわりと前方に座ってしまい、手振れのある映像やアクションシーンのアップと切り替えの多様などで、画像酔いしてしまいました・・・
(今みたら「スプレマシー」のレビューでも同じことを書いてる! 全く学習してないのね、わたくしというやつは・・・・)

そのせいもあるけれど、jesterにとってはアクションシーンもカーチェイスも(カッコよかったけど)、ちょっと長すぎたかも。
いやそこを楽しむ映画なんでしょうけど・・・(爆)

一緒に戦ったみたいで肩に力がはいっちゃってちょっと疲れたわ・・・


最後に、国家の機密を扱う諜報機関たるCIAって、あんなに簡単に潜入できるんでしょうか。
いっくら皆で追いかけてるからって、ビルに誰もいなくなっちゃうわけじゃないのにねえ・・・・あせあせ(飛び散る汗)
posted by jester at 09:39| Comment(14) | TrackBack(15) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月29日

ヘアスプレー Hairspray

最近のミュージカル映画化というと、くねくね踊りと熱唱の連続の「DreamGirls」が駄目だったjesterですし、その前の「Rent」もメッセージ古すぎって感じでしらけちゃったし・・・
その上トラボルタの女装とか(爆)いろいろ不安な要素があったHairspray(ヘアスプレー)を先週見てきました。あせあせ(飛び散る汗)

もうしょっぱなから、すごいハイテンションの「Good Morning, Baltimore!」におお!とたじろぎつつも乗せられました。
朝から夕方まで元気! 踊りまくる! 直球勝負!

トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)はなんかもう人間離れしてて、「シュレック」とかに出てきそうなキャラクターですわ。
ファッションもかわいいし。

しかしどんなに激しくダンスしても、痩せないのだな・・・・あせあせ(飛び散る汗)

それから、ヘア・スプレーをあんなにシュウシュウまいたら、かなり呼吸器に負担がかかりそうです〜

思わず息を止めてみてしまったわたらーっ(汗)


でも心配していたトラボルタの女装も、やっぱりなんだかモンスターじみてるけどパンチ
『こんな太ったあたしでごめん』という謙虚な感じが可愛らしくて、中の人がトラボルタだ、とか思わずに楽しめました。


といいつつも白状すると、実は途中あの大音響のなかでうつらうつらしてしまったわたくしでございましたが・・・・パンチ

だって話の先が読めちゃうんだもん・・・・

まあ、踊りと歌を楽しむ映画だから。
脚本がどうのという問題じゃないんですよね・・・


でもねえ・・・
人種差別問題を「かわいい!明るい!キュート!楽しめた!」という感想がでるようなストーリーに入れるのはどうなんでしょうねえ・・・

しかも結局視線はずっと差別する側である白人のままで展開しちゃうんですよね。
被差別側から見たら、気分悪いだろうなあ〜と思うシーンもあったし。

どうもこういう風にエンタテイメントを狙ったものに、添え物のように社会問題をいれて物語に無理矢理深みをだそうという映画はよくあるんですけど、jesterはこういうテーマは正面から捕らえるべきじゃないの? なんてね、思ってしまいます。

今も解決してなくて、現実に苦しんでいる人がいる問題ですし・・・
(まあ、無視してるよりはいいのか?とも思うけれど・・・)

だもんで、最後、めでたしめでたし、皆で入り混じってダンスを踊り狂っておわり〜というラストも一緒に盛り上がれなくて、ちょっとばかりしらけてしまいました。

こういう、いかにもアメリカ的な、実は自分の問題なのに外から見たみたいに、痛みをこれっぽっちも伴わずに作られる映画はどうも斜めに見てしまう傾向がある、天邪鬼jesterであります。
ごめんなさい〜〜ダッシュ(走り出すさま)




posted by jester at 08:56| Comment(6) | TrackBack(0) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月23日

パンズ・ラビリンス (EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH)

逃避としてのファンタジーは誰しも覚えがあるもの。

特にこどもの頃は、とくに現実がつらいものでなくても、しょっちゅうトリップしてしまうものですよね。

古今東西の名作ファンタジーはストーリーそのものが「現実逃避」だったりします。
C.S.ルイスの「ナルニア」やミヒャエル・エンデの「はてしない物語」などなど、例を挙げると切りがないほど。

この「パンズ・ラビリンス」も夢ともうつつともつかない幻想の世界に行くことによって、つらい現実から逃避しようとする少女の話。

でも、現実は過酷であり、幻想もまるで悪夢の世界です。
ダーク・ファンタジーと言われる所以はこの辺にあります。

ストーリーはスペイン内戦で父を亡くし、冷酷な大尉と子をなし再婚した母と大尉のいる山にやってきたオフェリア(イバナ・バケロ)が、そこにあった昔の迷路の中に迷い込み、迷宮の番人、パンにあって、自分が属していたファンタジーの王国に戻るため、3つの試練を通過しようとする、というお話。


この現実が少女にとっては大変に過酷なもの。

ヘミングウェイの「誰が為に鐘は鳴る」の舞台にもなったスペイン内戦ですが、映画の中にはファンタジーと銘打つにはあまりに残酷なシーンがあります。

どの戦争でも残酷でない戦場などないのは分かっていますが、子供向けではないリアルさです。
舞台になっているのが1944年ということですから、フランコ将軍が勝利宣言をしたあとですね。
人民戦線の残党への激しい弾圧・拷問の様子が描かれます。
これが今でも続く憎しみの連鎖のテロ活動につながっていくのですね・・・


弾圧する側である、オフェリアの義父になった大尉は、豪胆で冷酷な性格の反面、音楽を愛し身の回りを几帳面に整える男。
その私生活をみていて、同じく綺麗好きでワグナー大好きだったアドルフ・ヒトラーを思い出した人は多いはず。

健康にいつも注意する几帳面な菜食主義者で、犬を熱烈に愛し、捨て犬を拾って育てたりしていた反面、狂気の独裁者であり、罪もない1,100万人以上の武器を持たぬ人々を虐殺したホロコーストを先導したヒトラー。

彼と比べれば大尉は小物かもしれないですが、人間的に一番大事な部分が欠如しているそのアンバランスな人格は、ヒトラーなど実際の迫害者をモデルにしていると思われました。
どこの地域でもこういうカリスマ性はあるが狂気を帯びた非人間的な人間が、その魅力と話術でものを深く考えのない人間たちを洗脳し、人々が盲目的に従ってしまうことから悲劇がはじまります。

彼が腕まくりをし、目を輝かせて行う拷問、通りすがりの村人を尋問するのに瓶で殴って殺してしまうシーンなど、目を背けたくなる場面が多々ありました。
しかし、父親の形見の時計を隠し持って、自分の死ぬ時を意識するなど、彼も単なる悪役で終わっていないところがすごい。


しかしその現実から逃避するためにオフェリアが構築したファンタジーも、かなりグロテスクです。

326294view005.jpg
ラビリンスの番人、パンは森にいる「牧羊神」ですが、その造形は怖い。
神というよりサタンのような、古代からの土着の迷信の神を思わせる姿です。

巨大ゴキブリみたいな虫がいっぱい這う木のうろにすんでいるガマガエルや、普段は目をはずしていて、エジキが来るとその目を手のひらに嵌めて追いかけるPale manなどは、まるで悪夢にでてくる常連さんって感じで、子供がみたら泣くでしょう。

食べちゃ駄目〜と思っているのに食べてしまう葡萄も、悪夢ならではですよね。

大人向けの、ホラーテイストの、といったらいいのか、冷や汗をかいて目覚める夢のような、甘さのないファンタジー世界は、また独創的な魅力もあります。
悪夢と言っても美しい悪夢。

ハリウッドで乱造されている「勇気と愛があふれた冒険ファンタジー」の物語ではありません。
見終わってほのぼのとか、すっきりと言うことはなく、見るものの精神状態が疲れていればいるほど、ド〜〜ンと重くのしかかる展開です。
残虐なシーンも過剰に思われるほどに繰り返し挿入されます。

しかし現実の持つ残酷さをリアルに描いた作品としては佳作だといえると思いました。


物語の中での救いは、スパイとして大尉の屋敷で働いている女性、メルセデスです。
反乱軍にいる弟と連絡を取りつつ、食料なども盗んでは渡しに行っているメルセデスは、オフィリアの面倒を見るうちに、この哀れな少女を愛し始めます。

メルセデスがエプロンのおなかの部分にナイフを隠すのをみて「転んだときとか、昼寝してるときにおなかに刺さらないのか」と不安になったjesterですが、このナイフがキーアイテムなのは、何回もアップになるのでわかります。
彼女には感情移入して、こぶしを握って応援してしまいました。

彼女の歌う「子守唄」も良かった。
「題名のない子守唄」のもそうでしたが、母の愛の代名詞のような「子守唄」を子供が求めるシーンではいつも涙をそそられてしまう・・・

また、ゲリラをかばってこれ以上拷問されないように殺害し、大尉の逆鱗に触れて凶弾に倒れる老医師も良かった。
こういう隠れたヒーローがたくさんいたのかもしれませんね。


虫がだめで、グロいのや流血シーン&ホラー映画が苦手なjesterですので、「どなたにもおすすめ!」とはいえないのですが・・・・、心に残る1本でございました。


posted by jester at 09:47| Comment(19) | TrackBack(11) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月15日

パフューム ある人殺しの物語 PERFUME: THE STORY OF A MURDERER

公開当時、広告の写真に全裸の女性の死体を使ったことで話題となったこと、トレイラーがかなりネタばれで興ざめだったこと。
また、つい読んでしまったレビューで
「魚市場のシーンが気持ち悪い」とか「広場のシーンが・・」
とか言うのがあり、なんとなく映画館に行く気が失せてしまった作品ですが、DVDでやっとみました。

パフューム ある人殺しの物語

結論から言うと、なかなか良かったです。

美しい悪夢を見た、という心持。

繰り返して何回も見たいとは思わないけれど・・・


基本的にマニアックな秀でた才能を持つ天才(で変人)が出てくる話って結構好きなんですよね。

「数キロ先の匂いも嗅ぎわけるという、類い希な才能を持った青年グルヌイユが、香水調合師となる。究極の香りを求める彼は、その“素”として女性の肉体にたどりつき、次々と殺人を犯していくのだった。18世紀のフランスを背景に、シリアルキラーの物語ながら、映画全体にはどこかファンタジックな香りが立ちこめる異色作に仕上がっている。」(アマゾン、エディターレビューより)

・・・という話なのですが、グルヌイユが殺人を犯すのが、純粋に「香りの芸術」を求めてであって、根底にあるのが『創作への情熱』というところに救いがあるような気がします。

相手を傷つけて喜び、苦しむさまを見て快感を覚えるというのではなく、ただ、自分の心がしびれる「香り」を保存したい、という理想を追求しているためなので、殺人の動機に陰惨さを感じさせず、カメラワークがひたすら美しいので、被害者の無念さとか、家族の痛みを感じない
(それもそれで結構怖いことだけれど・・・・)

これが恨みからとか、己の快楽のために次々人を殺す、というのならjesterの心はかなりの確率で拒否反応を示しちゃうんですけれど、そういう反応をしないですんだのは、このせいかもしれません。

でもどこが違うんだ、といわれると、考えてみれば快楽殺人だって究極的にはもしかして同じことなのかもしれないんですよね。
うんうん。
結局『綺麗ごと』だからなのかなあ、自分。

とにかく、こんなことをする連続殺人犯の主人公なのに、不快感を覚えず、彼のわき目もふらない職人ど根性(?)に、なぜか共感してしまってるのでした。


ぴかぴか(新しい)画面から香りが立ちのぼるような撮り方には驚かされました。
死体ですらとても美しかったし。

多分わかりやすい「悪臭」を緻密に描くことによって、よい香りを浮き彫りにしたのかも。

男性にとって、若い美しい女性の香りってお花畑にも匹敵する素晴らしいものなのでしょう・・・ね・・・多分。


あの時代の貧しさ、汚さ、みだらさ、猥雑さが細密に描かれ、芸術的にまでなっていた。
とにかく画像の芸術性の高さに圧倒されます。
舞台がフランスなのにセリフが英語!・・・という違和感も、見ているうちになれました。
英語のほうがわかりやすいしね・・・(当社比)パンチ


ストーリーにはアナがあるし、ラストには賛否両論あるとおもいますが、これはホラーでもサスペンスでもなくて、ファンタジーですからね・・・・
現実にあんな香りがある訳ないとか、そういうことは言いっこなしだとおもいますです。


ぴかぴか(新しい)主役のベン・ウイショーがぴったり。キャスティングした人はうまいな〜。

冷酷で異常な殺人犯なのに、なぜか捨てられた子犬みたいな目をしてて、その困った顔が母性本能をそそるのか、嫌悪感を感じさせない。

狂気というより、世が世なら巨額の富と栄光を得ていたかもしれない「嗅覚の天才」であり、彼にとっては香りを追求するのは生まれつきの必然であったとすんなり思わせるところがすごい。


ぴかぴか(新しい)脇を固めるアラン・リックマン(スネイプせんせ〜)とかダスティン・ホフマンがまた良かった。

この二人を要所要所に投入することで映画がしまっていたと思います。

被害者の父親のアラン・リックマンが悲嘆にくれるところで、やっと
「あ、これは殺人なんだ。香水の材料集めじゃなかった・・・」と罪の重さに気がつかされます。

Alan Rickman

しかし、アラン・リックマンの声ってなんて素敵なんでしょう・・・

考えてみれば、ハリポタのスネイプ先生でも、ダイハードの1でも、彼の声にやられっぱなしですだ・・・

彼が朗読している本のCDがないか、検索かけてしまいました。

そんでみつけたのが、伝記のこの本。

アラン自身、この本を評価してないみたいだけど、読んでみたくて朗読CDを買うついでに買ってしまった。

The Return of the Native

買ってしまったのは、こちらの朗読CD。

純粋にアラン・リックマンの朗読が聴きたいだけでございます。
ああ〜あの声をナイトキャップに眠るなんて、最高じゃございませんか♪

耳福、耳福黒ハート



るんるんあと、ベルリンフィルの音楽がとっても素晴らしかった〜

この繊細な天国的な音楽なしには、あの香りを感じさせることも難しかったかもと思われるほどでした。

鼻腔をくすぐる香りと甘い音、そして緻密に作り上げた画面に酔いしれ、幻想のたちこめる18世紀のフランスにタイムスリップできました。


散々いわれてる「魚市場」とか「広場」のシーンは、覚悟していたせいか、それほど気にならなかったです。


見終わったあと、洗面所の棚に眠っている香水の瓶をいくつか取り出して、ハンカチにしゅっしゅっとして振り回してみたjesterでありました・・・。
posted by jester at 11:51| Comment(14) | TrackBack(3) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月24日

フリーダム・ライターズ Freedm Writers

ノートに書かれる言葉・・・言葉・・・・
自分を見つめて考えを白い紙に吐き出すうちに、若者たちの心がまっすぐに前を見つめだす。

本当に大切なものが見えてくる・・・

ヒラリー・スワンクが先生、と聞いただけで、なんか『女金八先生?』と内容がわかるような気がしてしまいますが、この映画、とても良かったです。

20070608014fl00014viewrsz150x.jpg実話ベースで、アメリカの貧しい地域の荒れた高校の生徒が立ち直っていくっていうと、同じ頃に見た「レッスン!」もそうだったのですが、映画の出来は全然違いました。
(「レッスン!」もそれなりに楽しかったのですが・・・またこれはこれでレビューを書きます・・・・)


もともと、ノートにびっしりと書き込まれる言葉、という時点で、jesterのつぼなんですけれど、それ以上にいろいろつぼがありまして。

というか、あまりノートに書いているシーンはないんですよ。
ノートを書いた本人が提出したノートを読んでいるようなモノローグと画像が重なって展開していく、という感じです。

その辺は、「ノートに書くシーンが見たいな。わくわく」としていたjesterにしては期待はずれだったのですが、その分、本を読みふける人々のシーンがいっぱいあって、それが活字中毒者にはすごく嬉しいの。(爆)
(jesterは読書や書き物、スケッチシーンなどが嬉しい『読み書き・お絵描き変態』です・・・・)


使命感に燃える熱血先生、エリン・グルーウェル先生(ヒラリー・スワンク)は授業の中で、ほとんどの生徒たちが「ホロコースト」を知らないのに気がついて驚きます。
そこで、「アンネの日記」を読ませようと思いつくのですが、キャンベル教科長(英語科の教師の長)に「そんな難しいもの、彼らには読めない、いたずら書きされるだけよ」と反対されます。

327456thumb005.jpgこのキャンベル教科長が、イメルダ・スタウントン!!!
「Harry Potter and the Order of the Phoenix」で、Umbridge先生をやったイメルダですだ!
「自分が正しい」と信じていて、新しいものを受け入れない頑固なベテラン先生を演じてます。

この映画でも、嫌な先生役・・・・でもUmbridgeとは雰囲気の違う嫌さで、やっぱり上手です。
上手すぎてイメルダ嫌いになりそう・・・・(爆)

でもま、キャンベル先生の気持ちもちょっと分かります。
グルーウェルさん、新任の先生ならそれなりに先輩の先生にあわせる部分も必要だと思うのです。経験の厚さに尊敬をはらって。
話が通らないとすぐにトップに問題を持ち込んじゃったりして、その辺が少し強引かな、という気もしてしまいます。


ぴかぴか(新しい)生徒たちそれぞれがそれぞれの生活の中で、「アンネの日記」を読みふけるシーンが印象的。

黄色い本―ジャック・チボーという名の友人
私の好きな漫画の本で、高野文子さんの「黄色い本」って言うのがあるのですが、その中では実地子という女子高校生が、ロジェ・マルタン・デュ・ガールの『チボー家の人々』を読みながら生活するんです。

そんな感じに、この映画の生徒たちも自分にアンネを重ね合わせて、共感しつつ読んでいく。

特に生徒の中でヒロイン的存在のエヴァは、アンネがナチに捕まってしまうと、グルーウェル先生に「私はどうしたらいいの!」と詰め寄るほど。

このシーン、泣けました・・・・。たらーっ(汗)
エヴァも他の生徒たちも、アンネと同じように、個人的に恨みがないのに、民族が対立し、憎みあい、攻撃しあう過酷な境遇で苦しみつつ生活しているのです。

そして、生徒たちはホロコーストの博物館に行ったり、ホロコースト経験者をレストランに呼んで食事をしながら話を聞いたりします。

その陰にはMrs.G(グルーウェル先生)がプライベートな時間をなげうって、生徒にこういうことをしてあげるためにアルバイトする姿が・・・・

ついにはアンネを匿った人たちの一人で今も生存している女性、ミープをオランダから呼んで話を聞く、ということまで成し遂げ、マスコミにも取り上げられるようになります。

第2次世界大戦中、ナチの嵐が吹き荒れる中でユダヤ人を匿ったミープを、ある生徒が彼女をヒーローだとたたえると、ミープが「私はヒーローではない。自分は正しいと思うことをしただけだ」「You are the hero.(あなたこそヒーローよ)」と発言する。

この言葉が生徒たちの心に刻み込まれます。
同じように民族間の軋轢に苛まれ、毎日戦争のような中で暮らしている生徒たちに、正しいと思うことをし、前向きに生きる勇気が涌いてきます。

そして生徒たちの人生を変えてしまうのです。


正直、規則を曲げてまで担任を続けようとする辺はちょっとうむむと考えちゃいます。
教師って家族じゃないんだから、ずっと一緒にいられるわけではなく、他の教師の下でも社会の中でもちゃんとやっていけるように育てるのが仕事だと思うし・・・・
別れもひとつの学びだし、離れても心の支えにはなれるのだし、ほかにグルーウェル先生の手が必要な子はたくさんいるのだしね。

彼女がしているパールの首飾りも、職場に適切なアクセサリーなのか、どうしてそれに固執するのか、父親におくられたお守り、って言うつもりなのでしょうか?

ま、実話ベースなので、話の展開自体は波乱万丈とまでは行きませんし、グルーウェル先生の夫との関係なんかもちょいと描き方が雑な感じはしましたが・・・

いまを生きる
全体的にロビン・ウィリアムスが主演した「Dead Poets Society(いまを生きる)」もちょっと思い出させるような、誠実につくられた極上の「正統派の青春映画」になっていたと思いました。


posted by jester at 21:02| Comment(8) | TrackBack(3) | は行の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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