さて、今年の夏の「光」部分。
『崖の上のポニョ』です。
長く一つの世界でキャリアを持ち注目を浴びてくれば、それなりに批評にもさらされ敵を作りつつ、その才能ゆえに生き残ってきたと思われる宮崎監督。
アニメ好きの人の中には、彼の名前だけで反発を感じる人もいるようです。
jesterは子育て中、トトロとかいろんな作品でお世話になりましたがそれ以前から宮崎監督作品とは長い付き合いで、その癖も臭さも充分わかった上で、
☆☆☆☆☆ でございました。

公開されてすぐで、しかも夏休みだったので、いつも空いている行きつけのシネコンは超満員。
ネットで席をとっていったからよかったものの、当日チケットを買おうとした家族連れで、3時間待ち4時間待ちもいらしたようでした。
ポニョのスクリーンは1/3は子ども。1/3はその親御さん、それ以外が私のような大人で、年輩の男の方も一人でいらしてました。
普段はほとんど子どものいない時間帯に大人向け映画を中心に見ているので、これほど子どもの多い映画館は久しぶり。
なんかあま〜〜い匂いがするんですよね〜
劇場全体がホンワカしてて、なんだか幸せ♪
予告編に続いて本編が始まると、スタジオジブリのトトロのマークに、一斉に
「トトロだ〜〜〜〜」とうれしそうな歓声が。
うも〜〜! かわいいったら!

その後も主人公が「どうしてだろう・・・」と悩むと
「だってお魚だからだよ!」などとスクリーンに向かって叫ぶ子どもたち。
「し〜〜〜〜!!し〜〜〜!!」と必死で抑える親。
なんか癒しでしたわ・・・・
まあ、いまさらポニョのレビューかいって感じですが・・・ヴェネチア映画祭で押井守監督に「老人の妄想」なんていわれてたので、ちょっと発奮して、jesterなりにレビューを書く気になりました。
(ヴェネチア映画祭では日本の作品の受賞はなかったようですね)

この映画をみる前に、宮崎監督の息子さんの宮崎吾郎氏の、この映画についてのインタビューを見ました。
吾郎氏は「ゲド戦記」で酷評され、宮崎監督も「ゲド」を評価していなかったようにみうけられました。
その辺の確執も感じさせられる内容でした。
「ポニョに出てくる宗介は吾郎さんがモデルといわれてますが」
という質問に
「子供のころ、父はほとんど家にいなかったので、映画館で映画をみるだけって感じでした。それも一回見るだけでしたし」とドライに答え、ポニョについて聞かれても口ごもり、
「くらげとか全部手書きですからね〜 すごいですよ」と、なんかよくわからない、いいたいことをいってないと感じさせられるコメントでした。
偉大な父親を持ってしまった息子が父と同じ土俵に上がろうとしたときにかかるプレッシャーは推して知るところがあります。
そんなインタビューをみてから映画館に行ったのですが、作品の中にあふれる宮崎監督の「親の目線」に
「あ〜〜お父さんは息子の事をこんなに思っているのになあ・・・」なんて思いました。
吾郎氏が育つ頃には、仕事で忙しく、自分の夢を追うのに精一杯で、家庭的な父親じゃなかったかもしれない。
でも、宮崎駿さんが父として吾郎氏に抱いている気持ちがポニョにあふれているような気が、jesterにはしてしまいました。
それは、ポニョの中で、船乗りで家に帰ってこない宗介の父親の耕一に反映されているのかもしれません。
宮崎さんは「スタッフに子どもが次々と生まれ、その子どもたちに見せたいという思いでこの映画を作った」ともおっしゃってました。
そういうポジティブな、
「子どもたちにいいものを見せてやりたい。生まれてきてよかったっていえる社会にしたい。そのために自分は自分のできる形でメッセージを送りたい」という宮崎監督の気持ちがダイレクトにjesterに伝わってきました。
パンフレットには監督のこんな言葉がありました。
「少年と少女、愛と責任、海と生命、これ等初源に属するものをためらわずに描いて、神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである」人間の中にある弱い部分、汚い部分、不条理な部分を描くのは割りと簡単です。
しかもインパクトが強い。
反対に、人間はいいなあ〜と思える、楽しくて希望がある展開は批評しやすくて、叩かれやすいもの。
それを怖れずに、こういう作品を生み出したことに感動しました。
だってね、子供のころにはこういうポジティブで楽しいお話に、しがみついて生きる力をもらって育つ子どももいるんですよ。
それに大人だって、くすくす笑って、真っ当でポジティブな力をもらって明日を迎えたい夜があります。
そういうものを素直に受け取れる、子どもの部分をまだ心の中に残している大人にも、この映画は天恵だとおもいました。
うわ〜〜前置き長すぎて、本編にまだ入ってない・・・・(汗)
この辺で一旦アップします。
本編についてはまたかかせてください〜
続く・・・・・